2018年に日本代表デビューを果たし、シントトロイデンでは正GKとして欧州の舞台でプレーされているシュミットダニエル選手。日本人選手が欧州でプレーするために必要なものは何なのか?デビューしてから数々のチームで信頼を得て、活躍し続けてきたシュミット選手の ”変化した部分” “変わらず貫いてきた部分” は何なのか?「彼がロアッソにきた時から、目的達成意識が非常に強い選手だなと感じている」シュミット選手とはロアッソ熊本在籍時代に出会い、以来成長過程をGKコーチという立場から常に近い存在として見守ってきた恩師 澤村公康さんが、欧州で活躍し続けるシュミット選手の "世界基準のマインドセット" に迫ります。%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F5T5Byg1HuyI%3Fsi%3DCmcXQEbIPNvxZMdl%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E“見えない敵” に対して自分自身でアップデートしていくイベント冒頭、「自分のウィークポイントよりもストロングポイントに目を向けるべきか」という質問に対して「YES」と答えたシュミット選手。「ウィークを底上げするという作業ももちろん大事だとは思いますが、強烈な個を生むためにはストロングを伸ばし続ける方が選手として魅力的だと思います。自分でストロングだと思っているということは、自信があるという証拠。でも、そのプレーを自分よりもストロングにしている選手がいます。自分のストロングに慢心せずに、常にその見えない敵と戦いながら自分自身をアップデートし続けることが “ストロングを伸ばす最善の方法” だと思います。」シュミット選手のこの言葉には、澤村さんも深く頷きます。「今、ダンが話ししてくれたことで思い出すのはロアッソ時代。ダンとはたくさんミーティングしてきましたが、”見えない相手は未来の自分” と言っていたんです。そこで、世界トップレベルのキーパーたちの名前が出るのではなく、ベクトルが自分に向いていた。ダン自身がどんどんスケールアップしていっている段階なんだなと思いました。」“他の誰か” ではなく、常に ”未来の自分との戦い” に挑み、勝ってきたシュミット選手。こういったマインドから、日の丸を背負い、欧州の舞台でゴールマウスを守り続けているトッププレイヤーの所以を感じ取ることができました。GKは、他のポジションと比べても特に ”試合中の存在感”が求められるポジションでもあります。セットプレーや相手選手とのボディコンタクト直前にはキーパーコールや大きな声を出して勇敢に立ち向かう姿は圧巻。付け加えて、シュミット選手がプレーするのは欧州です。Jリーグよりも当然体の大きさやインパクトは計り知れません。これにはシュミット選手、欧州での生活面においても言及してくださいました。「試合中、サッカー中だけの話ではないと思います。孔雀が羽を広げて相手を威嚇する動作みたいなものですね。海外に来た当初は日本人ということでナメられたり、相手にされないなんてこともあるので、自分は強いんだぞというように大きく見せることは大事だと思います。日常生活において、少しのコミュニケーションでも大きめのリアクションを取ってみたり。こういうのを務めてやってると打ち解けるのが早かったりします。いろいろ大袈裟にやっていると、人を惹きつけやすいというのもあると思うので、特に海外でやるには大事なことなのかなと思います。」ベルギーに移籍して4年。現在日本代表GKの中で、最も欧州で試合に出場している理由がこの言葉に秘められていました。“欧州の選手はミスしても謝らない”「こっちの選手はみんな自己肯定感が高いです。高すぎじゃない?って選手もいるくらい(笑)。でもそれくらい(自己肯定感が)ないと、いろんなプレッシャーに勝っていけないのかなと思います。ミスから這い上がるにも、自己肯定感は必要になってきます。なんなら、ミスを自分のミスと捉える選手が少ないですね。欧州の選手はミスしても謝らないです。僕はみんなに気持ちよくやってもらいたいタイプなんで、『今のは完全に俺のせいだ』と認めて切り替えていきますけど。世界で戦うなら、自己肯定感は低いよりは高い方が絶対いいです」とシュミット選手は語ります。目まぐるしく状況が変化する中で、ミスしても引きずらず悪い流れをすぐに断ち切るために、自己肯定感無くして世界では戦えないようです。「ダンはいつから自己肯定感を持っているの?元々あるのかキャリアを積んで徐々に培われたのか」シュミット選手のエピソードに、すかさず澤村さんは質問します。「僕の場合はキャリアを積んで、徐々に芽生えてきました。僕の自己肯定感は、自信が生まれるにつれて変わっていったので。試合に出て、代表に選ばれて少しずつ自信がつきました。自信が自己肯定感につながったんです。元々の育てられ方でも変わってくると思います。」身体的な強さはさることながら、精神的な強さも世界で戦う選手の素質として欠かせないものになっているのですね。自分の日常を常にレベルの高い場所に。会の終盤、最後の議題として上がったのは これからのキャリアについて。「人によって意見が分かれるというのを前提にして、僕は常に高いレベルに身を置きたいと考えています。シントトロイデンに加入した時も、第一GKを確約されたからきたわけではありません。試合出場の機会を増やすために移籍する選手もいますが、僕自身は試合出場よりも日常のトレーニングや生活から常にレベルの高いところにいた方がより自分の成長につながると思っているんです。」シュミット選手がご自身のこれまでの決断を踏まえてお話してくださいました。自分自身の、”あたりまえ” を常にアップデートし続けるシュミット選手から ”今後のキャリア” に関してもまだまだ上を狙い続ける姿勢が伺えました。「僕は今、育成年代の選手たちを多く指導していますが彼らはよく日本代表になりたい、欧州の〜リーグでプレーしたいと言っています。これはとても素晴らしいことですが、語学の勉強してるの?って聞くと、してないとかその発信力でいいの?と聞くとよくないという返事が返ってきます。こういく子たちに、ダンのような代表選手が欧州や世界でプレーするために必要な資質を発信してもらえると夢のために若いうちからアクションを起こす選手たちが増えていくと思います。」プロ選手から育成年代の選手まで、幅広く指導してきた澤村さんがシュミット選手や日の丸を背負う選手たちにかける期待は大きいです。今回のシュミット選手と澤村さんのお話を聞き、現役選手のプレーはもちろん、言動や取り組みなどが今後の日本を背負う選手たちへ与える影響の大きさに改めて気付かされる時間となりました。11月からは、4年に一度のW杯が始まります。日本の未来を選手たちと一緒に作り上げるサッカー指導者の方へご自身の経験からお話される姿から、W杯への強い決意を感じました。この場をお借りして、シュミット選手をはじめ関係者の方々、澤村さんに心より感謝いたします。世界での経験から導き出した、"己の方程式" 。日本を代表する選手たちの世界基準のマインドセット酒井高徳が日々のこだわりから導き出した、世界基準のマインドセット