サッカーの楽しさを子どもたちに "全力で表現したい"僕自身、サッカーをプレーすることが大好きです。学生時代から、今現在もプレーヤーとしてボールを追いかけています。ですが、ここ近年子どもたちに指導する機会をいただくことも多くなってきたので、自分にはサッカーを教える環境も大事なのかなと思っています。しかし、年々サッカー本来の楽しさは教えるのではなく ”表現したものを感じ取ってもらう” 方が適しているなと感じました。求められたら技術や考え方をシェアしようと思っていますが、それ以外の場面では介入しないようにしています。「あ、できた!」「あ、わかった!」というタイミングを本人に取らせてあげたいなという指導方法は自分の中で最も大事にしていますね。このような指導方法を大事にしているのは、自分が選手の時に指導者から感じていく部分が多かったからです。僕の場合は、サッカーを本格的にやり始めたのが高校から。高校一年生の時にJリーグが開幕し、中田英寿くんや楢崎正剛くんなんかは同い年で。彼らが中心となってサッカーが日本でもメジャーになっていったので、サッカーを職業にできるんじゃないかと感じて本気になって取り組むようになりました。わからないことは聞いてみたり、本を読んでみたり。学生時代はそこまで人に教えられた経験はなかった気がします。プロになってから、”表現する大切さ” を一番教わりました。自分の考えを述べるとか、チームメイトと意思疎通を図るとか。ゲームの中では、攻守の切り替えが目まぐるしいので選手同士の関係性を日頃から構築していくことが大切です。しかし、なんといってもサッカーは楽しいスポーツ。子どもたちにも “サッカーの本来の楽しさ” を全力で表現していますイタリアでの ”インサイドキック事件"21歳の頃に、イタリアでサッカーする機会をいただきました。ウォーミングアップで、インサイドキックでボール蹴ってたら元ユベントスの選手だったその時のコーチに「お前日本に帰れ」って言われたんですよ。日本では、当たり前のようにインサイドキックでのパス練習はするじゃないですか?あれはカルチャーショックでしたね。「そんな綺麗なフォームでのインサイドキックを試合でしたらパス出す場所がバレるでしょ」って意味だったんです。センタリング練習でも、中を見てクロス上げてたら「狙って蹴ったらバレるでしょ」って。練習から常に試合を意識して取り組まないといけないなとその時初めて気付かされました。日本ではボールを持ったら周りを見なさいと言われますが、見ろと言われて周りを見る時点でアウトなんだなと思いましたね。サッカーとフットボールの違いを感じました。ヨーロッパのサッカーは激しいというイメージですが、向こうではそれがスタンダードなんですよね。スタイルというよりも、そもそもスタンダードが日本とヨーロッパでかけ離れている印象を大きく受けました。その後ドイツでもプレーしましたが、試合前のミーティングでは戦術的な指導は一切なくてとにかく勝ち点3とってこいと送り出されたりしました。自分が選手時代に強く感じた、”サッカーは自分で考えてプレーするスポーツ” ということを今指導者の立場になって子どもたちや選手たちに伝えてます。物事の本質を子どもたちから学ぶ日々自分が指導者になってからは、仕掛け作りを大事にしています。子どもたち一人ひとりによって、感じ方や成長速度も違います。いろいろなことが起きると仮定して環境設定をする中で、いいことも悪いことも楽しめるように子どもたちのタイミングに合わせて指導することを心がけています。僕自身は、”プレーイングコーチ”と位置付けているので一緒になってサッカーをプレーして「今どういうふうに考えたのかな」と傾聴する姿勢で臨んでいますね。サッカー以外のことでも、一緒に学習していく姿勢を貫いています。その中で、やはり難しさを感じる場面も多々あります。毎週金曜日は大阪でスクール指導しているんですが、そこで考えさせられるエピソードがありました。スクールに、ある障がいを持っている子がいたんです。僕はその子のことを特に注意してみていたんですが、ある時その子のおばあちゃんに「ボブ、この子がなんで他の子たちからも分け隔てなく接してもらってるか知ってるか?この子のお兄ちゃんが周りの子たちの面倒見てあげているから、周りの子たちもこの子に分け隔てなく接するんやで。この子が障がいを持っているからとか関係ないんやで。」と言われました。大人という立場でその子に注意を払っていた自分が情けなくなりましたね。偉そうになっていた自分の思い違いで、本質的な部分をあらためて学びました。このような、物事の本質を捉えることを日々子どもたちから学んでいます。「お金をいただいているからちゃんと指導しないといけない」とか「子どもたちのために勝たせてあげなければいけない」というのではなくて、心からサッカーを楽しみに来ている子どもたちが笑顔でサッカーを楽しめるようにするにはどうすればいいかを考えながら環境づくりに取り組んでいます。同じ地球上にいる以上は、同じ生き物。子どもと大人、選手とコーチみたいな段差をつけないように接しないといけないなと思いますね。さっきも、公園で出会った女の子たちに「ボブ~」て声かけてもらって頭に草つけられましたよ。(笑)友達みたいな感じですよね。街で会った時に、子どもたちにボブ~って声かけられた時は保護者の方がびっくりしていますけどね。ボブてあんたかい!みたいな。(笑)社会のお役に立てるような子どもたちを育てたい今の活動を一言で言うと、「未来」ですよね。子どもたちの未来に重きを置いて、活動しています。僕の経歴なんか何も誇れるものはないですし、子どもたちにこんな大人をどんどん踏み台にしてもらいたいです。いい社会を築くていくために、上からではなくて子どもたちを下から支えていくというか。一緒に楽しい時間を過ごした子どもたちがいい社会を築くていく一人になったら嬉しいですよね。ボブが困っているときにあんぱんくらい食わせてくれるような大人になってほしい。(笑)己の個をしっかり伸ばして成長してもらって、社会のお役に立てるような子たちに育っていってほしいなと思います。※当記事におけるお写真につきましては、事前に許可を得ているものを使用しています。選手と同じ目線で "3つのふりかけ" を持つ指導者のモチベーターとしての価値体感したサッカーに対する考え方の違いと強みを磨き続けた海外での選手生活