指導者を志したきっかけ-プロサッカー選手として19年間プレーされましたが、指導者になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?最初は「一度サッカーから離れてみようかな」と思っていたんです。ずっとサッカーをやってきたので、一歩引いてみることで、より深くサッカーを好きになれるんじゃないかと。ただ、そのタイミングで浦和レッズハートフルクラブのキャプテンである落合弘さんから声をかけていただきました。実は、僕が駒澤大学から浦和レッズに入るきっかけを作ってくれたのが、当時浦和レッズのスカウトをされていた落合さんなんです。その恩返しの意味もあって、指導者としての道を歩み始めました。-ハートフルクラブの活動内容についても教えてください。ハートフルクラブは「こころを育む」ことを大切にしているスクールです。試合で勝つことよりも、サッカーを通じて人間的に成長することを目的としています。特に海外の子どもたちと交流する機会があり、僕もアジアの地域に行く活動にすごく興味を持ちました。それも指導者として関わりたいと思った理由の一つですね。また、クラブでは親子サッカーイベントなどを定期的に開催し、保護者の方との連携も大切にしています。親と子が一緒にプレーしながら楽しめる時間を作ることで、サッカーを通じた絆を深めることができると思っています。選手時代に受けた影響-プロ時代、多くの指導者と出会ったと思いますが、特に印象に残っている方はいらっしゃいますか?サンフレッチェ広島時代に指導を受けたペトロヴィッチ監督(ミシャ)の影響は大きいですね。彼はコミュニケーション能力が高く、選手一人ひとりを尊重していました。特に「ミスは恐れなくていい。ミスをして成長するものだ」という考え方には救われました。当時の広島は柏木陽介選手や槙野智章選手、高萩洋次郎選手などユース上がりの若い選手たちが躍動していました。僕自身、ミスを恐れてプレーが消極的になることがあったんですが、ミシャの指導で前向きにプレーできるようになったんです。-プロでのご経験が今の指導にも生きているのですねそうですね。僕も指導者として「ミスを責めるのではなく、成長の機会と捉える」ことを意識しています。子どもたちが伸び伸びプレーできる環境を作ることが大切ですから。特に若い世代の選手には、成功体験だけでなく、失敗から学ぶことの重要性を伝えています。試合や練習の中で自分自身の課題を見つけ、改善していくことで、成長につながるんです。指導者としてのやりがい-指導者として幸せを感じる瞬間はどんな時ですか?やっぱり、子どもたちが成長する姿を見た時ですね。例えば、最初は自己中心的だった子が、仲間を思いやってパスを出せるようになったりすると、「成長したなぁ」と感動します。技術の向上だけでなく、こころの成長も大事にしたいと思っています。また、指導者として子どもたちだけでなく、保護者とも信頼関係を築くことも重要です。スクール内でのコミュニケーションはもちろん、子どもたちの普段の様子や家庭での成長について話すことで、より良いサポートができると考えています。-指導者として活躍する一方で、ラーメン店も経営されていますよね?はい、ラーメンが大好きで(笑)。ラーメンとサッカー、どちらも僕にとって切っても切れない存在なんです。いつか地域の人が集まれる場所にして、子どもたちがサッカーを学びながら、ラーメンを食べて笑顔になれるような空間を作れたら最高ですね。-まさに夢の詰まった場所ですね!サッカーもラーメンも「人と人をつなぐもの」だと思っています。僕自身もこれからさらに学びながら、指導者として、また経営者として成長していきたいですね。さらに、ラーメン屋の経営を通じて感じるのは、地域の方とのつながりの大切さです。サッカーもラーメンも、人を笑顔にする力があるので、それを活かして地域貢献を続けていきたいと思っています。