2022年6月2日、本を読まずに参加できる読書会を各地で開催しているBookedさんとのコラボイベントとして、『「The Team 5つの法則」から考えるサッカー理論』をイベントとして実施いたしました。今回のイベントは、麻野耕司氏の著書である『The Team 5つの法則』に収録されている内容をBookedさんによる図解で解説されたものとなっております。普段読みたい本があってもなかなかまとまった時間が取れない社会人の方、ビジネスに興味があるけど本が分厚すぎて読んでもうまく理解できない大学生などにはもってこいの企画です。事前に本の知識がない状態で参加することで、頭にスッと入ってくる言葉や物事の本質を心地よく感じることができます。今回は、ビジネス書でも出てくるスポーツの例えや多くのサッカー指導者の方にご参加いただいているFootballcoachならではのアイデア交換を行えた貴重な時間になりました。ここから綴るレポートはほんの一部を抜粋したものですので、ご興味ある方はぜひご参加お待ちしております。組織とグループの違いは、〇〇があるかないかみなさんは、この〇〇に入る言葉が何かお分かりでしょうか?モデレーターからのこのような問いかけに、目標、ルール、規則、理念...など参加者の方からはさまざまな答えが飛び交いました。冒頭で触れられているこの問いかけが、この本を理解する上での準備運動になります。答えは、”共通の目的”共通の目的があるのが組織で、共通の目的がないのがグループであると記されています。この、組織とグループの違いを踏まえた上で、ここからは本題であるチーム論に移っていきます。この本では「より良いチームを作るには、適切な目標設定が必要である」と記されています。つまり、細かく分けられた具体的な目標を正しく理解して設定するということ。目標設定においては、行動目標・成果目標・意義目標の三種類が大切になってきます。どう言った行動を取るべきか、どう言った成果を生み出すべきか、どういった意味を持たせるべきか。このような三種類の目標を適切に設定することで、組織としての方向性を示す一本の道が出来上がります。これは、ビジネスにおいてもサッカーにおいても同じです。目先のゴールや勝利も大事ですが、そこに意義が定まっていないと単なる ”数字の奴隷” になってしまうことも。いい組織には、常にWHY?(何のためにやっているのか)を意識した意義目標が設定されているという新たな気づきを得ることができました。エンゲージメントの "4つのP"さらに会が進むにつれ、チームメンバーのエンゲージメント(信頼関係)についての話に。より良いチーム、組織を目指す上でメンバーのモチベーション管理や相互の信頼関係は目標設定と同等に必要な項目と言えるでしょう。組織論の学術的観点では4つのPという表現が用いられます。・Philosophy(理念・方針)・Profession(活動・成長)・People(人材・風土)・Privilege(待遇・特権)これら4つのPのうち、個人がどれに魅力を感じるのかを明確にすることで必然的に所属する組織やチームが変わってきます。また、組織としても4つのPのうちの一つの魅力を高めることで価値となり、核が生まれます。時代の流れによって、変化してきているこれら4つの重要性。現在は、報酬や地位といったPrivilegeの部分への執着は薄れ、理念への共感ややりがい、仲間とのつながりを組織に求める個人が多くなってきていると述べられています。金銭報酬よりも感情報酬が重要視されてきているということです。よって、良いチームを形成するにはこれらのうちの1つを徹底的に考え抜き、オリジナリティとして構築していく必要があるということですね。サッカーチームとしての理念を貫くのか、チームでの成長を促進するのか、チーム内の仲間意識を高めていくのか。クラブ運営に関わるサッカー指導者にも深く考えさせられる内容となりました。3つの目標の一貫性が "良い組織"の指標に。今回、ゲストとして登壇してくださった松仙FC代表の筒井さんからは「クラブ運営においては、本の冒頭で出てきた三種類の目標の適切な設定が必要であるというのが特に腑に落ちました。行動目標→成果目標→意義目標までが全て一貫した、繋がっている組織こそが良い組織なんだと思います。」といった意見が出ました。サッカーの指導現場において、意義目標や理念といったものが存在していない、または存在はしていてもそれに伴った行動目標や成果目標ではないケースが少なからずあるのが現状です。こういったズレが、いきすぎた勝利至上主義による子どもたちへの負担やクラブと個人の齟齬を生み出しかねないと感じました。チームとしての理念を貫くのか、チームでの成長を促進するのか、チーム内の仲間意識を高めていくのか。クラブ運営に関わるサッカー指導者にも深く考えさせられる内容となりました。盛り上がり必至の人気企画。本を読まずに参加する読書会『Booked』『13歳からのアート思考』に学ぶ、自分の色を表現し “真のアーティスト” になる方法。サッカー現場に落とし込む、ビジネスにおける ”リーダーシップ論”