現役選手6名が参加したGK合宿『ゴーリースキームキャンプ』。三泊四日で行われたこのプロジェクトの最終日には約50名の小中学生を対象にしたGKクリニックも開催され、子どもたちはプロ選手たちの『本気と本物』を肌で感じながら選手と一緒に汗を流しました。憧れのプロサッカー選手が実演を交えて一緒にボールを蹴ってくれる貴重な時間には、若き守護神たちにも笑顔と活気があふれました。「GKは特別な、誇り高きポジション。」「君たちが幼い頃憧れた選手たちのように、今の子どもたちはプロサッカー選手とボールを蹴れる時間を楽しみにしているよ。この三泊四日のGKキャンプを締めくくるのが子どもたちとのクリニック。本気でGKを楽しむ、熱いプレーをする姿を見せてもっともっとGKという素晴らしいポジションを伝えていこう。」3日間のトレーニングを終えた澤村さんは選手にこのような言葉をかけました。4日目の最終日に東京都内で行われたGKクリニックには約50名の小中学生が集まり、アシスタントコーチとして約10名の大学生やサッカー指導者も加わる賑やかなイベントに。「GKは止めたらヒーロー、決められたら戦犯扱いされるような良くも悪くも非常に極端に評価されるポジション。でも、やはりGKをプレーする楽しさを子どもたちには感じてほしい。」今回参加した選手全員が感じているGKというポジションの特別さ。「ドイツでプレーした四年間で、向こう(ドイツ)のGKへのリスペクトには驚きました。GK大国と言われる国の子どもたちは、フィールドプレーヤーよりもGKをやりたがっていた。日本がGK大国になるためにもこういった文化は今後必要。それを僕たちプロが示していければ。」寺沢優太選手がこう語るように、日本におけるGKのイメージはまだまだGK大国と呼べるには程遠いと感じます。そんなGKに対して特別な思いを思った選手たちによる時間はスタートしました。「選手の "本気" を見せることに意味がある」「定期的にGKスクールやクリニック、こういったイベントを開催していますが今回のように現役選手を招いて行うものも多いです。その時に僕が彼ら(プロ選手)に求めるのは、『本気』。子ども相手だからとか、イベントだからとかは関係ありません。『プロの選手ってこうなんだぞ』と本気の本気のプレーを子どもたちに見せる事は、わかりやすく子どもたちの憧れにつながります。なので、参加してくれる選手にはプレーのデモンストレーションをしてもらうんです。迫力あるプレーや、キックのインパクト音、お腹から発せられる声。技術はもちろんですが、GKとしての存在感やプロ選手のオーラを子どもたちに感じ取ってほしい。」澤村さんのこの言葉に答えるように、選手たちはこの日も次々と本気のデモンストレーションを実践します。サッカーを楽しみながらも、本気でプレーするプロ選手たちを見て子どもたちのプレー 1つ1つにも魂が宿り始めます。6名の選手はクリニック冒頭からそれぞれのグループに分かれ、参加者の子どもたちやアシスタントコーチなどの約10名ほどのチームをそれぞれ担当。全体をマネージメントする澤村さんから与えられたメニューをグループごとにこなしていきます。「ナイスプレー!今の飛び出し良かったよ」「あー、惜しい惜しい。でも今のめっちゃいい判断だったよ」「開始姿勢はもう少し足を開いたほうがいいかも」プロ選手が身振り手振りで教えてくれるのに対して子どもたちも持ち前の元気良さと力強いプレーで応えます。「GKはシュートを止めるだけじゃない」クリニックの終盤には、チームごとにビブスを着てゲーム形式のメニューが行われました。ゲーム形式といっても、普通のゲーム形式とは少し違います。今回参加する選手たちは全員がGKということもあり、ゲーム内のフイールドプレーヤーもここでは手を使ってOKなんです。コート内の全員がGKであり、全員が手を使えるという普段の練習ではなかなか見られない光景。ゲーム形式ということは勝ち負けが決まるメニューでもあるので、選手たちも白熱します。「GKはシュートを止めるだけが仕事じゃない。一番意識するのは、シュートすら打たせないようにするということ。味方のDFを声で動かして、全体をマネージメントする。プレー一つ一つに対して大きな声でチームを鼓舞する。ピッチの雰囲気を見てポジティブな声をかける。喜怒哀楽を全力で表現することで、味方が活気付いたり相手を威嚇する役割も担える。GKにとって、"声" はこんなにも重要なんです。」澤村さんをはじめ、プロの選手たちからの "声" のアドバイスもあり次第にピッチ中に "GKの声" が響き渡るようになりました。「ナイスキーパー!」「右切れ!」「ライン上げろ!裏!」ゲームメニュー当初は少なかった声でしたが、終盤は声が枯れるほどの大きな指示を出す子どもたちも。普段は指導者や自分たちだけの練習ですが、今日の練習相手はプロのサッカー選手。気温一桁台と寒い中、約2時間半にも及んだ1日限りの夢のような時間で全力を出し切る子どもたちに心動かされるものがありました。