
スポーツが育む“人間力” | バリュエンスCEO 嵜本晋輔×ガンバ大阪レジェンドスカウト二宮博が語る『成長の方程式』
公開日時:2025/12/8 21:34
高校卒業後にガンバ大阪へ入団するも、22歳で現役引退という大きな決断を下し、現在は上場企業 バリュエンスホールディングス株式会社の代表取締役を務める嵜本晋輔氏。
ガンバ大阪で本田圭佑、宇佐美貴史、堂安律など名だたるスター選手を発掘し、『育成のガンバ』の礎を築いたレジェンドスカウト 二宮博氏。2人が語るのは「成長の本質」と「環境が人にもたらす力」だった。
本記事では、公式YouTubeにて公開中の対談をもとに、利他の精神、アスリートのキャリア選択、親としての在り方。多岐にわたるテーマを深掘りしながら、両者がサッカーから受けた“人が前に進むための鍵”の正体を紐解いていく。
大成したサッカー選手たちの共通点は“利他の精神”
二宮:ガンバ大阪で見てきた本田圭佑さんや、堂安律さん。彼らの共通点は、人間性でいうと利他の精神。自分だけでなく、チームや仲間、国全体のことを考えられる選手は自然と中心になります。相手をリスペクトし、仲間のために動ける選手は、結果として周囲から信頼されるし、ピッチの中で存在感を放つようになります。
嵜本:その話、すごく共感します。僕自身、現役時代に「自分が目立つこと」よりも「自分がチームの中でどんな役割を果たすべきか」を常に意識してきました。チームメイトが自分の弱みを補ってくれ、自分はその分仲間を最大限リスペクトする。それが結果として、全体のパフォーマンス向上につながっていました。
二宮:結局、利他的な姿勢を持てる選手は、運の巡りも良くなる。周りから応援され、支えられるからこそ、自然と成功に近づいていくんです。
嵜本:企業経営でも同じだと強く感じています。どれだけ優秀でも、“自分だけが良ければいい”というタイプは組織を強くできない。利他性がある人ほど、周囲との協働がスムーズで、結果として大きな成果を出せるんです。
22歳で現役引退──“前向きな撤退”が人生を変えた
嵜本:現役を続けたい気持ちはもちろんありました。でも、自分のプレーを冷静に見つめ直した時、プロとして活躍するレベルに達していないことを理解せざるを得なかった。その事実を受け止めきれず、当時は感情だけでプレーをしていた部分もありました。
周囲の100人中100人が「続けるべき」と背中を押してくれました。でも、僕は自分の未来を考えた時に、“このままサッカーを続けることは自分のエゴだ”と気づいたんです。そこで初めて客観的に自分を見られた気がします。
二宮:簡単な決断ではなかったはずです。その勇気は本当にすごいことですよ。
嵜本:僕にとって、あの“前向きな撤退”は、人生で初めての大きなターニングポイントでした。サッカーを辞めた瞬間は苦しかったけれど、その後の人生を切り拓く原動力になったのは間違いありません。
二宮:撤退を恐れない姿勢は、どの世界でも成功につながると感じます。むしろ前向きな選択ができる人ほど、次のステージで強くなれるんです。
アスリートこそ「依存しない力」を持つべき
嵜本:多くのアスリートは競技一本で生きているぶん、そこに依存してしまう。だからこそ引退を受け入れられない選手も多い。でも本来は、“サッカー選手でありながら○○でもある”という複数軸のキャリアが必要なんです。
二宮:確かに、若い選手ほどその発想を持てていない印象がありますね。
嵜本:僕の会社で取り組んでいるデュアルキャリア制度は、その考え方から始まりました。午前は競技に集中し、午後はバリュエンスで働く。アスリートが競技と仕事を両立できれば、キャリアの選択肢は一気に広がるし、精神的な安定にもつながります。
二宮:兼業がうまく回っているのは、アスリート自身のポテンシャルが高いからこそでしょう。
嵜本:そうなんです。アスリートには“夢中力”という圧倒的な武器がある。それをビジネスに活かせば、必ず成果につながると僕は確信しています。

成長の核心は「考え方」にある
二宮:成功する選手の条件にはさまざまなものがありますが、中でも一番重要なのは 素直さと継続力。他者の言葉を素直に受け入れられる選手ほど伸びるし、長期的に結果を残します。
嵜本:僕は『成長とは “情熱 × 志 × 考え方” の掛け算だ』と伝えています。情熱が弱ければ継続できず、志が低ければ進む方向を間違える。そして、考え方が間違っていれば、どれだけ努力しても成果にはつながらない。
二宮:考え方は技術と違って見えにくいですが、最も重要な土台ですよね。
嵜本:はい。成功体験は人を強くもするけれど、同時に成長を止める“罠”にもなる。だからこそ、自分の価値観を常にアップデートし続ける必要があるんです。僕にも3人息子がいますが、ほとんど口を出しません。親の成功体験を押しつけると、子どもの可能性を奪ってしまうと感じていて。
二宮:とても大切な視点ですね。
嵜本:息子がサッカーをしていても、“見守ること”を意識しています。『見守ることこそが究極の子育て』なのではないかとも思っているんです。自分で考え、判断し、行動する。そのプロセスこそが子どもの成長にとって最も価値があると思っています。
二宮:サッカーから学ぶコミュニケーション力や忍耐力は、将来どんな分野でも役に立つと思いますよ。
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