サッカーからフットサル、そして指導者へ大学卒業後も本当はサッカーのプレーヤーをやりたいと思っていました。学生時代に東南アジアでプロチームの練習に参加した事があったのですが、そこで選手としてやっていけそうという手応えがあり、卒業後は海外へ行こうと計画していました。しかし、丁度コロナが流行った時期と被ってしまい、渡航を断念。ずっと競技を続けていきたいという観点からフットサルを選択しました。甘い考えですが、身長が171センチの僕でも上を目指せるんじゃないかと考えたんです。そこからヴェルディのフットサルチームで1年プレーした後、指導者になりました。東京学芸大学は教員養成大学という事で、先生になるための授業を受けるのですが、教育実習等を重ねる中で、人に何かを伝える事が好きだと気づきました。ヴェルディでフットサルをしながら並行して小学校のチームで指導を開始。指導をしていく中で、自分が成長していくよりも子ども達の上達の方に喜びを感じるようになり、そこで指導者に軸足が移っていきました。指導者として意識している事奥野僚右さんという元鹿島アントラーズの選手が立ち上げた和魂サッカースクールで指導者をしているのですが、彼からは習慣の大切さを教えられています。特に小学生のうちは一生ものの良い習慣を作れる時期で、指導の中で意識している部分です。練習でやった事しか試合ではできないとよく言いますが、日頃の習慣の力は絶大で、実際に選手を見ていてもその通りだなと感じます。自分はまだ若手の指導者で先輩方がたくさんいるので、先輩指導者から教えられる事が多々あります。先ほど触れた習慣の大切さ以外だと、「コーチ/先生という肩書がなくてもその人の話を聞きたい、指導を受けたいと思われる人間になりなさい」という言葉が心に残っています。コーチ/先生は立場が強いので言う事を聞くしかなくなる部分が大きいですが、岩田俊太朗という人間が面白いから話を聞こう、一緒にプレーするのが楽しいから練習に行こう、と思って貰える人間でいる事が理想です。実際現場を見に来た時にどう思われるか分からないですが、コーチという枠に捉われたくないと思っていて、特に小学校低学年の子ども達はちょっとクスっとなるような話ができたり、相手の中にどう入り込めるかということを意識しています。日々を楽しみ、サッカーが繋いでくれた縁に感謝する指導者をやっていて良かったと思う瞬間はたくさんあるのですが、特に挙げるとすれば、毎日楽しくグラウンドに向かっていて、楽しい事がそのまま仕事になっている点です。また、サッカーを通じた仲間がたくさんできた事も嬉しく思っています。今回のインタビューもサッカー指導者をやっていなかったら得られなかったチャンスですし、活動拠点の練馬で指導者同士で食事会をする機会があるのも恵まれていると感じます。もちろん、小学生や大学生と繋がる事ができて「あの試合良かったね」「悔しかったね」なんて語り合い共感できるのも幸せな瞬間です。日々関わる人との楽しい時間が積み重なって、結果もついてくるのが理想この歳になると将来の夢を聞かれて悩むようになってしまい、色々考えてもパッと答えられないのが悔しいです。自分は目立つか目立たないかで言えば目立ちたいタイプですし、監督して全国優勝したい、プロクラブに入って指導者をしたい、という目標もありますが、それが目指す指導者の最終形なのかと問われると違います。結果だけでなく、選手達にサッカーが楽しいと思ってもらえて、また練習したいと思ってもらえて、こんな試合ができて嬉しかったという瞬間があって、そういった事の積み重ねの結果勝てればとても嬉しいです。もちろんチャンピオンスポーツなので、全国優勝、関東リーグ優勝、インカレ優勝といったタイトルは欲しいですが、それが夢かと聞かれるとしっくりきません。タイトルは結果として得られるもので、そこに向かってやるものではないような気がしています。明確な目標を持って努力できている人は素敵だと思いますし、相当なエネルギーが必要ですが、いざ目標が何なんだと問われると『いい人間になりたい』というのが今のところ答えになるんだと思います。目の前で精一杯サッカーを楽しむ子ども達へ選手じゃなくても良いので、どんな形であれサッカーをずっと好きでいて欲しいです。あとは、目標に向けて努力し続けられる人間であって欲しいと思っています。僕も鏡になれるよう日々学んでいるつもりです。習慣さえつけば、小学生はどんなサッカーをどこで習ったとしても上手くなるし、技術は半永久的に向上します。僕も選手時代はGKだったのでリフティングはインステップでしかできませんでしたが、指導者になって練習を重ねてかかとやアウトサイドもできるようになりました。今の小学生はすぐ上手くなるので、僕も努力し続けてお互い切磋琢磨していければ、と思っています。