ビジネスにおける利き手(本業)と非利き手(新規事業)の違い、それらの関係性から組織の更なる成長のために必要なものは何なのか...今回のBookedテーマ書籍は、『両利きの経営』。経済学の大家とも言われた著者が綴る一冊で、経営者たちの間でも長年読まれ続けている名著です。今回もBooked主宰の浦野さんを中心に、ビーチサッカークラブ レーヴェ横浜代表の奥山正憲さんをゲストにお迎えし、スポーツクラブ経営における利き手と非利き手を考えます。キーワードは ”深化" と "探索"「大企業をどうマネジメントし成長を続けていくか? というテーマは100年以上研究されているテーマですが、『両利きの経営』自体は新しい経営理論なんです。キーワードは『深化』と『探索』。深化は『クオリティや生産性を上げることで既存事業を磨くこと』、探索は『既存の本業とは全く異なる新しい事業にチャレンジすること』とイメージしていただけるとわかりやすいですね」浦野さんからのこのような解説からも分かるように、両利きの経営のポイントは深化と探索を同時に行う点です。本業が落ち着いたタイミングで新たな事業を模索するのではなく、本業をやりつつ新たなチャンスを探す。これこそが『両利きの経営』の基本と言えるでしょう。利き手と非利き手は、『異なる取り組み』「例えばNetflixを例に挙げて考えてみます。Netflixは元々、DVDをオンラインで注文を受け商品を郵送する会社でした。映画やアニメ好きの顧客に動画配信サービスを提供するという事業が大当たりしていますが、これは図の右下の部分 (既存市場×新規組織能力) の成功事例と言われています。」(浦野)縦軸に市場や顧客、横軸に組織能力(設備、人材など)を取り、このような図解で説明してくださいました。「利き手は左下のエリア、そこから "探索" をかけて それぞれから伸びている緑の枠内が非利き手といったイメージです。この中で最も難しいと言われるのは、両軸とも新規に挑戦する右上のエリアになります。まずは『深化』と『探索』は全く異なる取り組みである事を理解しなければなりませんが、多くの大企業はそれができないのです。狙いが異なるため人事評価やアサインする人材も変えなければならないのに、混同される事が多く、両立できません。」(浦野)ビーチサッカークラブにおける ”利き手" と "非利き手"今回のテーマに沿って例えると、『サッカー、フットサルは大手企業で歴史や文化が確立しているイメージ』『ビーチサッカーはスタートアップに近いイメージ』といったところでしょうか。「ビーチサッカーの特徴は、サッカーと比べて頻繁に得点が動き、ラスト5秒まで勝敗が分からないエンタテインメント性の高さです。ビーチサッカーにおける『利き手(本業)』はチケット代やグッズで売上を作る事ですが、『非利き手』は自由度の高さを活かしたアパレル展開、ビーチクリーンの文化など。様々な可能性を模索中です。スポーツ+エンタメをうまく打ち出して成功しているのはBリーグ(プロバスケリーグ)だと思います。学ぶべきところも多く、参考にしています。」(奥山)ビーチサッカーは競技自体のエンターテインメント性を含め、グッズやアパレル展開、SNSでの発信も精力的に行いながら、若い世代をターゲットに興味促進を目指しています。%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FXgBSwbKfghA%3Fsi%3DkiMX7pNw5cl28QjF%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E「素足で行うスポーツという事で安全性と浜辺の環境は密接に関わっています。危険物の除去やゴミを残さないなど、ビーチクリーンの文化を残すことは自然を維持することにもつながると考えています。さらに浜辺は足腰への負担が少ないので、幼児や高齢者も安全に運動できる場です。幅広い年齢層の方にビーチサッカーを気軽に楽しんでもらえる可能性も広げながら、事業者や地域とうまく連携して "ビーチフィットネス" を新たな非利き手としてチャレンジしたいなと思っています。」(奥山)非利き手で成果を上げていくには...『時に他組織の事業を真似、撤退すべきものと撤退してはけないものを見誤らない事』『既存事業、新規事業に囚われることなく、利益を生み出せるか否かで判断すること』これら2点は非利き手で成果を上げるために重要視すべきことであり、経営者のリーダーシップが全ての要です。アメリカの経営者は在籍期間中に結果を残そうとしますが、日本の経営者は長期視点で経営を行う点が優れています。現在、日本のビジネスはお世辞にも好調とは言えませんが、両利きの経営を行う事で盛り返すチャンスがあると言えます。ビーチサッカーの魅力を多くの人に届けたい。選手、指導者、クラブ代表として業界を盛り上げていく事に邁進中。盛り上がり必至の人気企画。本を読まずに参加する読書会『Booked』『13歳からのアート思考』に学ぶ、自分の色を表現し “真のアーティスト” になる方法。サッカー現場に落とし込む、ビジネスにおける ”リーダーシップ論”"本を読まない読書会" で考える、サッカーチーム理論『2040 教育のミライ』から考える、中国教育改革とこれからの日本教育の在り方心理的安全性が保たれた『恐れのない組織』の作り方。『ライフシフト : 100年時代の人生戦略』から読み解く、主体的な人生を歩む方法