「ボール取られたら取り返せ、だけど一番大切なのは“キラキラした顔”だよ」。2025シーズンよりFC岐阜のアカデミーダイレクターとなった元日本代表FW 田中順也さんが恩師 三菱養和SCの生方修司さんと語るのは、技術や戦術ではなく、子どもたちの個性を引き出す指導哲学。現役時代のエゴイストとしての記憶、そして指導者として直面する葛藤。二人の対話には、サッカーを通じて“人を育てる”という本質が宿っていた。エゴイストを許容する指導が、プロの礎を築いた%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F5DJukXcEzQ8%3Fsi%3DYoGJKyWTgZsUDY1s%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E田中:自分のキックのフォームって、養和の壁から生まれたんですよね。体が小さかったから、遠くに飛ばないっていう悩みがあって。生方:覚えてるよ、よく蹴ってたよね。左隅の「1番」って書いてある的を狙ってさ。俺も手を大きく振って蹴るようにってアドバイスしたけど、それが今でも残ってるのかな。田中:残ってます。あの「手を大きく振るとスッと飛ぶ」って感覚が、今でも染みついてるんです。生方:そうやって体で覚えるって大事なんだよ。あと、ジュニアユースに上がる時も、俺は順也の推薦を出した記憶がある。田中:はい。少年団で土日しか練習がなかったので、平日も練習したくてスクールに通って。中でもコーチたちが一緒にプレーしてくれるって環境が、楽しくて仕方なかったです。生方:そう、うちはコーチ陣もガチでプレーするから(笑)。でもそれが自然と、「サッカーって楽しい」って感情に繋がるんだよね。キラキラした目を育てるのが、指導者の仕事%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FFKjXfC8QQ4g%3Fsi%3DFbxD_5saBBJu1HcZ%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E田中:今、自分も指導者になって思うのは、「個別対応」の大切さなんです。子どもたちって本当に一人ひとり違う。生方:そこなんだよ。監督でもコーチでも、"一人の人として” 選手と向き合うのが大切でさ。昔は「水飲むな!」の時代だったけど(笑)、今はやっぱり目がキラキラしてるかどうかなんだよ。田中:僕、携帯持ってなかったんで集合場所にたどり着けなかったことがあるんですよ(笑)。でもそういう“我慢”の環境も、結果的に人間性を育ててくれたなと。生方:欲しがる前に我慢できる子だったよな。でも、そういう経験が自信に繋がるんだよ。「お前は絶対できる」って言葉一つで、どれだけ救われるか。田中:僕、生方さんから「身長は必ず伸びるから、心配するな」って言われて、本当に安心した記憶があります。生方:指導って、最後はやっぱ“人と人”。その子の中にあるキラキラを見つけて、光らせてあげるのが、俺たちの役割なんだよね。フォワードに必要な「エゴ」は、育てるもの%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FwDlSgWNw8QU%3Fsi%3DoRM2W5Neb3MN7tCa%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E田中:高校時代に、練習でのゴール数を数えてもらってたの、覚えてます?「シュート打てよ!」って。生方:覚えてる覚えてる!フォワードは打たなきゃ始まらないから。環境として「打っていい」って空気を作ることが大事なんだよね。田中:あれで本当に、振ることへの迷いがなくなりました。左足の振り方はアドリアーノの真似をしてましたし(笑)。生方:いいね(笑)。でも、今って「いい子」にさせがちじゃない?俺たちのクラブは、エゴイストを受け入れる環境があったと思うよ。田中:だからフォワードが育ったんですね。僕も若い時は思い切りよく振れてたけど、キャリア後半になると、リスクばかり考えちゃって。生方:そこなんだよね。年齢とともに「安全に」なっていく。でも、それじゃダメで、“あの頃の思い切り”を子どもたちに思い出させるのが、今の俺たちの役目なんだよ。自分で工夫する子が、未来を切り拓く田中:僕、団地で練習してたから、音が響かないように野球ボールを使ってたんですよ(笑)。生方:それが工夫だよな。誰にも言われてないのに、自分で考えてやってる。そういう子は強い。田中:今、指導してる中学生にもそういう工夫を促したいんです。「答えを全部教えるんじゃなくて、ヒントを渡す」って意識してます。生方:“感じろ”ってやつだな。最終的に一流の選手になる子って、やっぱり感覚が鋭いし、工夫ができる。田中:結局、自分で気づいて、自分で選んで、自分で振るっていうところまで持っていかないと。生方:そうそう。俺たちは道を照らすだけ。あとは選手が自分で歩いてくのを信じて待つだけだよな。「ゴールを決めることだけが自分の価値証明だと思っていた」田中順也と鄭大世が語る『エゴイストの真髄』「根性論にだけは絶対にならない」田中順也と鄭大世が語る、エゴイストを活かす指導哲学