指導者になっても選手時代とやることは変わらない-引退後、指導者になるまでの経緯はどういったものだったのでしょうか?高校卒業後プロの世界に飛び込んだので、引退時にはいわゆる社会経験がない状態でした。幼い頃からサッカー漬けの生活をしてきたので、引き続きサッカーを仕事にしたいと考え、引退が近づいてきた頃から指導者になろうとある程度決めていて、引退翌日から指導者としてのキャリアをスタートさせました。-選手からすぐ指導者に切り替わったことで、難しさを感じた部分はありますか?指導者になって感じた課題が2つあります。ひとつは、それまで感覚的にプレーするタイプだったので、分析不足。もうひとつは、選手時代にもう少しサッカーの勉強をしておけば良かったという事です。指導者になって1~2年は身体が動く中、知識も付いた状態だったので選手時代より上手かったと思います。もっとサッカーの原理原則を理解しておけば良かったという話は他の元プロ選手と話した時にもよく話題になります。指導者になっても、選手時代と同様上手くなるために何をしなければならないか考え、試す、振り返る、いわゆるPDCAを回し続けるという事は変わりません。子どもの時から自然にやってきた事を、今は言語化してどのように子ども達に伝えていくかを日々考えています。指導を始めて7年経ち、今は指導者としての振る舞いも習熟してきたと思います。自分が受けた指導とこれからの指導-多くの指導者の方のもとで経験を積まれてきたと思いますが、ご自身の今に生かされているものはございますか?自分が受けてきた指導はまだまだ根性論ファーストな部分が目立っていました。例えば監督からの「全員抜いてシュートを決めてこい」という無理な指示にも何とか応えようとしていました。今の指導はもっと理にかなったものが多いですが、振り返ると個人の能力を最大化するには、ちょっと無理な内容でもチャレンジさせた方が良いと感じます。厳しい指導の結果プロになれたという実績もありますし、子どもの個性を見ながらどのくらいの塩梅で声掛けしていくのが一番有効か日々考えています。-指導者として、クラブの代表として意識されていることも教えてくださいクラブを運営するにあたり、まず子ども達の身の回りの環境を整える事を意識しています。一緒に練習する仲間、スタッフのコーチングスキル、親御さんとの関わりなど多岐に渡りますが、『良い環境が人を成長させるという』理念の元、取り組んでいます。プロの選手を目指してクラブに通っている子ども達が大半ですが、スタッフは必ずしも全員がプロになるとは限らないと考えて彼らに接しています。最終的にはサッカー以外の分野でもリーダーシップを発揮できる人材をサッカーを通じて育てていきたいです。PDCAを回しながらサッカーが上手くなった経験は、他のどの分野に行っても応用できる力になるはずです。子ども達の人としての成長を感じるのが喜び-柴原さんが「指導者をやっていてよかった」と感じる瞬間はどんな時ですか?大会で結果を残した時はもちろん嬉しいという大前提がありますが、それ以外に喜びを感じる瞬間は、日頃のトレーニングの中で、子ども達が目の前の事に手を向かず100%取り組めるようになった時や自分で工夫をするようになった時です。そういった人としての成長を感じると、「この子は将来どこに行っても活躍できるだろうな」と嬉しく思います。-最後に、これからの夢や目標を教えてください子ども達には夢や目標は叶えて終わりではなく、常に新しいものを設定するように言っています。我々スタッフも「やっぱり敵わないな」と思われる存在であり続けるために成長し続けていきたいです。他のチームがやっていない事を仕掛け、常にアップデートする気持ちを忘れたくないです。