「脳のメカニズムを理解し、いかに納得感を持ってトレーニングを行えるかで成果が大きく変わります。だからこそ、私のBrain Activityは理論を熟知することに重きを置いているんです。」指導者講習会の講師であるエフィさんはご自身が提唱されるBrain Activityをこう評します。今回の指導者講習会は、ヴィッセル神戸所属 元日本代表 酒井高徳選手の立ち上げたプロジェクトの一環であり、シュトゥットガルト / ハンブルグ在籍時に経験したBrain Activityを日本に広めるための活動になります。講師として、ドイツよりエフィさんを日本にお招きし、各地から集まったサッカー指導者約50名の方々を対象に理論編・実践編の2セクションに分けて講習会を行いました。エフィさんの通訳には、酒井選手と共にプロジェクトを立ち上げエフィさんとも親交が深い河岸貴さん(元シュトゥットガルト コーチ)が務め、指導者講習会はこちらの動画からスタートしました。元日本代表 現役Jリーガーも信頼を置く ”エフィ流フィードバック”%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F3xbLph4BaPk%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3Eこちらの動画は、9/18に行われましたJ1リーグ第30節 ヴィッセル神戸vsガンバ大阪のフィードバックをエフィさん、酒井高徳選手がされている場面の一部を収録したもの。酒井選手はBrain Activityを取り入れ始めたブンデスリーガ在籍時から、今もなおエフィさんからのフィードバックやBrain Activityのトレーニングを実践されています。誰もが知っている現役プロ選手が信頼を置き、Brain Activityを日頃から実践している様子を見た参加者の方々は、今回の指導者講習会における大きなモチベーション・期待を膨らませたのではないでしょうか。エフィさんが提唱されるBrain Activityとは、脳の活性化により運動パフォーマンスの更なる飛躍を促すもので『認知・判断・実行』の速度を速めるものとしても注目されています。サッカードイツA代表、GK U16-U20のエリートキャンプを筆頭に、女子バトミントン代表など多くのアスリートに独自の脳科学における理論を指導されてきました。今回の指導者講習会でエフィさんがまさにキーワードとして挙げられていた言葉が、”脳の神経可塑性”(かそせい:神経細胞が新たな回路を作り出して生まれ変わること)「人間の脳がどのような状態でどれだけのストレスを感じるのか。これを知ることがストレスを軽減し、自分の最高のパフォーマンスを出すことにつながるのです。脳の神経可塑性を理解し、心と体の連動性を理解することで能力が格段に飛躍します。」この言葉からも分かる通り、エフィさんのBrain Activityは『どのようなトレーニングを行うことで効果が出るようになるのか』といった心技体における ”技” の部分ではなく、”心と体” に重きを置いているのです。本稿では、講習会でエフィさんが語られた理論編・参加者の方々と行った実践編をご紹介します。理論の理解が深い効果を生み出す。ストレスに敏感な自分を変える方法「今回の講習会では、脳をうまく働かせたいので僕がずっと話すのではなくみなさんと会話のキャッチボールをしながら一緒に時間を作っていくんです。僕たちは一つのチームです。」エフィさんのこの一言が会場からの視線と集中を生み出します。冒頭では現役時代のエフィさんと一緒にプレーしたドイツサッカー界のレジェンド カール・ハインツ・ルンメニゲ(前バイエルンミュンヘンCEO)とのお写真を紹介され、ユーモアに溢れた雰囲気でスタート。「人間の習慣はすぐに変えられるものではありません。よくパスミスをしてしまう選手へ、『なんでいつも同じミスをするんだ』と課題を抱える指導者にすぐに改善できる方法を聞かれますが、時間はかかってしまう、と答えています。人間の脳は改善しなければいけないものが生じた時に、何かを変えないといけないとエネルギーを使ってしまうんです。この場合、『ミスしないようにしないといけない』という発想に陥りストレスとなります。つまり、ストレスに対して新しい解決方法を見つけることに膨大なエネルギーを使ってしまっているんです。何気ない生活を送っている時でも脳の20%は活発に動いているんです。人生において非常に重要なのは ”解決方法を知っておくこと”。これは難しいことではなく、メカニズムを理解することが出来ればストレスへの対応を無意識にできるようになるんです。」本稿冒頭でも述べた通りエフィさんは、まずストレスの根源や脳のメカニズムを理解することがストレス軽減やパフォーマンス向上の第一歩であると強く主張されています。