「プロの舞台で指導がしたい」高校卒業後にイギリスへ小学校1年生からサッカーを続けてきましたが、プロになるには実力が伴いませんでした。ユースの頃に指導者という職業がある事を知り、高校卒業の進路選択の時期には選択肢のひとつに指導者がありました。色々調べてみると、ライセンスの事であったり、プロ経験がない指導者がプロの世界で指導をするのは難しいという現実を知り、道筋を考えました。「サッカーの本場であるイギリスで指導の勉強をすれば箔が付くのでは?」と考えて留学を決めました。実際は高校3年生の進路相談のタイミングではイギリスに行きたいという気持ちはあったものの、英語も話せず、具体的なイメージは湧いていませんでした。まずは日本で3年間短大に通い英語を学ぶ準備期間を経てサウスウェールズ大学に留学しました。短大生の間に出身の街クラブで指導はしていましたが、海外に行くと環境が大きく変わり難しさを感じる事がありました。一番は言語です。伝えたい事が表現できない場面や、相手の意図が汲み取れない場面は今でもたまにあります。他にも文化の違いが大きく、技術にフォーカスする日本のサッカーに比べて、海外はフィジカル、メンタル、戦術といった多岐に渡る要素が大切だとされています。日本の子ども達はある意味真面目で、指導者に言われた事をアウトプットするのはすごく上手いのですが、自分を表現する事が苦手だと感じます。逆に、海外の子ども達は言われた事をすぐに取り入れるのが苦手ですが、他の方面でㇵッとさせられるような表現をしてくるのが面白いです。選手の目線になって、"更に良くなる " 指導をジュニアユースでお世話になった指導者の影響で、真剣にサッカーを楽しむ事を大切にしています。もちろん、相手がいて勝ち負けがあるスポーツなので結果にも拘らなければなりませんが、それ以前に選手が楽しんでいる事が重要だと思います。指導者としては、選手目線で考える事を常に意識しています。監督からの指摘は、時に選手にとっては無理難題である事も。そんな時には選手の立場に立って課題解決に向けて一緒に整理していければ良いと感じています。特に海外では褒めて伸ばすスタイルが多いので、指摘する時にも「今のプレーも良かったけど、更にこうしたらどう?」という投げかけをすると良いリアクションが返って来ます。週末は皆プレミアリーグの話をしますし、パブでお酒を楽しみながら観戦する姿も本当に良く見かけます。実際に試合を観に行く人も多く、プレミアリーグに限らず、僕が今季プレーしていた4部のローカルチームの試合でもお客さんが入ります。日常にサッカーが溢れているのがサッカー好きには堪らない環境です。選手が育っていく過程を見るのが幸せ指導者をしていてやりがいを一番感じるのは、やはり選手が上達していく姿を見た時です。チームとしても練習で取り組んだものが上手く試合で活かされて結果に繋がると達成感を感じます。特にメンタル面の成長は若ければ若い程顕著で、カーディフU11の年代を指導していた時には、当初メンタルが弱い部分が目立っていましたが、シーズン終わりには各個人としてもチームとしても大きく成長を感じました。そういった過程を間近で見られるのが幸せです。個人的にはUEFA A級ライセンスを取る事を来シーズン、再来シーズンの目標としています。他には、関わった選手達ができる事ならサッカーを続けてくれると嬉しいです。カーディフのU11とウェールズのU10とU16の選手を指導してきましたが、中には今後プロあるいはプロに近いところまで行けそうな選手が出てくるのではないかという期待もあります。10年後くらいに教え子たちがピッチで躍動する姿が見れる事を楽しみにしています。