失点の理由を理論立てて説明できるように母子家庭に育ち、かなり苦しい家庭環境でしたが、母は僕にサッカーをさせてくれました。指導者は僕をサポートしながらサッカーの楽しさを教えてくれました。サッカーを通じて様々な事を学ぶ中で、自然と指導者への憧れの気持ちを抱くようになります。小学校5年生でサッカーを始めた時からずっとポジションはGK。経験上、GKコーチがいるチームはほとんどなかったですし、JFLに在籍していた時もGKコーチはいませんでした。技術は独学が中心でしたが、やはりシュートを決められてしまった理由まで自分で究明する事は容易ではありませんでした。もっと理論立てて失点の理由を説明できるようになりたいと思い、GKコーチを目指し始めました。「お前は最高の3番手だった」現役引退する時に監督にかけられた「お前は最高の3番手だった」という言葉がとても印象に残っています。実際、僕は3人いるGKの中でもほとんどメンバー外でした。それでもトレーニングの時には一生懸命声を出し、チームのモチベーションが下がっている時にもひたむきに練習を続けていた姿を監督は見てくれていました。チームの雰囲気が良くなり、控え選手が活躍の機会を得る事に繋がった、とも言ってもらい嬉しかったです。日々の努力は自分の力にもなるし、チームにとっても活力になるんだと感じましたね。選手の好奇心を引き出し、成長を手助けできるような声かけ一人ひとりとコミュニケーションをしっかりと取る事です。GKは多くてもチームに4~5人ですが、その全員と必ず話すよう毎日心掛けています。サッカーに関してだけではなく、様々な話をする中で信頼関係を構築する事でトレーニングの質も上がっていきます。必要以上に教えすぎない事も意識しています。指導者を始めた頃は、自分が経験してきた事をできるだけ伝えようと奮闘していました。しかし、今は練習中の様子を映像で簡単に残せるので選手自身が映像を確認して自分なりの考えを導き出すのを待つように方針を変えました。楽しい、もっと知りたい、と選手が思うような環境作りに指導者は集中するのが良いと思います。選手と指導者は、常に同じ方向を選手にとって身近な存在であるように意識しています。スタッフの中でも親しみやすいキャラクターですし、監督と選手の間に入って様々な話ができるところが自分の持ち味です。大学のチームでプレーしている選手はプロを目指す人、指導者を志している人、全く別の道に進もうとしている人、目標はバラバラです。彼らの話をしっかりと聞き、どんなプロセスであっても同じ方向を向いて歩んでいきたいと思っています。指導者冥利に尽きる瞬間23歳で現役を引退し、指導者になって約10年、たくさんの選手と関わる事ができました。先日、小学校から見てきた選手がJ1のメンバーに選出された、J2でスタメン出場しているというニュースを聞き、震えるくらい嬉しかったです。人知れず苦労して、成長した姿を実感します。卒団した後も選手とは連絡を取り続けていて、彼らの成長に少しでも関わり続けたいと強く思っています。日本のGKの価値を高めたいと思っています。昨年S級ライセンスのトライアルを受けた時にも感じましたが、GKコーチとなると動作分析に主軸を置く傾向があります。僕はサッカー全体に対する理解を深めたうえで、GKの役割とは何なのかを言語化できるようになりたいです。