このエフィさんの考えこそがBrain Activity であると感じました。我々はストレスをなくそうと努力し、どうしたらなくなるのかを考えることにエネルギーを注ぎますが、それがかえって無意識のうちにストレスになっているということにエフィさんの話を聞き改めて気づきました。この脳のメカニズムを理解することを、”自分の中へ新しいアプリをインストールする” とエフィさんは表現されています。「普段とは違った経験をし、それを反復させることで無意識に対応できる脳を養える。」こうおっしゃった後、参加者の方に2つずつのボールが配られ実際にミニトレーニングが実施されました。小さなボールを同時に上へ投げ、クロスした手で捕球するというこのトレーニングには苦戦される参加者の方も多く、和やかな雰囲気で取り組まれていました。筆者も参加しましたがキャッチしようとしすぎるとうまくボールを投げることができず、うまく投げようとするとキャッチの仕方がわからなくなるというもので、心と体を意識して同時に使う難しさを体感しました。「いつも行うトレーニングやオートマチックな思考を繰り返していると、思考回路は固まってしまいます。これは予想外のことや経験したことない事象が起きた時の対応ができず、どのように解決すればいいのかわからないという考えを引き起こします。私のBrain Activityでは、これまで脳が経験しなかったものを与えていき脳の神経可塑性を作り出します。こういった脳の神経可塑性は、自分の身に降りかかる事象やストレスへの耐性になるとともに柔軟な考えに落ち着きます。」普段使ってこなかった脳を動かすこと、また脳に対して新たな習慣を常に作り出していくことでいかなるストレスや重圧にも屈しない脳の構造が出来上がるとエフィさんは唱えます。脳に常に新しい ”アプリケーション” をインストールする重要性約三時間のエフィさんによるBrain Activityの理論講演を終了したところで、一同は体育館へ。しっかりと脳のメカニズムを知り、エフィさんが提唱するBrain Activityを理解した上で行うトレーニングは本質に基づいた内容となりました。室内でのミニトレーニング同様、実践編で行うトレーニングも小さなボールを使ったもの。二人一組になり、相手が投げたボールを指示された手で捕球するもの・指示された手と逆の手で捕球するもの・指示された方向の足を前に出して捕球するものなど、ベースは同じでもさまざまなシチュエーションに変化させたトレーニングからスタートしました。このトレーニングでもやはりエフィさんが口にするのが「脳の神経可塑性を作り出そう」という一言。少しずつ要素が足されていくトレーニングでも、長い時間反復して行うことで脳と体が慣れ、徐々に『認知・判断・実行』のスピードが加速していくのを参加者の方々も体感していました。(休憩時間にはSC相模原GK 圍謙太朗選手に特別指導をする姿も)今回の講習会では座学となる理論講習内でエフィさんが指導したドイツ代表でも実際に行ったトレーニングの映像を用い、「このような選手たちも最初は皆さんと同じようにうまくできなかった。しかし、理論を説明しそれぞれが理解した上で行うと徐々にできるようになったんです。大事なのは誰がするのか・何をするのかではなく、どのようなメカニズムになっていて本質はなんなのかを正しく理解すること」と参加者の皆さんに説明されていたのが印象的でした。プロ選手だから、ドイツ代表のトッププレイヤーだから行われているトレーニングという概念を持たせず、本質を理解していればいかなるトレーニング内容であろうと『認知・判断・実行』のスピードを加速させ、よりBarin Activityの成果を体感できるようになるということを得ることができた貴重な時間となりました。〜最後に〜今回開催しました酒井高徳選手と河岸貴さん共同のプロジェクトは、引き続きFootballcoachが運営に全面的に協力させていただき今後も実施していきます。エフィさんならびにBrain Activityがもたらすスポーツ界への貢献はもちろん、企業や自治体など非スポーツ界への貢献も計り知れないものがあり、サッカー以外の他スポーツや経営者向け・保護者向けなど定期的に本活動を行ってまいります。講演やプログラムの実施を希望される方やスポンサー様も募集しておりますので、ご興味ございます方は以下お問合せ先へのご連絡をよろしくお願いいたします。【お問い合わせ】「ブレインアクティビティ」プロジェクト運営事務局https://footballcoach.jp/form/efthimios元ドイツ代表指導者が語る 生産性を劇的に上げるストレスマネジメントのすすめBrain Activity / ブレインアクティビティ 公式Youtube