2022年3月8日、ブンデスリーガの名門シュツットガルトで長年指導された河岸貴さんをお迎えし、日本代表GK シュミットダニエル選手や大迫敬介選手など数々の名GKを輩出したGKコーチ 澤村公康さんと対談していただきました。河岸さんは、岡崎慎司選手や酒井高徳選手が所属していたことでも知られ、現在遠藤航選手や伊藤洋輝選手が活躍するブンデスリーガの名門 シュツットガルトで長年指導されてきました。シュツットガルトではU9のアカデミー指導からスタートし、現在欧州トッププレーヤーのティモ・ヴェルナーやヨシュア・キミッヒ(ともに現ドイツ代表)を教え子にもつ、日本でも貴重なドイツサッカーを知り尽くした指導者の一人でもあります。そんな河岸さんと澤村さんに日本とドイツの指導法の違いやヨーロッパトップレベルの選手たちについて、また日本サッカーのこれからについて伺い、『グローバルな人材を育む環境』について考える時間となりました。サッカーにおけるGKの重要性シュミットダニエル選手や大迫敬介選手を育てたGKコーチの澤村さんと河岸さんの対談ということもあり、日本のGKとドイツのGKにおける重要性の違いについてのディスカッションから始まりました。ご存知の通り、ドイツサッカーは長年世界トップクラスのGKを輩出することで知られています。オリバーカーンをはじめ ノイアー、テアシュテーゲン、ベルント・レノなど名だたるゴールキーパーたちを生み出すドイツでは河岸さん曰く、「11人の中でも一番と言っていいほど重要視されるポジション」。GKのスキルが11人の中で一番低いようでは、クラブのフィロソフィーを体現できないともおっしゃっています。特に近年ではノイアーを筆頭に、ディフェンスライン裏へのボールに果敢に飛び出す守備範囲の広いGKがJリーグにも少しづつ増えてきたかに思います。『サッカーを一番後ろから支えるGKが、最もサッカーを理解している』とも言われるドイツだからこそ、こういった果敢なチャレンジを侵しながらもチームを勝利に導くGKが多いのかもしれません。勝者のメンタリティーシュツットガルトは、先に述べた通り世界トップクラスの選手たちを輩出し続ける「ブンデスリーガ 1の育成組織を持つクラブ」であると河岸さんはおっしゃっています。ヴェルナー、キミッヒ、ニャブリ、リュディガーなど名だたる選手たちがシュツットガルトの育成組織出身。シュツットガルトの育成において、常に言われていることは「勝者のメンタリティを植え付けること」だそうです。選手の入れ替わりが激しく、監督によって目指すサッカーがコロコロ変わるトップチームと比べて、育成年代はそのクラブの一貫したビジョンやフィロソフィーが存在し、選手たちもトップチームに上がるためそれを体現します。そのため、「育成年代では監督が変わってもそのクラブが持つサッカースタイルを貫き通し、とにかく勝ちまくることが選手たちにとって重要。」と河岸さんは語ります。つまり、勝ち癖をつけた選手・勝つことに慣れている選手はそのプロセスを植え付けられているので、トップチームの選手になった時に格段にメンタル面で勝ち方を知らない選手と比べたときに差が生まれるということですね。常に勝利が求められる世界トップクラスの選手たちは、こうして育成年代からメンタリティの部分も指導されてきたんですね。『人生我以外皆師』サッカーを”伝える” 指導者自分自身を信じる力が切り拓いた、世界トップレベルでの指導者の道深い理解を持つことで能力が飛躍する。脳の神経可塑性に着目したトレーニング ”Brain Activity” の可能性世界で活動する指導者に迫る『グローバル人材を育む環境』