キャリアの礎。様々な場所で学んだ指導者の道- 大柴さんのご経歴についてお聞かせください。2007年から指導者のキャリアをスタートしました。最初は横浜F・マリノスのサッカースクールでコーチを務め、約十数年にわたり指導しました。並行して、中学校、高校のコーチも経験し、長野県にあるアルティスタ東御(現浅間)でヘッドコーチを1年間務めました。その後関東に戻り、再び横浜F・マリノスのサッカースクールで指導し、現在はメインでイトゥアーノFC横浜の監督として、そして法人のサッカースクールの方で指導もさせていただいております。- 指導者を志すきっかけは何だったのでしょうか?小学校からサッカーを続け、Jリーグや日本代表を目指していましたが、限界を感じたことがありました。その中で高校サッカー選手権が盛り上がっていた時代ですので、選手として活躍。厳しければ監督やコーチとして出場することを目標にしました。最初の志はそこから始まりました。- 指導者としての初期の経験について教えてください。キャリアのスタートが横浜F・マリノスというビッグクラブの一つの組織だったため、ボールを扱う楽しさや大切さ、勝負にこだわる部分など、さまざまな教えを受けました。具体的に一つに絞れないほど多くの価値ある経験をさせていただきました。現場の指導だけじゃなく、現場が終わった後や始まる前の中での会話で、「例えばこういうところにセンタリングを上げたら相手嫌なんだよ」と、今であればそんな普通だよね。と感じることも始めた頃の自分にとってはものすごく一つ一つ大きな価値でした。他にも、マリノスタウンでトップチームの選手と触れ合う機会が多かったことです。オフシーズンには自主練習に来る選手たちと試合をする機会があり、Jリーグの試合で通用するプレーについて学ぶことができました。中村俊輔選手とのエピソードも印象深く、彼から直接マンチェスターユナイテッド戦でのフリーキックの心境を聞けたことは貴重な体験でした。勝利と育成の狭間で。大柴淳の信念- 指導者としての信念や教えについて教えてください。現在社会人チームを指導していて、彼らが育ってきた環境と僕が教えてもらった環境との違いはゼロではないので、そこでディスカッションとか生まれてきたりしてすごくいい経験をさせていただいています。逆に言うとそれが指導の礎になってるので、極力一緒にプレーできるところはプレーしています。それから、まずは結果にこだわることが重要だと考えています。ただし、同時にサッカーの楽しさを大切にし、見ている人もやっている選手も楽しいと思えるサッカーを追求しています。これは最近で言えば、ポステゴグルー監督がマリノスで実践していたアタッキングフットボールの影響を受けています。結果と内容の両立を目指し、攻撃的なサッカーを展開するために“点を取るためにどうしていくか”というところの思考を重視しています。- 選手とのコミュニケーションについて、どのように工夫されていますか?社会人チームなので、選手それぞれの育った環境やプライドを尊重し、個別にLINEや電話でコンタクトを取ることが多いです。全体で話すよりも、個々の選手と一対一で話すことを重視しています。そして、ミスを許容すること、チームのルールをしっかり伝えることを重視しています。選手たちが自分自身で考え、行動できるように促すことも大切にしています。そのために、戦術的な指示だけでなく、サッカーを楽しむ心やプレーの本質を伝えることを心がけています。- 指導者冥利について教えて下さい。育成年代や少年を指導しているときは、子供たちからの感謝の言葉や、夢のチームに入れるようになったという報告、保護者からの生活面での変化についての感謝の言葉を受け取ることが特に嬉しいです。大人のチームを指導するようになってからは、チームの結果が喜びの源になります。特に、8年間のコーチ経験の中で、アルティスタ東御(現浅間)で北信越リーグ優勝を果たした時が、人生初の大きな大会での優勝であり、非常に嬉しかったです。今を駆け抜ける。チームの未来- イトゥアーノFC横浜での目標を教えてください。現在、神奈川県一部リーグに所属していますが、関東二部リーグ、さらに関東一部リーグへの昇格を目指しています。チーム全体でその目標に向かって切磋琢磨しています。選手たちと共に目標を共有し、一つ一つの試合に全力で臨むことを心がけています。- 個人的な目標について教えてください。将来的にはJリーグのクラブの監督やコーチになることを目標にしています。Jリーグの指導者ポジションは限られていますが、自分のような境遇の指導者にもチャンスがあることを示したいと思っています。自分自身の成長を続けるために、常に新しい知識や技術を学び、指導方法を改善していくことが重要だと考えています。- 指導者としての魅力は何ですか?サッカーが生活の一部となっている中で、指導者として選手と同じ目線で第一線で活動できることです。その分、責任も重いですが、やりがいがあります。選手たちの成長を見守り、彼らが成功する瞬間に立ち会えることは、指導者としての大きな喜びです。また、自分自身も選手たちと共に成長していく過程が非常に楽しく、刺激的です。