指導者キャリアのスタートと名将たちからの学び-まずは、一年でのJ1復帰おめでとうございます。2024シーズンを振り返っていただけますでしょうか?昨年J1から降格し、悔しさと体感したJ1基準をクラブ全体が持っているこのタイミングで復帰を目標に掲げて戦ってきました。序盤は特に難しい試合もありましたが、清水戦の勝利をきっかけに20戦負けなしの波に乗れたのが大きかったかなと。終盤4試合は苦しい局面もありましたが、選手とスタッフが一丸となり耐え切った経験は自分たちにとって非常に大きなものになったのかなと思います。来年に向けてさらに強くなっていく必要があると実感した期間でした。-指導者名鑑ということで、指導者としての四方田監督の歩みについても伺えればと思います。四方田監督が指導者を志したきっかけを教えていただけますか?もともと教員になりたいという漠然とした気持ちがありました。そこにサッカーへの情熱が加わり、「サッカーを通じて人に関わる仕事をしたい」と考えるようになりました。当時、Jリーグはまだ発足しておらず、指導者として選手権に出場してみたいと思ったのがきっかけです。-指導者としてのキャリアを歩み始めた時、難しさなどは感じなかったのでしょうか?高校を卒業してから『自分は指導者になるんだ』という強い信念を持って筑波大学にも進学したので、それに向かって突き進んでいったという感じです。-これまで多くのチーム、クラブでさまざまな指導者の方と接してこられたと思いますが、特に今のご自身に影響を与えられた指導者はいらっしゃいますか?選手としても、指導者になってからも本当に素晴らしい方々に恵まれてきたなと感じています。選手時代は習志野高校で本田裕一郎先生という、高校サッカーを代表するような指導者の方から『一番になるための努力』という部分で影響を受けました。指導者になってからは田嶋幸三さんから『選手と同じ目線でやっていくこと』や『指導者が常に学び続けて準備や選手に提供できるものを増やしていく』大切さも学びました。1998年フランスW杯では、日本代表スカウティングスタッフとして岡田武史さんとも一緒にさせていただきました。岡田さんから受けた『監督としての厳しさ』『責任感』『人をマネジメントする難しさ』などは監督として大切にすべきものだと感じます。その後もミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)さんをはじめ、刺激的な方々と一緒にやらせてもらえたのは自分にとっても非常に大きな経験でした。指導者としての哲学や信念、やりがい-四方田監督の指導者として大切にする軸についても伺えますでしょうか?何よりも選手が一番だということは常に思っています。選手が楽しくて、やる気になったサッカーができるように監督として導いていく、指導者としてサポートしていくということが一番の軸の部分です。育成年代の指導にも携わりましたが、トップチームになるとここ最近は特にスタッフの数もものすごく多くなってきています。そういう意味ではまとめていくのが難しい環境になってはいますが、まとまりさえすればものすごく大きな力になります。だからこそ選手だけではなく、それぞれのスタッフのやりがいも重要です。そういった組織づくりを一番大事にしています。-やりがいという言葉もありましたが、四方田監督にとって指導者冥利を感じる瞬間はどういった時でしょうか?日々のトレーニングはもちろん、選手がやる気に満ちあふれていてサッカーを楽しんでいる様子が見ていてわかる時は指導者冥利に尽きる瞬間です。指導者って、選手をよくしてあげたいという想いで色んなことをしますが、そこが選手の成長に一番大事ではないと思っているんです。選手自身が自発的に何かを変えようと思わないと、指導者がいくら頑張ってもだめ。だからこそ選手が自発性を出した時に関わり、それによって選手が成長していくことを実感できた時は幸せを感じますね。そういった成長を続ける選手たちが集まるチームとして、勝利や優勝、昇格などの結果が結びついた時も嬉しさを感じる瞬間です。世界を目指す横浜FCの未来-四方田監督から見た、横浜FCというクラブについても教えていただけますか?消滅した横浜フリューゲルスの流れを受け継ぐ特別なクラブであり、横浜という大都市を基盤に発展を続けています。横浜F・マリノスと同じく横浜をホームとするチームとして、Jの舞台で戦っているチームと思っていましたが、クラブに関わる方やスポンサー企業様の存在も大きく、ものすごくポテンシャルのあるクラブだと思っています。ここ数年はJ1を経験できる機会も多くなってきましたし、どんどん成長してきています。そこから先、J1でどう定着していけるかというのは今の一番のテーマでもありますね。クラブに関わる全ての方々の想いとともに、J1定着だけでなく日本を代表するクラブになり、世界で戦っていけるポテンシャルは大いに秘めていると感じています。-2025シーズン、J1の舞台で戦う中での目標はどういったものでしょうか?まずはJ1残留が最大の目標です。そのために自分たちがどうしていくのかというのをメインで考えていく必要があると思っていますし、監督として明確に提示していきたいと思っています。ただその中でも、今のベースになっている『しっかり守る』というところは継続しつつ、J1に定着するために必要な攻撃の部分もレベルアップしていきたいと思っています-最後に、ともに戦うファン・サポーターの方々へのメッセージをお願いします。ホームであるニッパツだけでなく、アウェイでも多くの横浜FCを応援してくださる方々がきてくださっています。一昨年や昨年もそうですが、苦しい試合でもいつも励ましてくれることで「次こそは勝とう」という気持ちにさせてくれますし、我々の大きな励みになっています。皆さんと喜びを分かち合いたいという想いでいつも戦っていますので、来季からはJ1という厳しい舞台にはなりますが、一試合でも多く勝利の喜びを共有できる瞬間を増やしたいと思っています。応援よろしくお願いいたします。