『持続可能なフットボール』に込める想い大学時代は教職を取っており、休業期間には、地元函館の中学校でフットボールを教えて指導を経験しました。大学卒業後、29歳までは現役を続けました。引退後はフットボール関係の仕事を探し、イベントやスクールを運営している会社に就職。その後全く違うIT業界に転職もしましたが、その後独立。現在は指導を続けながらフットボールキャンプやクラブのサポートといった幅広い分野に挑戦しています。HPの中でも『持続可能なフットボール』というキーワードが出てきます。自分の役割は、既存のクラブに外部から入り、刺激を与える存在。単発のイベントで有名な外部講師が来てフットボールを教えるというのはよくあると思うのですが、定期的に継続しないと変化まで持っていけなかったり、効果測定が難しいという課題があります。私は長期的にクラブと関わることで、子ども達や指導者・保護者との信頼関係を構築し、ゆくゆくは地域を巻き込んでいきたいという想いがあります。微力ながら私が介在する事で、南米やヨーロッパのような生活の中にフットボールが根付いている環境を目指していきたいです。ただ、フットボールはあくまでツール。子ども達には「言葉を覚えた」、「仲間ができた」、「夢・進路の幅が広がった」、といった経験を積みながら、生涯に渡りフットボールを楽しんでもらいたいと考えています。子ども達の前で、日々意識している事部活の支援員、キャンプコーチなど、様々なレベル、スタンスの子ども達と関わっています。1対1のパーソナルに絞るとトレーニングの特性上、親御さんが積極的なパターンが多いです。ただ、実際に子ども達に会ってみて、今どのくらい意欲があるのか、どんな負荷でトレーニングをするべきなのかを見極めるようにしています。大人が理想とするレベルを強いるのではなく、その選手のレベルに合ったオーガナイズを作り、トレーニングに集中してもらう事に注力します。次のレベルに行くためのプラスアルファを教える事ができたら大成功です。"頭で考える" フットボールにのめり込んでいった高校までは故郷・函館で学校の部活に所属していました。フットボールを体系的に教えてくれる環境でもなかったので、部員達で考えてトレーニングを続ける日々。しかし進学先の国士舘大学では環境がガラリと変わりました。チームメイトは選手権出場者等レベルが高い人たちばかり。全くついていく事ができず、さらにフットボール自体も楽しくなくなり、2年生で部活を辞めてしまいました。フットボール関連でバイトを探していたところ、多摩市の中学校でコーチをする機会に恵まれました。丁度その頃、先輩の誘いで多摩の社会人クラブにも入ってトレーニングをするようになりました。入った時は私が一番年下だったのですが、ある練習試合の際チームメイト(現在は大学の監督)からかけられた『何でお前そこに立ってんの』という言葉が衝撃的でした。今までは「何やっているんだ!」「もっと走れ!」とかやっている動作に拍車をかける「檄(げき)」を受けることが私にとって当たり前でした。ですので、フットボールのプレーについて「なぜそうしたのか?」と問われた事がなかったからです。今思うと、このクラブの人達との出会いが、私にとって大きなターニングポイントになります。そこから色んな人に丁寧に教えてもらい、どんどんのめり込んでいきました。多大な影響を受けたパラグアイでの日々大学卒業後、とにかくプロになりたくてパラグアイに渡りました。満を持して、月曜から金曜までトレーニングを必死にやろうと意気込んでいました。しかし、圧倒的にトレーニングの「量」が少ないことに驚いたのです。月曜オフ、火曜フィジカルトレーニング、水曜紅白戦、木曜セットプレーなど軽めの練習、土曜に試合がある場合、金曜は完全オフといった感じです。自主練をしていると逆に『なんで走っている?休め!』と言われるような環境でした。それまでは一生懸命トレーニングする事が結果に直結すると思っていました。ここでは試合のスタメン選考となる水曜の紅白戦でパフォーマンスを出さなければ意味がありません。自分の評価は、ピッチ上のプレーが全てであることを痛感したのです。チームメイトはそれを十分に理解していました。よく「常に全力で」というフレーズをスポーツの現場から聞きますが、力を常に100%出すことはできません。力を入れるべき・魅せるべき場にピークを持っていく重要性を理解する必要がると考えさせられました。パラグアイでの経験が自分のフットボール観に大きな影響を与えています。子ども達に、外の景色を見ながら成長できる機会を。今年から始めたスペイン遠征を今後も続けていきたいです。プロになるかどうかは関係なく、海外で過ごすという経験が子ども達にとって必ずプラスになると信じています。私はパラグアイでの経験を経て、23歳で大きく成長実感を得ました。子どもであれば感受性がもっと豊かな時。だからこそ、若い世代でそんな経験をしてほしいと思います。また、故郷北海道の子ども達には、外の世界を見ながら成長できる機会を継続的に提供していきたいと思います。ネットワークがある現代だからこそ、そこで得た情報に満足せず、実際に見て触れるといった実体験を積んでほしいですね。月に一回開催しているフットボールクリニックなど、今後も北海道に帰って子ども達とコンタクトを取り続けていきたいです。