
【特別インタビュー】『匿名Jリーガー』さんに聞いた "指導者と選手の適切な距離感"
公開日時:2022/10/7 20:21
Jリーガーとして、アスリートとして日々感じるものやサッカー選手のライフスタイル、趣味などさまざまな情報をブログを中心としたTwitterやnoteなどの各SNSで発信されている『匿名Jリーガー』さん。
選手の置かれた状況に応じて応援の仕方を変えるべきなのか、というご質問です。ここまでの気遣いと応援をしていただいていること自体が選手にとって非常に幸せなことだと感じました。https://t.co/e4Zc6q6vyB
— 匿名Jリーガー (@NFNL_player) September 19, 2022
今回、Footballcoach編集部のインタビューに匿名Jリーガーさんが文面にて回答してくださいました内容を掲載させていただきます。
テーマは "指導者と選手の適切な距離感"。さまざまな指導者から指導されプロになられた匿名Jリーガーさんに、指導者と選手の関係性やアマチュア時代を経てプロになられた現在において指導者に求めるニーズの変化などをお聞きしました。
匿名Jリーガーさんへの一問一答
Footballcoachは全てのカテゴリーで活躍される指導者が集まる場です。「“指導の本質“は選手のカテゴリー関係なく同じであるという考え」からプロを指導する指導者などに限定せず活動しています。そこでお伺いしたいのですが、サッカーをプレーする者として、指導者へ求めるニーズ(要求)の中で、アマチュアからプロへと自身の成長とともに変化したものと変化してないものは何でしょうか?
アマチュアの時(学生時代)は、より「教わる」イメージが強かったと感じます。基礎的なことから応用例まで、新たなスキルや戦術を叩き込まれている感覚がありました。対してプロになって以降は「共にチーム作りをする」イメージが色濃くなったように思います。当然スキルアップは目指していますが、より「チーム」にフォーカスが当たるようになった気がしています。そして「選手の気持ちを理解しようとしてくれるか」という観点はアマチュアであろうとプロであろうと変わりなく選手として重要視しています。
選手と指導者の距離感は人それぞれ、非常に難しいものだと思います。以前、Footballcoachの企画にてマイナビ仙台レディースで活躍される松本真未子選手は指導者には「良い時も悪い時も、変わらず会話をし続けてほしい」(該当動画)とおっしゃられていました。匿名Jリーガーさんは、このように指導者との距離感で望んでいることは何かありますでしょうか?
距離感に関しては「近すぎず遠すぎず」がベストだと考えています。どちらにも一長一短ありますが、特に「監督」においては適度な距離感が必要だと感じています。「コーチ」であれば比較的近い距離感でも問題ないですが、それも監督と選手の距離感次第で変化するように思います。両者の「架け橋」的存在だと捉えています。
言葉が持つパワーはとても大きいと考えております。指導者がかけた言葉一つで劇的に良くも悪くも変化することは起こり得ます。そんな中で、さまざまな指導者のもと経験をされてきた中で指導者に伝えたいメッセージなどありましたら伺わせてください。
個人的な意見として「具体性」を重要視しています。選手に「何が良くて何が悪いのか」を明確に伝えて欲しいと思っています。それによって次にトライすることも明確になりますし、モチベーションの向上にも繋がります。
ヨーロッパやアメリカなどでは幼少期から複数の競技を経験する環境にあります。それに対して、日本では1つの競技を学ぶ傾向にあり、元陸上選手の為末大選手も複数競技を経験することを勧められています(該当動画)。こちらについてご意見や複数競技の経験有無による現在への影響などがありましたら伺わせてください。
賛成です。別の競技でいうと、本格的にスクールに通ったのは水泳くらいですが、基本的に球技は何でも好きでしたし、友達と遊ぶことは多々ありました。他の競技での感覚が最終的に役に立ったり、新たな発見や経験に繋がると感じます。こればかりは環境が重要だと思いますので家庭環境にも左右されるのかなと感じています。
よくプロ選手になれるかの要素として「メンタリティ」があげられますが、こちらについてどのような考えをお持ちでしょうか。これまでも、現在もメンタリティによってパフォーマンスに良くも悪くも影響が出ている場面を数多くご自身も経験し、何度も見てきた中で、指導者や保護者が幼少期の選手に対して、できることはなんだと思われますか?
非常に大切だと感じます。個人的に最も大切だと思うのは「根拠なき自信」です。自分は出来る、という思い込みがアスリートの世界ではプラスに働くことが多いように思います。実力に裏付けされた自信も必要ですが、ここぞというときに発揮されるのは、そういった「やや傲慢ともとれる自信」だったりする気がしています。
スポーツ選手として、異業種の方と接点を持つことへの価値について考えがあれば聞かせて下さい。幼少期含め、同じスポーツをしている人同士で接する機会は比較的多くなる中で、意図的に異業種と交流を持つことがスポーツを行う上で活きることもあると思いますか。(大切な場合に回答いただきたい内容として)また異業種と交流を持つ上で、ご自身が心掛けていることは何かありますか?
スポーツ選手に限らず、異業種の方との接点は必要だと思います。視野や知見が広がり、人間としてのキャパシティが大きくなると思っています。他の世界を知ることで自分の世界の良し悪しに気がつくこともありますし、モチベーションの向上にも繋がります。プロサッカー選手だからこそ会える企業や行政の方々も沢山います。そういう機会を大切にしているつもりですし、学生時代の同級生で色んなジャンルで活躍している仲間たちとの交流も定期的に設けています。
インタビュー後記
指導者が根拠なき自信を養うために、何ができるか。そこに一つ選手への理解があり、選手の意志を尊重してあげることもあるのかなと感じました。
今回の匿名Jリーガーさんへのインタビューをはじめ、Footballcoachで日頃さまざまな指導者の方々や現役選手の方々とお話しさせていただき、意見交換させていただく中で、『意図を持った指導』が非常に重要であり、それは多くの選手が指導者に望むことの一つでもあると感じました。
最後にはなりますが、この場をお借りしてご多忙の中インタビューにご回答いただきました匿名Jリーガーさんに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
