教員から指導者へ筑波大学の学生だった時に少年サッカーチームを指導する活動に参加しました。その時は指導が好きという感覚はあまりなく、のめり込む事はありませんでした。4年生になってもう少しサッカーを続けたい気持ちが強く、就職活動にも取り組まないまま卒業の時期に。教員免許を持っていたのでとりあえず地元に帰って教員として働く事にしました。サッカー部の顧問にもなりましたが、自分の中では消化しきれない気持ちが残っていました。そんな時に大学時代の恩師がNPO法人を立ち上げるという事を聞き、転職。初めはスポーツを通じて街づくりをする事に興味がありましたが、ご縁あってソレッソ熊本の指導を始め、本格的に指導者の道に進む事になりました。選手の未来が豊かになるようにソレッソ熊本に入っている子ども達の目標はJリーガーになる事、世界で活躍する事など高いレベルです。もちろん彼らの技術を向上させる事に重きを置いた指導をしますが、一方で小学生という人間的にも成長著しい子ども達を預かっている立場である事も忘れてはいけません。彼らの未来が豊かなものであるように、社会に出た時に自分で目標を設定して努力できるような人になって欲しいと思っています。ソレッソ熊本を経てサッカーで夢を叶えた多くの選手に共通している事ですが、明確に自分で目標を定め、常に自分に矢印を向けて努力に繋げられる子は成長スピードが速いものです。みんなに支えてもらった全国優勝昨年、第47回全日本U-12サッカー選手権で初の全国優勝を成し遂げました。指導に携わる中で、目標として意識している友人がいます。彼が少し前指導者として全国優勝を果たした時から僕もソレッソ熊本で全国優勝する事を目指し始めました。常々、チームの中にいる自分を客観視しているというか、チームに活かしてもらっているという気持ちがあるからかもしれませんが、優勝が決まった時は嬉しさや達成感よりも皆に支えられて優勝させてもらったな、という感覚でした。全国優勝はチーム全体に間違いなく良い影響をもたらしています。後輩たちは良い刺激を受け、より高いレベルを目指して練習に励むようになりました。OBたちの活躍を楽しみにクラブを立ち上げた時から代表が目指して来た日本一を20年かけて成し遂げた瞬間はやはり格別でした。目標を日本一に定めると、常に物足りなさを感じるものです。県優勝、九州優勝、全国ベスト8、どれも素晴らしい成果のはずなのに喜びよりも悔しさが勝るんです。何度も負けを経験してやっとチームで日本一に到達した時に、全てが報われました。また、OB達が夢を実現したという嬉しい報告を聞いた時、指導者として喜びを感じます。もともと無趣味なんですが、DAZNでOBの試合観戦をする事を最近は楽しみにしています。目指す指導者像というのは難しいですが、冒頭でもお話した通り、僕らは子ども達を預かっている立場です。彼らの将来が輝かしいものになるように常に自身をアップデートしていかなければならないと思っています。もちろん技術面の強化も必要ですが、これだけ流れの速い社会を今後生きていく彼らをサポートするためには色んな方面にアンテナを張っていく必要がありますね。今は、ソレッソ熊本からサッカー選手になるという夢を叶えた選手達が丁度出始めたタイミングです。ここから引退というステップをいつかは踏むことになりますが、その時彼らがどのような形で社会の中で活躍していくのかにも期待しています。