石黒力蔵さんの夢と挑戦、指導者としてのスタート- 石黒さんが指導者になられた経緯を教えてください。高校卒業と同時にスペインに渡り、指導者の勉強を始めました。実は、中学生の時から指導者になりたいと思っていたんです。最初はイギリスで指導者の資格を取ろうと思っていましたが、高校サッカーを全うしたく、高校は日本に残ることにしました。高校3年生の時にACミランのサッカースクールでアシスタントを務めたことが、私の指導者としてのスタート地点ですね。この経験が、自分の進むべき道を確信させてくれました。- 指導者としての初期の経験について教えてください。ACミランのスクールでのアシスタント時代は、ほとんどボール拾いのようなサポート業務ばかりでしたが、その中でも自分の経験を他の選手に伝えたいという気持ちが強くなりました。自分がサッカーをプレーしていた経験から、他の選手をどう良くするかを常に考えていました。この時期の挫折や努力が、後の指導者としての基盤を築く重要な経験となっています。スペインでの10年間、全カテゴリーを指導- スペインでの指導経験について教えてください。スペインでは、全てのカテゴリーを通して指導してきました。プレベンハーミン(小学1年生と2年生年代)という小さな年代から始まり、フベニール(高校2年生から大学1年生年代)やトップチームまで、様々なレベルで指導してきました。特にインファンティルの年代(中学1年生と中学2年生年代)では、選手の適性を見極めるために様々なポジションでプレーさせることが重要です。この年代は選手が大きく成長する時期であり、適性を見つけるために幅広い経験を提供しています。さらに、スペインの指導者たちから学んだトレーニング方法を取り入れながら、選手たちの成長をサポートしています。- スペインと日本のサッカー環境の違いは何ですか?一番大きな違いは環境です。スペインではどのクラブも芝生のグランドを持っており、3歳や4歳の子供たちが芝生のグランドでプレーするのが当たり前です。また、毎週末に試合があるリーグ戦の文化も大きな違いです。日本では土のグランドが多く、芝生でプレーする機会が限られています。このような環境の違いが、選手たちの育成に大きな影響を与えていると感じます。また、スペインでは早い段階から本気で試合に臨む姿勢が求められ、選手たちの競争心や技術向上に寄与しているのではと感じています。- スペインでの指導者とのつながりはどのように築かれましたか?指導者学校での学びや、他の指導者からのトレーニング方法を学ぶことで多くのつながりができました。スペインでなければ得られない経験がたくさんあります。特に、現地の指導者たちとの交流を通じて、新しいトレーニング技術や指導法を学ぶことができました。これにより、自分自身の指導スタイルを確立し、選手たちにより良い指導を提供できるようになったと思っています。「選手を輝かせるために」メンタルと心理面の重要性- 指導者として大切にしていることは何ですか?選手が成長し、本番で力を発揮できるようにすることが一番大切です。そのために、心理面やメンタルの部分を学び、選手が気持ちよくプレーできる環境を整えることに力を入れています。選手たちが自信を持ってプレーできるようにするために、メンタルトレーニングや心理カウンセリングも取り入れています。また、選手一人ひとりの特性を理解し、それに合った指導を行うことで、彼らのポテンシャルを最大限に引き出すことを目指しています。- 選手の成長を実感する瞬間はどのような時ですか?指導した選手が上のカテゴリーに進んだり、感謝の言葉をもらった時にやりがいを感じます。今年のチームでは、インファンティルの選手が次のカテゴリーであるカデーテに進むことが決まり、それが大きな喜びです。また、選手たちが試合やトレーニングで見せる成長や変化を見るとき、彼らの努力が実を結んでいることを実感します。選手たちの成功が私のモチベーションとなり、さらなる指導の向上を目指す原動力となっています。夢はバルサの監督、教え子たちと世界トップの舞台を- 今後の目標を教えてください。スペイン2部での優勝を目指し、インファンティルの選手をカデーテのスペイン2部に進めることを目標としています。また、将来的にはバルサの監督になり、指導した選手がトップリーグでデビューすることが夢です。これからも選手たちの成長をサポートし、彼らがプロフェッショナルな舞台で活躍できるよう全力で取り組んでいきます。そして、自分自身もさらなる成長を目指し、新しい挑戦に取り組んでいきたいと思います。- 最後に、選手たちへの想いをお聞かせください。まず目標を設定し、それを達成するために努力を続けてほしいです。私も彼らと一緒に夢を追いかけ、共に成長していきたいと考えています。目標を持つことで、日々のトレーニングや試合に対するモチベーションが高まり、より充実したサッカー生活を送ることができます。選手たちが自分の可能性を信じて、挑戦を続けることを応援しています。(元レアルマドリードGK イケル・カシージャス氏がオーナーを務めるクラブ、1Kのフィジカルコーチとして、キングスリーグにも出場)