プロ選手から指導者へプロとして10年は現役を続けたいと思っていましたが、30歳を目前に指導者というセカンドキャリアを描き始めたという形です。指導を始めてみて、自分は伝えたい事を言葉にするのがとても下手だと感じました。あれこれ悩むより周りに聞いてしまった方がスムーズなので「今こういうつもりで言ったんだけど伝わった?」とよくスタッフや選手に問いかけるようにしています。U18の指導をする中で意識しているのは、「まず大枠としてこんなサッカーをしたい」と全員に伝えたうえで選手ひとりひとりに必要な情報をフォローするという事です。中には日本語が母国語でない選手もいるので時には英語も交えながらコミュニケーションを重ねています。話していくうちに相手が知りたい事、課題だと感じている事に気づける事も多々あります。サッカー選手以前にひとりの高校生としての振る舞いに重きを置いています。これから大学生あるいは社会人と続いていきますが、挨拶や場にふさわしい態度を取るという事をサッカーを通じて身に着けて欲しいです。指導者から受けた影響僕自身はサンフレッチェ広島のユースで育ちました。「サッカー選手である前に一社会人であれ」と寮長や、森山佳郎監督(2024シーズンよりベガルタ仙台 監督)から幾度となく言われましたが、振り返るととても大切な事だったと思います。サンフレッチェのトップチームに上がってからは、ペトロヴィッチ監督 (現 コンサドーレ札幌 監督)から「プロサッカー選手でいられる事は当たり前じゃない。幸せに思いなさい。」という事を言われたのですが、厳しい局面でよく思い出す言葉です。沖縄SV U-18はどんなチーム?沖縄SVに所属する選手は高校も別々で、一緒にいる時間は長くても1日2時間程度。サンフレッチェ広島のユース時代、全寮制で高校も仲間と一緒という環境にいた僕とは大きく違うと思います。「よく喋っているけど、今日良い事があったのかな?」「彼女いるのかな?」そんな日常の事をよく選手と会話します。技術面では、監督がやりたい事と選手がやりたい事を共有する作業を大切にしています。お互いに考えを伝え合い、選手の意見も取り入れながらチームを作り上げていくイメージです。指導者は選手のプレーを否定する事なく、選手に少しでも多くの選択肢を持たせてあげる事が役割だと思っています。数ある選択肢の中から選手の判断で伸び伸びとプレーして欲しいです。試合中、良い動きができた時にベンチの方を選手が自信に満ちた顔で見てくる事があって、とても嬉しいです。『どうです?監督』というシーンが今後も増えてくると良いですね。沖縄SVから、沖縄を元気に!僕は18歳でサッカー選手になりましたが、当然一人の力では成しえなかった事です。沖縄SVの選手にもこの環境でサッカーができている事や周囲の人のサポートに感謝する気持ちを忘れず、自分自身も向上心を持ち続けてもらいたいです。プロとして過ごした時間は人生の財産になっているので、今後も一人でも多くの選手がプロになるための支援をしていきいたいです。沖縄SVはサッカーを通じて沖縄を元気にしていく事をスローガンに掲げているチームです。今後もサッカーの面白さ、厳しさを感じながらチームのレベルアップを目指していきたいと思っています。