日本からドイツへ、夢を追い求めた尾曲さんの挑戦-サッカーに関わる仕事を志したきっかけは何ですか?学生時代にサッカーをしていた際、ケガをしてリハビリを受けることになったのですが、その時に支えてくれたリハビリスタッフやトレーナーの存在がとても大きな励みになりました。時に「いつか自分もスポーツの現場で、サポートする立場に立ちたい」という夢が芽生えました。大学では鍼灸やアスレティックトレーナーの資格を取得し、日本で整形外科や接骨院などで経験を積んでいる中で、トレーナーという職業への情熱がより強くなりました。-海外での仕事に挑戦しようと決めた理由は?最初ヨーロッパに住んでみたいという夢がありました。 また、日本での学びや仕事を通じて得た知識を、サッカーの本場でどう生きられるか挑戦したく、日本にはドイツで活動されている鍼灸師やトレーナーもいると聞いて「失敗しててもいいから挑戦してみたいな」とドイツに渡ることを決意しました。-ドイツに挑戦する際、不安はありましたか?はい、もちろん大きな不安はありました。 当時はドイツ語を話せるわけでもなく、仕事の確約はない状態での渡独であり日本のような安定した仕事が保証されているわけではありませんでした。 最初の1年は貯金を切りながら、仕事探しとドイツ語の習得に励む日々で、生活面でも試練でした。将来的な計画としてどのような方向に進んでいくべきかというのはすごく迷いました。文化と言語の壁を超えた8シーズンの歩み-ドイツでの生活や仕事で、特に苦労した点は何ですか?一番の苦労は言葉の壁でした。日本にいる時点でドイツ語を勉強していましたが、実際現地に来てみると、自分の力不足を感じました。専門用語や微妙なニュアンスが通じず、コミュニケーションがスムーズにいかないことに悩みました。また、日本とは違う文化の違いに戸惑いを感じました。1年目はとにかく日々の生活と学びに追われる中で、なんとか適応しようと頑張っていました。-トレーナーとして活動していて、どのような瞬間にやりがいを感じますか?選手が安心して試合に臨める環境を整え、サポートできることにやりがいを感じます。また、特にチャンピオンズリーグのような国際舞台に選手と一緒に立って、「自分の仕事が役に立っている」と実感でき、大きな達成感があります。-昨シーズン、チャンピオンズリーグに出場されたということですが、どのような経験でしたか?チャンピオンズリーグのような国際大会は、通常のリーグ戦とは全く違う環境や雰囲気があり、普段戦っているドイツ国内のチームとはまた違いました。バルセロナやベンフィカと試合をしたのですが、国が違うと選手個々の技術であったり、戦術が全く違って試合の中で学ぶことが非常に多かったです。女子サッカーを支えるトレーナーの使命と信念-トレーナーとして日々の活動で大切にしていることは?日々の活動で最も大切にしているのは、コミュニケーションです。 チーム内で何か問題が発生したとき、自分一人で解決しようとせず、他の同僚やコーチとも意見を交わしながら解決策を検討しています。自分の意見を考慮する必要はなく、他のスタッフとともに協力し合いながら、チーム全体で選手をサポートする姿勢を大切にしています。ドイツでは個人が自分の意見をはっきりと主張し、時には異なる意見が出てもお互いを尊重し合います。そのため、ディスカッションをことで解決する道が見えることも多いです。-日本人選手との関わりについて教えてください。現在フランクフルトには千葉選手が在籍しています。ドイツ語でのサポートが必要な時など、できる限りフォローに入るようしています。生活は不安が多いと思うので、少しでも彼女が安心してプレーに集中できるよう、日本人同士として支えられたらと思っています。-今後の目標は何ですか?個人的には、ドイツ語のさらなる向上を目指して、現地スタッフとも遜色なく話せるようになりたいと考えています。チームとしての目標はチャンピオンズリーグに出場し、リーグ戦を良い成績で終えることです。少しでもチームに貢献できるようにサポートを続けていきたいと思っています。