「サッカーをもっと好きになるような指導を心がけている」大学卒業してから中国に行きまして、そこでサッカークラブを仲間と作ったんですよ。そこから指導者としてスタートした形になります。リアルさかつくみたいなのを上海近くの町、蘇州でやってて。(笑)高校の時にいろんな人の影響でスペインにサッカー留学を1年間していて、また海外で刺激を受けたいなぁという流れで、中国に行きました。中国の時は幼稚園生から中学生ぐらいまでの育成年代を幅広く指導していました。行った時にはこれからも指導者を続けようとはほとんど思ってなかったのですが、やっているうちに子どもの成長が楽しくなったのと、同僚のサッカーに対する熱意でもう少し続けてみようと思ったんです。スペインに1年間行ってた時にお世話になった恩師の方は、「サッカーってもともとみんなが楽しく好きでやってるものであって、誰も強制されてやってない」というのを改めて感じさせてくれた方でした。その後帰国してから、出身校の大分県にある日本文理大学で指導をすることになって、そこで監督をしてくださってた方の影響が大きくて今も指導を続けているという形です。その方は自分がプレイヤー時代の4年生の時に監督をしてくださって、実際に選手としてもお世話になって コーチになってからも上司としてお世話になった方です。部員が150名ほどいて、一番下のチームまでいくと6チームくらいある大学のサッカー部でした。僕が指導者として来た次の年に全国大会に初めて行ったんですけど、そこで感じたのが「チームマネジメントのしっかりとされたいいチームだな」ということです。大学サッカーにおいて、一番下のカテゴリーのチームはトップチームの応援をしなかったり、トップチームは下のカテゴリーの応援をしなかったりというものが少なくない印象でした。しかし、日本文理の監督さんはそこを含めて本当にいいチームを作り上げて、全員が一体となって戦うチームでした。「こういったチームマネジメントがあるんだ」というのを初めて思いしらされましたね。自分の指導者人生において、大きな影響を受けています。サッカーの奥深さや、より戦術的にどう攻略するかといった部分を大学では教えてましたけど、大人になるにつれてサッカーをどんどん嫌いになっていく人が少なからずいるのが現状です。高校でも「もういいわ」って言ってやめる子とか、大学でも同じですが、そういう子が日本はすごく多い。これには悲しいなと常々感じているので、サッカーの本質の部分をいつまでも忘れずにプレーし続けることができるような指導は大事にしてます。専門的分野の外部指導者を招聘。スペシャリストによる選手ファーストな指導日頃から僕も選手と一緒にサッカーを楽しむことを大切にしています。試合中もそうですが、苦しい時こそ「今楽しんでんの?」と聞くようにしていて。指導者が余裕を持って、俯瞰してサッカーの本質である ”楽しむ気持ち” の部分を選手に伝えることは、常に日頃から意識するようにしています。稲葉学園の監督に就任する際は、初めて女子の指導をするので不安ももちろんありました。「難しいらしいよ」とか「男子と全然違うよ」という周りからの声も多かったんです。もちろん大学と競技レベルも全然違いますし、そういった部分で不安がいっぱいあったんですけど、何回か一緒にサッカーをプレーして、選手たちのサッカー愛に心動かされました。「純粋にこの子達とサッカーを楽しみたい」「高みを目指したい」と思ったのが、僕が稲葉学園で女子の高校生を指導をしようと決断したきっかけです。外部コーチとしてきていただいているSunnyさんは、ツイッターを拝見して存在を知ったっていうようなところなんですけど、フィジカルだったらフィジカル、メンタルだったらメンタルというように専門家の方にできれば教えてもらいたいと思いお願いしています。一生懸命やりたいと言ってる子たちには、半端な知識ではなく専門家の方のお力をお借りして提供するっていうのも監督ができる一つのマネジメントなのかなというふうに思っています。今うちには3人コーチがいるんですけど、彼らとは違った外からの視点で、また違った言葉でそれぞれの指導者の色を出してくださっています。そういった指導においてもいい形が出来上がってきているので、選手たちにとってもいいのかなっていうのは思っていますね。なかなか育成年代からスペシャリストの指導を受けることができないので。キーパーコーチもいない高校とかももちろんありますし、そういった中で今後も外部コーチとの連携は継続していきたいと思っています。外部の指導者の方にきていただくことで、選手はもちろん僕も成長しながら、あくまでも選手ファーストは忘れずに連携をとりながら指導しています。(フィジカルコーチとして指導するSunnyさん と GKコーチスペシャルゲストとして来校した若田和樹さん)稲葉学園女子サッカー部を『日本一関心を引く』チームに選手がピッチ上ではできなかったこととかに対してアドバイスしたりとか「少しこうやったら?」という部分を、実際選手がトライしてようやく成功できた時はやっぱり純粋に一緒になって喜びます。選手それぞれに苦しい過去がある人もいますし。選手が試合中笑っている姿や、苦しい時や踏ん張りどきを乗り越えた姿を目の当たりにした時、理想のチームに近づいてるなとすごく嬉しい気持ちになりますね。縁あって稲葉学園高等学校の女子サッカー部の監督をさせてもらっているので、まずはこの女子サッカー部を『日本一関心を引くチーム』にしたいなと思っています。女子サッカーを普及させていきたいという気持ちがこの1年指導してみて強くなってきていて、チームとして全国大会に行くということは本当に大きく掲げていて頑張っているんですけど、僕は強いチームになること以上に本当に応援されるチームのほうが難しいと思っているんですよ。だからそういった部分を目指していきつつ、地域貢献にも力を入れています。大分県の竹田市という町にあるんですけど、いろんな方が応援してくださっているので町を盛り上げていく活動もしていきたいですね。さらに、女子高校生の本当に素敵な部分やかわいい部分、かっこいい部分の可能性がもっと世に出ていっていいんじゃないかとも思っているので、そういった部分の発信も精力的に行っていきます。あとは指導者のレベルアップですね。監督として、自分たちのチームのコーチをレベルアップさせるような取り組みはマネジメントする必要があると思っています。そういった部分もできるようなチームにしていきたいのが今の目標で、また具体的な中身はいろいろやっていくので、ぜひインスタなどでいろんな部分を見てもらったらなと思っています。個人的にはサッカーを通じて、人生を豊かにできるような選手を増やせるような指導者になりたいですし、マネジメントやコーチングなどを磨いてどのカテゴリーでも指導できるようになりたいです。前に働いていた大学でも分析をやらせてもらっていて、そういった部分も好きなので、将来的にはJの舞台でいつか指導できるようになれたらなって思っています。