幼少期の夢は体育の先生小さい時から、体育の先生になるのが夢でした。指導者を志したきっかけは、自分の周りにいい指導者の方がいてくれたからだなとつくづく思っています。前向きな言葉を常にかけてくれる先生方や、できないことができるようになるような働きかけをいつも近くでして下さった先生方に憧れていましたね。なので、初めはサッカーの指導者になりたいと言うより教師としての指導者になりたい気持ちの方が強かったです。人間としての指導を受けた経験も、やはり両親からの影響も大きかったですね。母親は幼稚園の先生で、父親も大学までずっと野球をしてきた人なので、人としての立ち振る舞いや生き方は両親から教わりました。自分が指導者として仕事をするようになってからも、母親にはよく相談していましたね。プロの指導者としての心構え僕はここ30年くらい、いろんなチームでサッカーの指導者として活動させてもらっています。基本的に、「僕ここでやりたいです」っていってすぐ仕事させてもらえる なんてことはプロのチームだとないので、教え子の活躍や指導を評価して下さってオファーをいただいて初めてプロのチームで指導できると思っています。いろんな方々の評価をいただいたお陰で、そのような大舞台で指導する経験を得られました。でも、今思い返すと、プロの指導も高校年代やジュニア年代の選手の指導も特に大きく変わることはなかったですね。僕の指導者としての核が形成されたのは、高校三年間を過ごした三菱養和時代のコーチの影響が大きいです。その方から、「GKが一番サッカーを知らなきゃいけないんだよ」と攻守の優先順位や戦術など『サッカーとは』を親切に叩き込んでもらいました。ゴールをただ守るだけでなく、サッカー全体をその歳で知れたことが今のサッカー指導者としての活動に大きく影響しています。「人生我以外皆師」自分の恩師は、今大津高校で総監督をされている平岡先生なんですけど、「今、前にいる選手が澤村を伸ばす1番の参考書だから、目の前の選手一人一人に全力を出しなさい」と教えられました。その時にいただいた言葉が、「人生我以外皆師」と言う言葉なんですよね。この考え方だと自分以外の全ての人が自分にとってのお手本と言う意味なんですが、これは今でも大切にしています。世の中にはティーチングとコーチングというのがありますが、「サッカーは教えるものではなく伝えるもの」だと僕は思います。僕の知っていることやできることは100%伝えますが、それ以上に選手が求めているなら、一緒に学んでまた伝えていくというのがサッカー指導者という仕事なのではないかなと考えるようになりました。若い頃は、教えよう・教えたいと思っていましたが、今思うと恥ずかしいですね。教えられるものなんかなかったなぁって。指導者冥利を感じる瞬間この仕事をしている上で、指導者冥利に尽きることは何かなと考えたときに、プロの選手たちの大きい舞台での活躍ももちろん嬉しいですが、サッカーだけじゃなくて社会に出ていろんなステージで自信を持って活躍している教え子たちに会うのが1番指導者冥利に尽きるなと思いますね。世の中ってサッカー界だけじゃないんで。よく、サッカー選手はすごい、Jリーガーはすごいって言われますけど、プロの選手たちだけがすごいとは思わないし、どのステージでもすごいとは思ってるんで社会に出て活躍している教え子たちを見るとやっぱり嬉しいですよね。「無知の恥」この仕事はずっとプロの舞台でやってきていたんですが、浜松開誠館高校の指導時代に初めて教鞭(きょうべん)をとらせてもらいました。担任を持たせてもらったり、生徒指導や授業を担当した中でやっぱり僕は指導者が天職だなと感じましたね。「人生我以外皆師」の他にもう一つ大切にしている言葉で「無知の恥」っていうのがあって、この言葉は自分が指導者の魅力を語る上で外せない言葉です。人って死ぬまで勉強だと思いますし、もう50年生きてますが僕の知っていることなんて世の中の何億分の一くらいだと思います。日々目の前の選手とサッカーの現場で仕事させてもらいながら、常に新しいことを勉強できることが指導者の魅力だと実感しています。なので、僕から選手たちに伝えていけるものも1日1日増やしていかないといけませんし、慢心することなく、どのカテゴリーでもどの年代でもどの経歴を持つ選手と対面しても、謙虚な気持ちで大好きなサッカーを毎日学べるのは最高だなと思いますね。これからの日本サッカー界への期待世界のサッカーと比べて、日本のGKは・・・って話をよく聞きます。でも世界と比べて日本のGKが悪いとは思ってませんし、レベルが上がってきたなとは思いますね。僕自身は、プロの指導者として38人の監督と一緒に仕事してきましたけど、GKはGKコーチが育てるものという見解を持っている指導者が多いなというのは感じます。GKであってもサッカーの本質的な部分を指導するのが大事だと思っているので、GKコーチのみならず監督含めスタッフがもっと本質的な指導をGKにしていく環境が増えていくといいなと思いますね。サッカーの指導者の方が、みなさんGKの指導もできるような活動をしていきたいなという風に思います。やっぱりサッカーはゴールゲームが主ですから、点を取るストライカーとそれに対峙するGKやCBといった「よりポジションを発展させた指導法」を自分の中では探っています。その中で、「エラーしたら周りから責められるんだよね」とゴール前に立つ以前から自信を失う選手たちが日本にはまだ多いなとも感じました。海外の子供たちにGKについて話を聞くと、「ボール止めたらヒーローでしょ?」「一人だけ手を使えてかっこいいじゃん」とポジティブな言葉が出てくるんです。このような情報を、日本の未来あるGKたちにこれからも発信していきたいですね。選手と同じ目線で "3つのふりかけ" を持つ指導者のモチベーターとしての価値現役選手と考えるGKの開始姿勢 プレジャンプとゼロコンタクト元サンフレッチェ広島GKコーチ 澤村公康さんによるサッカースクールを開催しました【島根県雲南市】日本をGK大国へ。 指導者がすべき、”受け入れる指摘”