「今日は国連やダボス会議などでいろいろな提言をする人物としても有名な、リンダ・グラットンさんの著書『ライフシフト : 100年時代の人生戦略』という本についてご紹介していきたいと思います。心理学を学位として持っているので、ビジネス本といえど人間の成長や学び、人生全般について興味のある方だと思います。この方は、日本で特に自分の本が影響を与えたと強調しているんです。今回の書籍を出版する前は『ワークシフト』という本を出しており、こちらは日本でビジネス本大賞も受賞しています。日本政府もリンダさんに提言を求めるなど、日本との繋がりが濃い著者の書籍です。」今回のBookedテーマ書籍は、『ライフシフト : 100年時代の人生戦略』。キャリアについてや自分の資産、人生の目的などに関して全てを人生100年以上の尺で考え直すべきであるとして記された書籍です。この本をBooked主宰の浦野さんを中心に、ボアソルテスポーツクラブ 理事長の大賀肇さんをゲストにお迎えしディスカッションを展開していきました。キーワードは『人生100年時代』。人生の過ごし方にも変化が?!「2014年生まれの子どもたちの約50%が109歳まで生きると書籍では述べられています。客観的な指標として紹介されているのですが、著者は人生100年時代というイメージを強く持っているそうです。これまでの60歳へのイメージと、現在の60歳へのイメージは遥かに変わってきているのも、それぞれが考える人生の期間がより長くなってきているからなのではないでしょうか。長寿は人生そのものを変えるとも表現されており、長生きすることで多様な働き方や生き方が出てくると言及し、これを『マルチステージの人生』と著者は呼んでいます。」(浦野さん)就職し、定年まで勤め上げるのが当たり前だった世の中から、時代やテクノロジー、働き方の変化によって多種多様な人生を歩む人々が増える世の中に。定年を終えてから独立し、起業する人やこれまでの経験をもとにした新たなチャレンジをする人も少なくないこの時代だからこそ、知っておきたい内容が記されています。人生100年時代を生き抜くために重要な、"有形資産と無形資産"「人生100年時代を生き抜くために必要になる2つの重要な観点が、この本で大きく述べられている部分になります。それは、"資産" と "ステージ"。資産というと物理的実体のある有形資産、つまりお金や不動産を思い浮かべるかもしれませんが、この本では物理的実体のない無形資産の重要性を説明しています。無形資産には、生産性資産(所得を上げるためのスキルや知識)・活力資産(心身の健康を高めるもの)・変身資産(人として変わるために必要な自分自身の知識)があるとされており、有形資産と無形資産はお互いが関連し合っているとも述べられています。」(浦野さん)「10年前、教員を辞めて現職に就かれた大賀さんは、教員としての人生の歩み方では珍しい形だと思いました。当時の大賀さんには変身資産について、『自分はこれを持っていたな』というものありますか?」ここで浦野さんから今回のゲスト指導者大賀さんへ、これまでの人生の歩み方についての質問が。「教員の世界には27年ほどいました。学校の中で初任地から型にはめられたことがなく、自分で考えて試行錯誤しながらやってみるというスタイルだったんです。その後も、誰かに教えてもらって受け継いでいく環境ではなく、自分でチャレンジしていくタイプの教員でした。子ども第一で、子どものためになることを考えてやってきたということですね。今話を聞いてきて、キャリアが嫌だから辞めてみようと思ったのではなく、『教育現場って学校だけじゃないよね』と思ったのがキャリアを変えたきっかけだったと振り返りました。スポーツを通した教育をやってみたいという気持ちが強かったため、迷いはなかったです。それが変身資産として自分の中にあったのかなと思いました。」(大賀さん)大賀さんの経験の中で積み上げられてきた変身資産が、ご自身のキャリアを変える大きな要因になったのだそう。これは、多種多様な生き方が当たり前になってきている現代においても非常に重要であり、これからのキャリアを考える人の背中を押す原体験のひとつであるといえます。人生100年時代に現れる3つのステージと、人生の歩み方「教育を受ける→仕事をする→引退して老後を迎える といったステージではなく、マルチステージでは3つのステージが人生の中に現れると書かれています。それが、エクスプローラー・インディペンデントプロデューサー・ポートフォリオワーカーの三つです。前述にもあるとおり、これまでの働き方とは大きく異なる働き方が主流になりつつあります。大賀さんのように、定年前でキャリアを変える方も今後ますます増えてくるでしょう。人生100時代と言われる現代とこれからは、組織に属すことだけでなく個人でビジネスを立ち上げたり、幾つもの仕事を同時並行で行うステージが生まれてくるということですね。」(浦野さん)「今年でちょうど同級生の方々が定年になる年なんですが、再雇用として同じ職場で働くことを決めた人が周りに多く不思議な感覚になることもあります。次のステージに移るのなら全くみたことのない景色にチャレンジしたらいいのにと思いますが、学校という限られた場所で働いていた人たちはなかなかチャレンジしにくい環境にいることも理解できます。その時に勇気を持って違うステージに入っていければ、また違う人生が待っているのかなと今日のお話を聞いて思いました。」(大賀さん)教員という立場から、違う世界を見たいとチャレンジした大賀さん。人生100年時代において、チャレンジが自分自身の新たな世界を切り開いてくれるとお話ししてくださいました。一つのものにとらわれることなく、常に広い視野と幾つもの選択肢を持って人生を歩むことは、大きな資産となって自分に返ってくるのだと感じました。『ライフシフト : 100年時代の人生戦略』は、これからのキャリアや人生を彩りのあるものにしたい、新しい世界に飛び込んでみたいと意気込む全ての人に読んでいただきたい書籍です。"心の成長"こそがサッカー上達への一番の近道盛り上がり必至の人気企画。本を読まずに参加する読書会『Booked』『13歳からのアート思考』に学ぶ、自分の色を表現し “真のアーティスト” になる方法。サッカー現場に落とし込む、ビジネスにおける ”リーダーシップ論”"本を読まない読書会" で考える、サッカーチーム理論『2040 教育のミライ』から考える、中国教育改革とこれからの日本教育の在り方心理的安全性が保たれた『恐れのない組織』の作り方。