加藤到さんが歩むサッカー指導者の道指導者を志されたきっかけは何ですか?昨年まで愛知県の公立高校で教員をしていました。16年間の教員生活では、高校サッカー部の監督を務めたり、愛知県の国体選抜チームの監督を務めるなど、サッカーに深く関わってきました。ですが、教員として限られた環境の中では、自分のサッカーに対する思いや経験をさらに広く伝えられないと感じるようになりました。選手や指導者にもっと深く関わりたい、より多くの人々に自分の経験を伝えてサポートしたいという強い思いから、教員を退職し、サッカー指導者としての道を選びました。サッカー指導者としての活動を本格的にスタートした時、どのような目標を持たれていましたか?サッカーを通じて選手たちに何を伝えられるか、常にそのことを考えていました。一番の目標は「全ては選手のために」という信念を持つことです。選手が自分の力を最大限に発揮できるような環境を整え、彼らが目標に向かって前進できるようサポートすることが私の役割だと感じています。そのため、選手とのコミュニケーションを大切にし、彼らの声に耳を傾けることで、彼らが自信を持って取り組める環境を作り出すことを目指しています。指導者としての経験をどのように活かしていますか?教員時代に培ったスキルの一つに、生徒一人ひとりの成長を見守り、彼らの成長に寄り添う姿勢があります。指導者としてもその姿勢は変わりません。選手たちが自分の目標に向かって努力し続けるために、私は常にサポート役として彼らを見守り、必要な時には適切なアドバイスを提供するよう努めています。また、選手が悩んでいる時には寄り添い、時には厳しく、時には優しく、彼らが成長できる環境を作り出すことを心がけています。海外での挑戦と学び、ウガンダと台湾での活動加藤さんは日本だけでなく海外でのご経験も豊富だそうですね最初の海外経験はウガンダで、現地のサッカーアカデミーをサポートする機会を得ました。この経験は私にとって非常に大きな転機でした。ウガンダの子どもたちとの交流を通じて、私自身の指導力や知識にまだまだ足りない部分があることを痛感し、その悔しさがさらなる挑戦への原動力となりました。また、現在は台湾のクラブチーム「EC.DESAFIO TAIPEI」のアドバイザーとして定期的に台湾を訪れ、選手や指導者に対して育成や指導を行っています。台湾での活動を通じて、サッカーが国境を越えて人々を結びつける力があることを実感しています。また、海外での指導において言語の壁は特に大きな課題に感じました。私自身、英語や中国語が得意なわけではないので、通訳の方を介して指導を行うことが多いです。しかし、サッカーは言葉を超えたコミュニケーションのツールであり、選手や指導者とサッカーを通じて信頼関係を築いていくことができました。たとえ言葉が通じなくても、プレーや指導を通じて互いの理解が深まり、共に成長していくことができるという点に、サッカーの素晴らしさを感じています。海外でのご経験は、今のご自身にどのように生かされているのでしょうか?ウガンダでの経験は、自分の無力さを感じさせるものでしたが、それが私の成長を促しました。特に、環境が整っていない場所での指導は、日本では当たり前にできることが難しく、そのギャップに戸惑うこともありました。しかし、そうした環境でもサッカーを教えることで、選手たちと共に成長していくという感覚を得ることができました。また、台湾での指導を通じて、自分自身も常に新しいことを学び、変化に対応し続ける重要性を再確認しました。海外での指導は、私にとって指導者としての幅を広げる貴重な機会となっています。指導者としての信念、選手の成長を支える方法指導者として大切にしている軸は何ですか?私は選手たちの表情を常に観察しています。選手が楽しそうにプレーしている時、あるいは真剣に課題に取り組んでいる時、それらの表情がチーム全体に良い影響を与えます。私の役割は、選手が自分の能力を最大限に発揮できるような環境を整え、彼らが自信を持ってプレーできるようにサポートすることです。選手の状態を把握し、彼らに最適なアプローチを提供することで、より良い結果を引き出せるように心がけています。選手との信頼関係を築くために大切にされていること何でしょうか?信頼関係を築くためには、選手一人ひとりの個性を尊重することが重要です。私は、選手が感じていることや考えていることに常に耳を傾け、彼らの意見を大切にしています。選手が自分の意見を自由に言える環境を作ることで、彼らが自信を持ち、安心してプレーできるようにしています。時には厳しいアドバイスが必要な場面もありますが、常に選手をサポートするという姿勢を持ち続けることで、深い信頼関係を築いてきました。最後に、今後の目標を教えてください。私は現在、豊橋の社会人チーム「SC豊橋アゼリア」でヘッドコーチを務めています。このチームをJリーグに昇格させるという大きな目標があります。私自身も指導者として成長し続け、国内外で得た経験を選手や他の指導者に還元したいと考えています。特に、サッカーを通じて国境を超えた交流を続けることで、サッカー文化の発展に貢献していきたいと思っています。