FCバルセロナやエスパニョールなど、強豪クラブのカンテラ(育成組織)選手たちも通うフットボールアカデミー Brain Football。このBrain Footballでアカデミーダイレクターを務めるNil Congost氏(以下 ニル)らスペイン人指導者2名が2023年8月に来日し、日本でサッカーを楽しむ小中学生年代の選手を対象に2日間のスペシャルクリニックを開催。降り注ぐ真夏の太陽の元、年代別に時間を区切り行われたトレーニングはスペイン人指導者2名の他に、全国から集まったコーチ陣もサポートしてくださいました。今回は、そのスペシャルクリニックより一部抜粋してお届けします。<同期間中に開催した指導者講習会の様子はこちらから>https://footballcoach.jp/reports/20230813_specialworkshop年齢関係なく、サッカーで求めるものは同じこの日集まったのは午前午後合わせて約60人の選手たち。性別やポジション、出身チームも違うそれぞれの選手たちは、実際にBrain Footballで行われているトレーニングメニューを体感し、その日集まった仲間たちと切磋琢磨し合いながら汗を流す時間となりました。「小学生でも、プロでもサッカーで求められるものは同じ。それは、ボールを奪ってゴールを決め、勝利を目指すこと。このクリニックはサッカーを楽しみ、上達したい子達が集まってきているので我々が行うのは『よりサッカーの楽しみを与え、本質を理解してもらうこと』です。指導者は常に意図を持ったトレーニングを行わなければなりません。」クリニックに先立ち、メインコーチを務めるニルはこう語ります。ご協力くださった心強いコーチ陣たちとの入念なコミュニケーションや意思統一を行い、いよいよ2日間のクリニックが幕を開けました。午前はU8-U12、午後はU10-U15と年代別に分かれてのクリニック。午前、午後両方でさらに年代を細かくグルーピングしてメニューをこなしていきます。両日で特に印象的だったのは、ボール回し "ロンド" の光景。日本でもウォーミングアップとしてよく行われるメニューですが、ここにもしっかりとした意図が選手たちに伝えられます。「ロンドはただボールを取られてはいけないというルールだけでない。出し手となる選手がいかにパスコースを増やすことができるかは、受け手のサポートが最も重要です。『どの身体の向きで受けると、次にパスを出しやすいのか』常に考えながら取り組まないとトレーニングの意味がなくなってしまいます。反対に、守備側の選手はパスコースを限定しながらプレッシングを行い、複数人で "どこでボールを奪い切りたいのか" を明確にしておかなければなりません。」普段何気なく行われているかもしれないこういったメニューに関しても、常に試合中の局面を意識し、集中を途切らせない。改めて、"何のためにやっている" のかをひとつずつのメニューで選手たちに伝える中で、選手たちの間でも "自ら考えて出たプレー" が自ずと増えていきます。日々のクオリティに変化をもたらすのは各々の〇〇「私は毎日の90分が全て試合のためのトレーニングになると思っています。それはボールを持っている時、メニューをこなしている時だけではない。合間の時間や、飲水の時間、トレーニングが始まる前や終わってからの時間。ダラダラと過ごすのではなく、すぐに次のアクションを取るべきです。この子達の年代ではこういったところが、さらに改善できると感じました。これが、試合の中で "切り替えの速さ" として表れるんです。取られたらすぐ奪い返す、スローインになったら相手の陣形が整う前にリスタートする。細かなことですが一瞬の判断が勝敗を分けます。」”何をするか" よりも "どのような意識で取り組むか" 。サッカーを上手くなりたいなら、日頃からこういったものを常に心がけてほしいとニルは訴えます。ロンドから始まり、パス交換、1vs1、2vs2、3vs3などそれぞれのトレーニングメニューだけを切り取れば日本で見受けられるものや馴染みのあるものも多いです。「こうしてスペインの外に出てクリニックを開催することも増えてきましたが、僕たちBrain Footballは特別な練習を行うと思われがちです。『トレーニングメニューを教えてほしい』とよく言われますが、インターネットで調べると簡単に見つけることができます。僕たちが参加者の皆さんや、接する選手たちに得て持ち帰ってほしいものは "サッカー本来の楽しさ" と "まだまだ上手くなりたいという気持ち" 。何を行うのかも大切かもしれませんがなぜ行うのかに気づくことができれば、与えられたトレーニングを自分の力にしようと最大限の力で取り組めるようになります。」今回のクリニックでは大正製薬さまにサプライヤーとしてご協力いただき、選手・コーチ陣の熱中症対策における心強い味方となった商品をご提供くださいました。(上記商品は、スポーツ時のエネルギー補給を即時に行えるゼリー飲料 リポビタンJELLY SPORTS)世界基準に触れ、さらなる高みへFIFAの規定によって18歳未満の選手が海外のクラブでプロ契約することは規制されており、海外のセレクションに参加できる選手の対象年齢は基本的に18歳以上とされているケースが多いです。そんな中、日本でも世界基準の指導者の指導を受ける機会を増やそうと今回のクリニック開催が決まりました。2日間のクリニックでも、メインコーチ陣が評価した選手たちには実際にバルセロナで練習参加できる機会を提供するなど、このクリニックをきっかけに世界を目指す選手たちが増えるようなサポートを今後も継続していく予定です。バルセロナ地域で着実な実績を積み重ねる Brain Footballから来た指導者二名と、普段は日本の街クラブやGKスクールなどでJクラブアカデミー選手を輩出する心強い指導者たち、そしてサッカーを楽しみ、さらに上を目指そうと向上心豊かな選手たち。2日間で感じた熱気あふれるピッチでの雰囲気は、これからも日本国内で増やしていきたいと思えたかけがえのない時間となりました。今後Footballcoachでは、BrainFootballならびにニルとこのような機会を増やしていく予定です。随時SNSなどでも告知、発表させていただきますので次回開催を楽しみにお待ちください!Footballcoachの最新情報はこちら