バルサ、エスパニョールに次ぐ同地区第三のクラブで指導する、日本人指導者 高田純さん。2014年に18歳で指導者としてバルセロナにわたり、これまで9年ほどバルセロナで指導を続けられています。そんな高田純さんが、そもそもなぜバルセロナに渡られたのか...バルセロナで指導する醍醐味は何なのか...自身が手がけるバルセロナでの指導者プログラムとはどういったものなのか...高田さんのご経験から、根底にある指導への向き合い方などにも迫った『人づくりの流儀』を考えるインタビューです。%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FoOeRsSHV0aM%3Fsi%3Df_KxyraM-4xIqfVI%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FhznLbv25Cg0%3Fsi%3DOhlaNbv2AdAvt_NS%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F5dAZFk7CCgA%3Fsi%3DEOD8qY1rSh_EOTUO%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E指導者としてより高みを目指すなら、"若いうちから自分で指揮を取る経験 " が必要-本日はバルセロナで高田さんにお話を伺えるのを非常に楽しみにしておりました。よろしくお願いいたします。まずは、バルセロナに渡られた経緯を伺えたらと思います。こちらこそよろしくお願いいたします。バルセロナへは、18歳の時に渡って今年で9年ほどになります。実は、16歳ごろからバルセロナへ行きたいという気持ちは持っていたんです。小さい頃からサッカーをプレーしていたのですが、怪我の影響でプロへの道は途絶えてしまって。しかしサッカーから離れることは考えられなかったので、プロではない選択肢でサッカーと関わると考えた時に、パッと思いついたのがサッカー指導者でした。-なるほど。そこで日本ではなくてスペイン バルセロナに着目したのも何か理由があるんでしょうか?僕の中では非常にシンプルなのですが、指導者を目指すのであればフットボールの舞台のトップである場所で学びたいという気持ちがあったからです。さらに、指導者を目指すのであれば、自分で指揮を執る経験というのを若い頃からしないといけないとも思っていました。今でこそ若い指導者の方々が日本にも多くいらっしゃいますが、当時は若いうちから自分で指揮を執ることが日本では難しいと感じていたので、バルセロナでチャレンジしたいという気持ちになりました。あとは当時はスペイン代表が2010年のW杯で優勝したり、グアルディオラのバルサ全盛期だったことも大きな決め手になりましたね。-高校卒業後に海外でチャレンジするというのは、サッカーに関わらず多くの方が言語や文化の違いなどで不安を感じることもあると思います。そういった不安はご自身にはあったのでしょうか?もちろん、不安はゼロではなかったです。しかし家族は反対ではなく背中を押してくれる存在だったので、そこの理解はありがたかったですね。言語に対しても、もともと興味を持っていたので「スペイン語も話せたらいいな」というサッカーとは違う部分での興味も後押ししてくれました。あとは、勢いですかね。(笑)当時まだ日本人が少なかったとはいえ数名バルセロナにはいらっしゃっていたので、最初の入り口として語学学校の手配やホームステイのサポートなんかも手伝っていただきました。-ビザは学生ビザで自分で調べられて行ったんですか?学生ビザで行きました。なんとなくは調べてから。(笑)実際二年目から、指導者学校に行ったのですが語学学校と指導者学校では学生ビザでも切り替えが必要で。それを知らなかったというのもあって、三年目に一度ビザの取り直しで日本に帰りました。そういった壁にも当たりましたが、それも含めて海外経験かなと思っています。素晴らしいポテンシャルを秘めた日本人の子どもたちをみて、立ち上がった『MLT バルセロナ』の正体-実際バルセロナに来られてからは、どういったスタートを切られたんですか?僕がバルセロナに渡る前に想像していた世界がこっちにもありましたね。スペイン人はオープンな性格ですし、日本人がいきなりきても快く迎えてくれました。指導者学校に通いながらアシスタントコーチをして、翌年に自分で監督という立場で指揮を執らせてもらいました。いきなりクラブのオフィスに呼ばれて、コーディネーターの方と話をしているときに、日本人へのリスペクトをすごく感じたんです。