限られた時間の中で、選手の能力を最大化させる明確に指導者を目指し始めたというターニングポイントはありません。選手としてプロになれなかったら、指導者を目指すという道筋が自分の中で明確にあったんです。筑波大学で競技を続けていく中で、プロ選手になるのが難しいと分かった段階で指導者になる事を決意しました。現在は筑波大学と鎌倉インターナショナルFCという社会人チームで指導しています。大学生は時間に余裕があるので、週6日は練習や試合をする事ができます。社会人になると、選手もコーチも別で仕事を持っている人がほとんどなので時間の制約がかなり厳しいです。そんな状況でどうやってチームを作っていくか、戦術はどう組み立てるか初めは苦労しました。鎌倉インターナショナルFCの泊監督からは非常に学ぶ事が多く、限られた練習機会の中でどうやって成果に結び付けていくかを勉強させてもらっています。コミュニケーションの取り方においても社会人は活動頻度が少ないので質を重視しています。例えば、意識的に個別に話す機会を設けたり、雑談を通じて仲を深めたりしています。憧れの指導者は...筑波大学のOBでスペインのビルバオで指導者をしている日本人の方がいらっしゃいます。大学3年生の時に筑波で指導を受け、サッカーに対する理解の深さと広い視野で現象を捉え、それを言葉にする力、全てに刺激を受け、今もすごく憧れています。大学4年生の時に2週間程スペインに滞在し、勉強してきました。当時は選手とコーチどちらを続けていくか決めかねている状況でした。大学ラストイヤーをどのように過ごすのか、今後もサッカーで自分を表現していくためにはどうすれば良いのか、じっくりと考えたうえで指導者の道を選択しました。スペイン滞在中も彼にはとてもお世話になり、彼がサッカーを続けているうちは自分も辞められないな、という気持ちでいます。勝利から逆算した準備社会人を指導しているという事もあり、自分が指導して選手の能力を伸ばすというより、うまくチームマネジメントしたり環境作りに力を入れています。練習では、トレーニングメニューを考え実践、振り返りを選手と行い、改善に繋げます。試合では、対戦相手の映像を事前確認し、特徴を洗い出しどんな試合運びをしたいか組み立てます。どちらも言葉にすると当たり前に聞こえますが、当たり前の事をしっかりとやり、チームの実力を最大化する事を目指しています。選手時代はあまり準備をしなくても練習をするとある程度成果が得られましたが、指導者になってからはより広い視野が求められます。90分のトレーニング、90分の試合、1週間の過ごし方、1か月の過ごし方、と中長期的な目線を持つ事で選手が目の前の事に集中できるようになります。関東リーグ昇格、その先の指導者としての夢大学時代は引退までのラスト2~3か月、ヘッドコーチとしてひとつのカテゴリを任せてもらっていました。なかなか結果が出ない事もありましたが、シーズン終わりに「航史くんとサッカーできてよかった」と声を掛けて貰えたのが印象に残っています。選手と指導者は上下関係になるのではなく、一緒に戦う仲間なんだという感覚で練習や試合に臨む事で信頼関係が築けると思います。僕はそもそもサッカーというスポーツがすごく好きです。もっとサッカーの事を深く知りたくて日々映像を見たり、勉強をしています。自分がイメージしたプレーが練習や試合で実現した時の喜びは格別です。長期的な指導者としての目標は、ヨーロッパのプロリーグに関わる仕事に就く事です。今は海外で活動をする為の地固めの期間として有意義に過ごしたいですね。大学卒業時に描いたキャリアを実現すべく、まずは鎌倉インテルでコーチとしての経験を積んで、結果を残したいです。直近は関東リーグ昇格と、応援してくれるサポーター、運営スタッフが興奮するような試合ができるよう全力を尽くしたいと思っています。