自分が経験したことを子ども達に還元したい小学校からサッカーを始め、将来はサッカー選手になりたいという漠然とした夢を持っていました。その後高校まで競技を続けるのですが、入学したのは弱小校で、2年生の時にはトラブルが起きて何とサッカー部が廃部になってしまいました。プレーの場を失った僕は、地元の小学校で子ども達に教えながら自分もサッカーをするようになりました。高校卒業後は新潟にあるjapanサッカーカレッジに入学し、専門的な勉強をしながらC級ライセンスを取得しました。卒業後は東京に戻り、自分が経験してきた事を子ども達に還元すべく、本格的に指導者の道を歩み始めたという経緯になります。選手時代の経験から、信頼関係を何よりも大切にしている自分が教わっていたのは20年程前になるので、まだ鬼軍曹のような監督の元で日々怒られながら練習するのが普通という環境でした。改めて振り返ると、監督は『サッカーの本質を伝えていたんだ』と感じますし、根底には自分達への期待と信頼があったと思います。自分が指導者になっても選手を信頼する事を一番大切にしています。その上で選手がチャレンジしたい事をサポートするのが指導者の役目。成功しても失敗しても、僕にとって結果はそんなに重要な事ではありません。挑戦の結果どうしたらもっと良かったのかを一緒に考え、時にアドバイスしていければ良いと考えています。指導を始めた頃は『何故できないんだろう?』と少なからず悩む事もありましたが、個々のレベルに合わせ、できる部分にフォーカスして褒める事で自分の考え方も柔軟になりました。関わる選手が増えてくるにつれて、臨機応変にアプローチを変える事が上手くなってきたと思います。先ほどお話した事にも繋がりますが、技術云々の前に円滑な人間関係が全てのベースになります。だからこそ、普段は学校の事だったり、愚痴だったり、友達のような感覚で何でも話して欲しい。お互いの心が開かれている状態だからこそ、ここぞという時のアドバイスも聞き入れてもらえると思います。選手と指導者という関係性に囚われすぎず、メリハリを持ったコミュニケーションが理想です。選手の『スイッチ』を入れる指導者冥利に尽きる瞬間というと、意外にもサッカーそのものをしている瞬間ではないかもしれません。自分の指導に対するリアクションというより、選手にスイッチが入った事で能動的なアクションに繋がった瞬間が嬉しいです。例えば練習に渋々参加していた選手が僕と出会って、「自主練をするようになった」「家庭の中でサッカーの話題が増えた」という話を聞いた時にはやってて良かったと感じます。生涯通じてサッカー好きな人を増やしたい自分はプロを育てたいというより生涯通じてサッカー好きな人を育てたいです。プロサッカー選手を育てたいと指導者であれば皆思うかもしれません。でも、自分はそこよりももっと裾野を広げていきたい。引退しても、試合を見たり、公園でちょっとボールを蹴ってみたり、サッカーと関わり続ける人を男女関係なく増やしていきたいです。話を広げると、サッカーがワールドカップやオリンピックといったイベントのみで盛り上がる競技ではなく、もっと日常にありふれたコミュニケーションツールとして日本に根付いて欲しいと思っています。