夢だったプロへの道をあきらめた過去大学卒業時にプロサッカー選手になるか、社会人として働くかの二択でかなり悩みました。それまでの経歴から「プロにもなれただろう」と言って頂けたり、実際いくつかオファーもあったのですが、ネックになったのが金銭面でした。提示された年俸だと奨学金を返す事が難しいだろうと感じたからです。在籍していた中央大学は大手企業に行く同級生が多く、それを横目に「クビになるリスクを負いながらサッカーを続けて自分は後悔しないだろうか?」とすごく悩みましたが、結局はプロになる事を諦め、就職しました。3年程会社員としてバリバリ営業をしている中であえて平日休みの仕事を選び、土日にサッカーができない環境を選択。意識的にサッカーと距離を取っていましたが、奨学金の返済目途がついたタイミングで、土日休みの仕事をしながらサッカーに携わりたいという気持ちが芽生えてきました。指導者になって気づいた、"熱量の差"それまで自分がプレーしていた環境では、サッカーが上手い事が価値基準の全てでした。全員がプロを目指してサッカーをやっていると本気で思っていたんです。指導者になると、全員が同じ熱量でサッカーに取り組んでいるわけではない事に気づきました。プロになりたい子、目の前の試合に勝利したい子、将来の夢は社長だと言う子、様々なんです。自分が一度社会人経験を積んだ事もあり、スタンスの違いを理解し、一人ひとりに向き合う事ができるようになりました。コーチングに必要なのは、"信頼されているかどうか"Footballcoachにも出演している澤村公康さんが恩師です。日本高校選抜で指導していただいた際、『チームメイトをコーチングしろ』という事を言われました。当時、納得はしていたものの、実行するのは難しいと思っていました。指導者になり俯瞰的にサッカーを見るようになると、GKが見ている景色を大きな声で伝える事はとても大切なんだと実感するようになり、今は自分も澤村さんと同様に『GKは声を出してチームメイトをコーチングしろ』と指導しています。会社員経験を挟んだり、指導者以外の活動(YouTubeなど)を通じ実感しているのですが、コーチングするにはそもそも人として信頼されている事が必要不可欠です。特に中高の多感な時期は、難しい事を一方的に言われても届かない事が良くあります。当たり前の事ですが、普段から約束を守る、相手を尊重するといった信頼関係を積み重ねたうえでコーチングが活きてくると感じます。自分にとってサッカーとは?3年間程離れてみて、改めて自分の中でサッカーは生き甲斐だと思っています。サッカーをしない生活をしてみても、無意識にサッカーの動画を観ていたり、日本代表の試合を観戦していたり、切り離せない存在だと感じました。仕事や人間関係で悩みを持つ事ももちろんありますが、ボールを蹴り始めたりコーチングに入ると90分集中してあっという間に時間が過ぎていくんです。幸せな時間ですね。日本代表のW杯優勝を夢見て...選手時代は自分がW杯に出場し、優勝する事を夢見ていましたが、今は日本代表がW杯で優勝する姿を現地で見る事が夢になっています。指導者としては、教え子が高校選手権に出場する姿を現地でビールを飲みながら観戦したいですね。選手として極めてくれる子が出てくると嬉しいと思う一方、生涯スポーツとしてサッカーを楽しみ続ける人がどんどん増えていって欲しいという思いもあります。YouTune活動はエンタメ要素を多く取り入れ、GKの魅力を多くの人に知ってもらいたいという気持ちでやっています。タイムリーな話ですが、先日ヨーロッパに行った時に、改めてGK人気の高さを目の当たりにしました。試合中もGKを応援している声がたくさん聞こえてきました。日本ではまだそこまで注目されていないポジションだと思うので、今後活発に発信して認知を高めて、日本サッカー界のレベル向上に少しでも貢献していきたいと思っています。