現役時代はベガルタ仙台やジュビロ磐田、モンテディオ山形などで活躍し、引退後もなお地域と深く関わり続ける萬代宏樹さんと、湘南ベルマーレフットサルクラブでソーシャルインパクト戦略アドバイザーを務める加藤遼さん。サッカーのフィールドを飛び出し、地域と共に歩む彼らの挑戦には、現代社会に必要な「つながり」のヒントが詰まっています。スポーツが持つ力、そして選手たちの新たな可能性について、熱く語り合いました。「サポーターとのつながりが力になる」萬代:病気や怪我で苦しいときでも、応援してくれるサポーターの存在は本当に支えになりました。試合に出られない時期でも、練習場に来て声をかけてくれるんですよ。その温かさに、どれだけ助けられたか分かりません。加藤:それって本当にすごいですよね。選手としてピッチに立っていないときでも、誰かが応援してくれる。その存在がどれだけ心強いか、想像できます。まさに「見守ってくれる人がいる」という感覚が、日々の原動力になるんでしょうね。萬代:試合で点を取ったからだけじゃない。「会うだけで元気をもらえる」って言われたときは、本当に胸が熱くなりましたね。プレー以外の部分でも人に影響を与えられるって、すごく大きなことだと思います。加藤:スポーツが持つエンパワーメント力ですよね。サッカーの枠を超えて、日常生活にまで力を与える存在になっているんだと思います。その感動や刺激が、人と人との間に前向きなエネルギーを生み出していく。萬代:本当にそう思います。だからこそ、自分自身もサポーターからもらった力を返していきたいって思うんです。試合の結果以上に、こうした関係性の中にこそ、スポーツの価値があるのかもしれません。「地域活動が選手と地域を育てる」加藤:湘南ベルマーレフットサルクラブでも、地域課題解決型の活動に力を入れています。選手たちが学校や福祉施設、環境活動に参加しているんです。試合とは違うフィールドでの経験が、人間としての幅を広げてくれる。萬代:僕も現役時代にもっと地域活動に関わればよかったって、引退してからすごく思いました。地域の人たちと直接触れ合うことで、選手自身も成長できるんですよね。プレーだけでなく人としての魅力が育まれると思います。加藤:まさに、選手が地域に出ることで、新たな自分の可能性に気づくんですよ。現役中からそういう経験をしておくと、引退後のキャリアにもつながっていきそうですね。どんな選手も、いずれはセカンドキャリアを歩むわけですから。萬代:そうですよね。小さな町や村でも「うちの応援選手だ」って顔を覚えてもらえると、選手自身もモチベーションが上がると思うんです。地域の中に自分の居場所があるって、すごく心強いことですよ。加藤:選手も地域も、相互に成長できる仕組みを作るのが理想ですね。ただの社会貢献活動ではなく、双方が学び合える環境が鍵になると感じます。「サッカーを超えて社会にインパクトを」萬代:選手が地域活動に参加すると、自己肯定感が高まるし、サッカー以外の世界も見えてきます。引退後の選択肢も広がりますよね。単なる競技者としてではなく、社会の一員としての自覚が芽生える瞬間でもあります。加藤:そうなんです。湘南ベルマーレフットサルクラブでは「ソーシャルインパクトベース」という拠点を作って、選手も地域の人も企業も行政も混ざり合う場所を運営しています。人がつながり、価値が生まれるプラットフォームです。萬代:すごくいい取り組みですね。現役中から地域と関わることで、引退後も自然と社会とつながっていける。自分がどんな形で貢献できるかを、早くから考えるきっかけになると思います。加藤:スポーツクラブが新たな公共空間になる時代。スポーツが地域課題を解決するハブになれると思っています。選手やクラブの枠を超えて、社会全体にインパクトを与える存在になっていけたら素敵ですよね。萬代:僕もすごく共感します。選手自身がもっと外に出て、地域とつながることで、サッカーも、地域も、人生ももっと豊かになるはずです。そしてそれが、次世代の選手や子どもたちへの希望にもつながると信じています。