指導経験は治療に活き、治療経験は指導に活きる地元の山形県酒田市に開業した治療院で診療しながら、地元のクラブチームでトレーナーとコーチを務めています。振り返ってみると、小さい頃から本当にサッカーはなくてはならない存在だったと思います。僕がサッカーを始めたのは小学校3年生の時でした。地元の少年団がきっかけです。地元の中高、関東の大学へ進学するときもサッカーを続けていました。大学を卒業して地元に戻ってきた時はプレーヤーをやめて、母校の中学校のサッカー部で指導者でした。すると今度は「やっぱりプレーヤーやりたいな!」と思うようになって30歳まではプレーヤーもしてました。今から6〜7年前のことです。サッカーチームのトレーナーを目指すようになったのは高校卒業後の進路を考える時期でした。プレーヤー時代はプロに憧れてサッカーをしていましたが、医療事務の講師をしていた母親に「理学療法士はどう?」と勧められたんです。調べてみたら、プロのサッカーチームに関わるトレーナーも目指せることがわかりました。当時は漠然と「カッコいいな」と憧れて、柔道整復師とアスレティックトレーナーを目指すために大学へ進学しました。「大切なこと」はフィールドでも指導者でも同じだった治療院にはサッカーの選手だけでなく様々な競技に打ち込んでいる学生から社会人まで、幅広いお客さんが来ていただいています。一番多いのは部活をしている学生で、僕が全く知らないスポーツをしている子もいるんですよ。サッカーに打ち込んできた経験は治療をする上でよく活きています。種目が違っても人間の体の動きや怪我は似ていたり、根本で同じだったりするんです。逆に、サッカー以外の種目について知ることでサッカー関係の治療のヒントを得られることもあります。診療する立場としてやりがいを感じるのは、選手や患者さんを笑顔にできた時です。体の調子が悪い、怪我をしている人に接することが多いので、僕の治療で改善することができた時、「ありがとう」と言っていただいた時にとても嬉しく思います。あとは、選手が悩みを相談してくれる時です。怪我をすると体がしんどいだけではなく心理的にも辛い状況になります。そういう気持ちを打ち明けてもらえると力になりたいと思いますし、治療者として信頼されていると感じて「トレーナーをしていてよかったな」と感じます。こういう関係を作るためには、信頼関係を作ることが大切です。僕が心がけているのは「選手の目線でコミュニケーションすること」。治療する立場ではなくても、指導者やプレーヤーとしても必要なことですが難しいと感じます。僕がいま指導している選手は中学生が中心です。この仕事を始める前、僕は高校や社会人など上の年代とサッカーをしてきました。自分よりずっと若いプレーヤーたちに何か伝えようとすると、高校や。社会人たちに話す時よりも噛み砕いてわかりやすく伝えることがとても大切です。一つ一つを小学生にでもわかるように伝えるようにしています。目指すは「酒田市出身のプロ誕生」現役プレーヤーの方達が僕を頼って治療院に来てくれるのはとても嬉しいことです。今後の夢は、サッカーに限らず僕が治療や指導で関わった選手がプロや日本代表になった姿を見ることですね。とくに小さい頃からサポートしてる選手がそうなってくれたら感激すると思います。そのために僕自身も色々と工夫しています。一つは、サッカーや治療の関係者とコミュニケーションをとって情報を集めることです。地方なので積極的に情報を取りに行く必要性も感じますし、インプットを昇華するとサッカーや治療の質が上がります。もう一つは ”体験したことをいかに落とし込むか” です。トレーニングでも治療でも同じです。自分が実際に体験していないこと、自分ができないことを教えないとまでは言わないですけど、やっぱり自分が体験したことやできることの方が説得力があると思います。体験していないのに情報だけもらってもそれを伝えることはできないと思うんです。実は僕、プレーヤーの頃にちゃんとした指導者に出会っていないんです。学校で所属していたサッカー部の顧問などもサッカーを詳しく知らない人も多くて、仲間たちと知恵を絞って練習内容を考えたり、自分達のチームを強くしようとしていました。この試行錯誤した経験は今も役に立っていると思います。人に言われたことをするだけでなく、さっきの話のように自分の体験を落とし込むこと、これは自分にしかできないことで考える力があってできることです。