喜びよりも安堵が。シュミット選手を近くで支えた指導者の声「GK陣の中でも最後に名前呼ばれたからヒヤヒヤしちゃいましたね。(笑)呼ばれるだろうとは思っていても、いざ呼ばれると嬉しさがぐっと込み上げてくるものです。」こう語るのは、かつてロアッソ熊本でシュミット選手を指導したGKコーチ 澤村公康さん。日本代表メンバー選出記者会見でシュミット選手が「これまでのキャリアで大きな変化を与えてくれた指導者」として澤村さんの名前を出すほどシュミット選手にとっての恩師です。現在も自主トレを行ったり、よく連絡を取り合う間柄である澤村さんは、教え子のW杯メンバー選出に安堵の表情を浮かべます。「選出前最後の試合では、いい場面でのPKストップもあって勢いに乗ってる印象。そのままW杯もスタートから出るんじゃないかと思えるほどです。まだ大会まで3週間ほどあるのでどうなるかはわかりませんけどね。ベルギーでもあと二、三試合あるので、この期間内に怪我だけは気をつけてほしいです。」2018年の代表デビューから4年。常に日本代表に選ばれ続け、欧州の舞台でも試合に出続けるシュミット選手へは澤村さんはもちろん、国民からも大きな期待を感じます。教え子から学んだ、”発信力” と指導を後押ししてくれる言葉この会の直前まで行われていた、シュミットダニエル選手の日本代表メンバー選出記者会見。会見でも名前が出た澤村さんは本来、喜びの声をそのままシュミット選手に伝える予定だったと教えてくださいました。時間の都合上叶いませんでしたが、シュミット選手へどのような言葉をかける予定だったのかという問いにも答えてくださいました。「まずはやっぱり、おめでとうの一言ですよね。日本国民でプロアマ問わずGKって何人いるんだろうと計算しようと思ったんです。その人たちのトップ3に選ばれたんだから、改めてすごいねと伝えようと思ってました。地道に頑張ってると必ず報われるんだなということを教え子からこのような形で教えてもらって、学べました。あいつ、なんだかんだ言って有言実行なんですよ。自分の口から表現すること、発信することの大切さも再確認することができました。自分の今やっている指導に後押ししてくれるような今回の出来事と今日のダン(シュミット選手の愛称) からのコメントでした。」「自分の限界を自分で決めるような選手では昔からなかったですよ。かといってロアッソで指導していた当時は ”今の自分” を見ることに苦労していました。周りから将来性、将来性と言われ続けてきたのもあり、将来のことばかり見ていたんだと思います。0に何かけても0であるように、彼にも悩んでいた時期はあったんです。しかし、絶対に自分をネガティブに表現することはなかった。だから、こうして夢を掴めたんだと思います。」こう語る澤村さん。シュミット選手がロアッソ熊本時代にご自身もGKコーチとして付きっきりで指導し、一番近くで見てきたからこその教え子の成長を柔らかな眼差しで語ってくださいました。指導者と選手の関係性。Footballcoachからプロ選手誕生も近い?!「今回このような形で教え子の夢が無事叶って、記者会見で僕へのコメントを発してくれて、とても指導者冥利に尽きるなと思いました。僕の恩師でもある大津高校の平岡先生にも『選手が指導者の評価を持ってきてくれる』と言われていました。指導者人生をスタートして30年ほどですがこういう思いもあるんだな〜と平岡先生のお言葉が浮かびました。この間連絡した時に『俺も最近だぞ、わかったの』と言われました。選手が指導者の株をあげてくれるのだと思います。」指導者が選手を育てるだけでなく、選手も指導者を育てる。澤村さんのこのような言葉から、年齢や立場ではなく互いが持つものを共有し合える選手と指導者の関係性が素敵だと感じました。このような選手と指導者の素敵なエピソードをお聞きし、最後にFootballcoachとしてのこれからについても語り合います。「これからは、Footballcoachの中からプロ選手が出てくることもあると思います。GK指導だったら僕が、海外でのプレーとなると現在海外で指導されている水野さんや天野さん、メンタル面のケアや相談は心理カウンセラーの片田先生など、Footballcoachには各方面のスペシャリストが揃っています。Footballcoachにご参加いただいている水野さんのような海外指導者の方にお願いして、日本から海外遠征もできますしね。そういう原石に日本でどんどんスポットライトが当たる機会を作っていけたら面白いですよね。」指導者という共通点はありながら、サッカーだけではない多角的な視点や経験を持った方々が一堂に会するコミュニティとして、サッカーという分野で活躍したい、もっと上を目指したいこれからの日本を背負う選手たちが育まれる環境づくり。シュミット選手の日本代表選出を心から喜び、これからの日本サッカーについても熱く語り合う素敵な時間になりました。日本代表GKが語る、”欧州で活躍し続ける選手になるために必要なもの”