教師を経て指導者になった経緯-磯上さんがサッカー指導者を志した経緯を教えてください現役引退後は教員免許を持っていた事もあり、地元に戻って教員になりました。当初は陸上部の顧問をしていましたし、サッカーとは無縁の生活でした。「なでしこ帰りの人がいるらしい」と地元で話題になり、しばらくすると地元の女子チームから声がかかりました。生徒が成長する姿や、不登校の生徒と向き合う事にやりがいも感じていましたし、教員は天職でしたが、なかなか女子チームの指導と両立する事が難しかったです。結局教員5年目の時にサッカー一本で勝負しようと決め、教員は辞め、指導者としての道を選択しました。サッカーに関わっていなかった3年間は丁度震災直後だった事もあり、復興に精一杯でした。そんな中でも辞めた事に対して未練があり、もっと大好きなサッカーを極めたいと思い至りました。様々な年代を指導する中で感じた難しさ-長く育成年代の指導に携わられてきましたが、トップチーム指導者になって感じた難しななどはあったのでしょうか?育成年代の指導を長く担当してきましたが、結果を第一に求めるというよりは、成長を促すという点にフォーカスしていました。トップチームでは時に30歳近い選手の指導も行います。強度の高い練習をやみくもにしても結果は得にくいです。仕事をしながら競技を続けている選手のポテンシャルを最大限に引き出す事を考え、練習を組み立てるようになりました。指導の中で大切にしている事は育成年代でもトップチームでも変わらず、『選手を否定しない事』。キーパーは選手の人数も少ないので、指導者と選手の結びつきが自然と強くなり、小さな事も共有し合いながら練習をしています。主役は選手、指導者は隣でサポートする-様々なカテゴリー、クラブで指導されてきたと思いますが『指導者をやっていてよかった』と感じる瞬間はどんな時ですか?育成年代を教えている時は、選手の昇格や代表に選ばれるといった結果に結びついた時、選手の人生に関わる事ができて良かったと感じていました。最近は、毎日のトレーニングの中で充実した練習ができた、何か新しい気づきを選手が得たと感じた時に幸せを感じます。主役はあくまで選手、指導者は隣でサポートする役割だと思っています。これからも日々の練習の中で選手が輝くための手助けをできるよう精進したいです。-磯上さんの、これからの夢や目標を教えてくださいニッパツ横浜FCシーガルズでの昨季を終え、厳しい結果を次にどう繋げていくかを考えているところです。結果を求められている中でGK陣4名をどう成長させるかという部分にフォーカスして戦ってきましたが、試合に出られるのは1名。控えの3名のモチベーションをどうやって維持するか、選手たちのメンタルコントロールは重要だと感じています。今季、チームとしては昨年度の成績を振り返り、GK4名の能力を引き出し、失点を少なくする事に注力します。リーグ優勝を目指してチーム一丸となって戦うつもりです。私個人の夢としては、女性のGKコーチがもっと増えてくれる事を願います。女性選手からすると、同性の指導者が近くにいる環境は大切だと身をもって感じてきました。今は母数が少ないですが、女性指導者が増え、女性GKも増えるという好循環が生まれると良いですね。