ドイツへ渡って今のポジションを獲得した経緯元々『新しいものが見たい』という気持ちが強かったです。昔からドイツのサッカーがすごく好きで、いつか生で観てみたいという気持ちもあり、行き先をドイツに決定。当初はもちろんドイツ語が全く話せない状態だったので、まずは語学習得のために2年ほど学校に通いました。その後、現地企業に就職する事ができ6年勤務しました。その企業が1.FCケルンのパートナー企業だったご縁で、日本をターゲットにマーケティングができる人材を探しているというお話を頂く事ができ、フロントスタッフとしてケルンに入ることになりました。『サッカーは本当に楽しい』という気持ちを大切に選手としては目指していたプロになれませんでしたが、ここまでサッカーを続けてきて出会った指導者の方の言葉や指導論が自分に活きていると感じます。特に藤枝明誠高校の指導者の方は本当に尊敬できる方ばかりでした。担任でもあった阿部謙作先生(現 藤枝MYFC トップチームGKコーチ)に言われた『サッカーは本当に楽しいものなんだ』という言葉が心に残っています。大人になってサッカーに関わる仕事をするようになっても折に触れて立ち返る言葉で、日本サッカーが今後発展していく上でも忘れてはいけない事だと思っています。ドイツの指導者は上のポジションにいる人ほどポジティブな人が多い印象。また、日本と比べて他人を褒める文化もあるので仕事をしやすい環境が整っていると感じます。1.FCケルンというクラブの認知度をあげる現在は1.FCケルンがドイツ以外の国で広く認知される事を目的に活動しています。このクラブはまだまだ他のクラブと比べても認知度は高くありません。ただ、やみくもに認知度を上げる事を目指している訳でもなく、我々にしか作れないクラブを目指しています。ケルンと聞くと槙野選手や大迫選手を思い浮かべる方が多いと思いますが、そこから一歩踏み込んでクラブの本質のようなものを広めていきたいです。サンフレッチェ広島さんとケルンは業務提携を結んでいますが、ドイツだけでなく母国日本で大好きなクラブのワッペンを付けて仕事ができる時間は大変嬉しく、誇らしい事です。形式上の提携に留まらず、両者にとって有意義な刺激を与えあえる関係を築いていきたいですね。クラブ特有の魅力を伝えられた時に感じる幸せシンプルにチームが試合で勝利した時はとても嬉しいですし、その勝利に少しでも自分が貢献できていると実感できる瞬間は幸せです。更に自分の仕事に直接的に絡む事だと、ケルンの存在が日本のファンの皆様に届いた時はやりがいを感じます。日本のファンがスタジアムに来た時に『こんな素晴らしいスタジアム初めて』『雰囲気が他と全然違う』と言っていただいた事がありました。我々のスローガンは日本語にすると『唯一無二』です。その言葉通り、他のクラブとの違いが今後も伝わっていくと嬉しいです。ドイツでの経験を武器に、日本サッカーの発展に寄与したい私の今の目標は、日本におけるケルンの認知度を上げる事です。理想を言えば、日本で我々のクラブのロゴやワッペンを付けている人を普通に見かけるくらいまでいきたいですね。世界全体で見ても、サッカーを取り巻く状況は大きな変化が起こっています。僕は時代に対応しつつも『サッカーらしいサッカー』を大切にしたいです。特に近年はお金の流れが変わってきていて、出資さえすればクラブを買える国もあります。ブンデスリーガでは創立時から、クラブの運営はクラブ自身が行う事が基本ルールになっています。このルールがサッカーのあるべき姿を守っている大きな要因になっていると強く感じています。ゆくゆくは日本のサッカー界の発展に貢献もしたいと思っています。現在ドイツブンデスリーガ1部でフロントスタッフとして働いている日本人は僕ひとりです。貴重な経験をいつか日本のサッカー界に還元できれば、と思って日々仕事をしています。