スポーツ現場でのコミュニケーションに感じた課題3歳から社会人の実業団まで野球をやってきました。野球の指導者というとトップダウンで厳しいイメージがあるかもしれませんが、僕の場合は大学卒業までとても伸び伸びとプレーできる環境に身を置いていました。実業団に入ったタイミングで初めて指導者とコミュニケーションがうまく取れないという経験をしたんです。プレーを見る前から決めつけて「お前はこういうタイプだ」と言われたり、納得いかない事が多く、とてもストレスを感じパフォーマンスも出ないという悪循環。小中高大と楽しく続けてきた野球を嫌いになってしまうかもしれないという恐怖も感じていました。後にその指導者の方の本音を聞く事ができたのですが、彼もどうやって伝えて良いか分からなかったようです。素晴らしい経歴、技術を持っていたとしても些細な事をきっかけにコミュニケーションのズレは生じるものです。この原体験をきっかけにコミュニケーションのコツをベースだけでも知っておくと大きな助けになると感じ、株式会社iniasuを立ち上げました。選手との関係性が良い指導者の共通点様々な指導者と選手のやりとりを見てきましたが、選手からよく話しかけられる指導者はうまく関係性を作れている事が多いです。コミュニケーションを取るのが上手い指導者の共通点は、相手の存在やアクションを承認している事です。例えば選手から挨拶をされた時にきちんとリアクションを取る、トライした事に対しては結果に関わらず相手のチャレンジを受け入れようとする姿勢は大切です。選手に何故その選択肢を選んだのか、丁寧に聞き出してくれる指導者には自然と選手も相談しに行くようになりますね。選手と指導者は役割の性質上、上下関係が生まれやすいものです。選手から上に行くのはどうしても難しいので、指導者が選手と同じ目線に立つ意識を持つと上手くいく事が多いです。指導者のコミュニケーションが変わるだけでチーム全体の雰囲気がガラっと変わったという場面を何度も見てきました。とても効果的だと思います。サッカー指導者が感じている難しさ最近よく聞くのは、選手とのジェネレーションギャップを課題に感じているという声です。指導者が選手をやっていた時代、指導者としてのキャリアを歩み始めた時代とは今現役の選手が置かれている環境は全く異なります。熱量高く伝えても、どうも選手に響かず、コミュニケーションが一方通行になる傾向があります。理想を言えば選手それぞれの個性に合わせて伝え方を変えれば良いのですが、そこまでの労力を割く事は現実的には難しいです。他には、チーム運営に関わるスタッフ間のコミュニケーション課題。監督の視界から見えているチームとコーチの視界から見えているチームにズレがあるという話はよく聞きます。食い違っている前提を揃えていくだけで、推進力に変わる事もあります。弊社が関わっているチームではあえて様々な役割のスタッフをシャッフルしてお互いの知見をシェアする機会を設けます。我々はきっかけを作っているに過ぎませんが、指導者にとってすごく価値のある事だと感じています。日本における指導者の価値向上に貢献したい我々が大切にしているコンセプトは「明日から使える」です。新しい事を学んだり、良い情報を聞いたとしても実際に行動に繋がらなかった経験は誰しも持っていると思います。セミナー受講者の方には「これをすぐにあの選手に伝えてみよう」「明日のミーティングで話してみよう」と具体的なイメージを膨らませるところまで行ってもらいたいですね。実際に行動に移してみたけれど、うまく行かなくて受講者の方が次のステップに向けて試行錯誤している姿が垣間見えるのも嬉しい瞬間です。数か月に1回程度しかできていませんが、実際に現場に行ってみて以前とは全く違う雰囲気になったチームを目の当たりにすると、この会社を立ち上げた意味があったと強く感じます。指導者がセミナーで持ち帰った内容を愚直にチームに装着した結果、良いサイクルが回り出したという事です。会社として取り組みたいと思っているのは日本における指導者の価値向上です。後進の為に日々学習したり、目標を立てて活動されている方々がもっと評価される土壌が日本には必要だと思っています。弊社のビジョンですが、「挑戦するすべての人の才能をカイホウし、社会へ還元する」を同じ思いを持った仲間と手を組みながら体現できる組織であり続けたいです。