憧れの2人のチームに魅了されて大学1年生の時私の出身のチームである横浜市の大豆戸FCというクラブでジュニア年代とジュニアユース年代に関わらせてもらったのが初めての指導経験です。学生時代は他にも都内の私立中学校や大学サッカー選抜も手伝っていました。 大学3年生ぐらいの時、関東リーグの東京23FCというクラブの試合を観に行ったんです。当時は監督が羽中田昌さん、土屋慶太さんがヘッドコーチをされていました。当時の私はサッカーの指導本を読み漁っていた時期。ちょうどその2人の本も読んでいたので、この2人がタッグを組んでいるチームってどんなんだろうって興味本位で試合を見に行ったら本当にいいチームでした。チームとしても技術面もレベルが高くて、すっかり東京23FCに魅了されてましたね。この2人は一体どうやってチームを創ってるんだろう、と大学を卒業してから少しずつ関わらせてもらいました。というのも、私自身、完成された大きなクラブに行くよりは、1からチームを作るところに自分はやりがいを感じるんです。東京23FCは当時ユースもまだ立ち上げてばかりでアカデミーもまだこれから整備していく段階で、そういう組織に携わりながら指導者としても活動していきたいなっていうところで東京23FCにお世話になりました。。大学生の時から10年間、指導相手の年代や目的は様々ですし、クラブ運営やスカウトなどサッカークラブの幅広い領域に携わってきました。2020年の年末あたりから東京23FCのトップチームと東京都一部リーグのセカンドチームの強化を目指す「スポーツダイレクター」という立場になり、それと並行してジュニアユースの立ち上げ、 ユースチームの監督もしていました。放った言葉は跳ね返ってくる 僕には指導者としてのこだわりがあります。それは、小学生だろうが社会人だろうが、コーチと選手が対等な関係であることを何よりも大事にすることと、この前提の上で、試合内容が伴って勝利すること。スピード感を持って選手もチームも発展させたいしていきたいみたいな ところはありましたね。トレーニングでは、90分であれば90分間のテンポを大事にしていました。一つは、「密度」です。セッションとセッションの間がぶつ切りにならないように効率よくトレーニングを進められるように工夫しています。もう一つは「発展性」です。1週間の中で似たメニューを繰り返すよりも、毎日毎日ルールを発展させ、人数も増やしていく。選手の成長スピード、そしてチーム全体の成長を加速させるためです。そして今、私は今年(2023年)の夏からスペインのバルセロナに活動の拠点を移そうと準備を進めています。2022年の終わりに東京23FCでの活動に一区切りをつけさせていただきました。東京23FCでの仕事はとても充実していて、大きなやりがいを感じる経験でした。一方で、社会人の選手にシビアな話をしたり、アカデミーの選手にもっと挑戦するべきだと声をかけるうちに、私自身の中で葛藤が生まれたんです。選手に伝えているように自分は日々挑戦しているのか、私の中では安定してしまってないかと。自分自身も苦労するような場所で活動したい、それなら海外に行こうと思ったんです。海外に行くならバルセロナ一択でした。バルセロナは、東京23FCで働くきっかけとなった羽中田さんがサッカー指導の勉強をされてた場所で、羽中田さんの本を読んでから憧れがありました。次の世代に経験をシェアしたい私が携わっている選手たちがピッチで躍動する姿を見るとき、指導者としてのやりがいを感じます。 私が指導したことでその選手の力が発揮されたというよりも、選手が自ら課題を解決する様子、試行錯誤を重ねた結果よろこんでいる光景を間近で見られる、これはサッカー指導者をしていて良かったと思うところです。今年の2月、下見も兼ねてバルセロナに滞在していました。毎日のようにサッカーの現場を観て回ったんですが、日本でもそうですけどサッカーは見れば見るほど学びがあります。バルセロナで過ごした3週間はインプットがものすごくあって本当に楽しかったです。短期的な目標は、夏からバルセロナに拠点を移してサッカー指導者として活動していくことです。もっと大きな目標は、日本に戻ってきて日本の選手たちに携わることです。今たくさんの日本人選手たちが海外で活躍していて、そこを目標や夢に努力する子どもたちもたくさんいます。海外でサッカーをすること、海外で生活することなど、自分の経験も含めてそういった子どもたちにアドバイスできるような指導者になりたいと思っています。