これが指揮を執らせてもらう大きな決め手にもなりました。当時19歳の若手を普通は受け入れないと思いますが、その場で決まり、すぐに150ページほどの資料を見せられて、クラブのフィロソフィーやビジョンなどを解説してくださったんです。アシスタントコーチをしていたクラブとは違うクラブで、ご縁があって監督をさせていただくことになりました。-そういった中でバルセロナで経験を積まれて今があると思うのですが、どういった部分が評価されていると感じていますか?難しいですね。(笑)こっちにも、もちろんクビになる指導者も多くいます。9月スタートのシーズンで、12月の末にクビになる人もいるほど。指導者の指導者的な立ち位置のコーディネーターには結果を重視する方もいれば、メニューやプレーの重要性の部分を評価する方もいます。前者のようなコーディネーターがいるクラブの指導者は、結果が出ないという理由でクビになることもあるので、僕も最初の一年目は寝れた日がないほど必死でした。このようなシビアな世界が指導者にもあることで、指導者のレベルが上がっていくということは実際に経験して学んだことですね。-ありがとうございます。ご自身が立ち上げられた『MLTバルセロナ』についてもお話を伺えたらなと思います。2019年末に、こっちの指導者仲間と一緒にMLTバルセロナという組織を立ち上げました。当時、僕の所属するクラブのグラウンドでたまたまヨーロッパ最大級の小学生年代の国際大会が行われていたんです。その年は日本からも三チーム参加していて、僕も見に行きました。大会前にトレーニングマッチをうちのチームとするというので、スタンドから観戦していたらコーディネーターたちが「日本のクラブじゃないか」と近寄ってきたので「彼ら、どう?」とスペイン人指導者に日本人選手やチームの印象を聞いてみたんです。「足元がすごくうまいし、俊敏性にも長けている。ただ、戦術チックなプレーが苦手な印象があるよね」と返ってきました。しかし最後に、「でも日本人ほどポテンシャルがある人種は、他にはないと思うよ。」とお世辞なしに言ってくれました。それを聞いた時に、純粋に嬉しかったですね。その時に「このポテンシャルを生かすも潰すも我々だ」と感じて、スペイン人指導者とタッグを組んでこの素晴らしいポテンシャルを秘めた日本サッカーのために何かしたいということで立ち上がりました。こっちでのスクール活動や、指導者講習会、指導者プログラムなどを行なっています。-指導者プログラムは具体的にはどういった内容で行なっているんですか?よくある海外への指導者研修は、現地でスタンドから試合を見るだけといったものもあると思います。それではあまり意味がないと思っているので、MLTで行うものは実際にチームに帯同して日々のトレーニングから体感してもらうというものです。リーグ戦文化特有の試合前の雰囲気や、普段は入れないクローズドなロッカールームでの様子、トレーニングもピッチ上で体感できるので、日本人から来た指導者の方からすると良い経験になるのかなと思っています。高田純が感じた、バルセロナで指導する醍醐味-高田さんのように、日本からどんどん世界に挑戦していく指導者が増えていってほしいですね。高田さんがバルセロナで指導する醍醐味は何でしょう?たくさんあるんですが、活動している上で意識していることは大きく二つあって、一つ目が『指導者としての余白を持つ』ことです。指導者自身がナーバスになると選手たちにも伝わりますし、指導に対しても悪影響を与えかねません。シーズンを戦う中でまずは指導者が余白を持って学ぶ時間を確保しながら、指導現場に向き合うということも大切にしたいなと思っています。自分自身のことばかりではなく、選手の未来を常に頭に入れておく必要があると感じていますね。二つ目が、『選手と指導者の関係性をしっかりと理解する』ことです。指導者が選手を評価するのではなく、選手が指導者を評価しているとバルセロナに来てより強く感じました。なので常に指導者としてのレスポンスを持っておかないと、選手に舐められるわけです。間違っていてもいいので、常に何かに対して自分の答えを持つことはとても大切ですね。スペイン人指導者は、知識の量よりも整理することがすごく上手いんですよね。『持っている知識をいかに自分でマップ化するか、選手にうまく伝えるか』は今も現在進行形で学ばせてもらっています。-非常に興味深いお話ですね。スペインというと、"戦術に強い" イメージを持たれている方も多いと思いますが、現地ではどちらかというと戦術の部分以外のものも感じられることが多いんですかね。それは間違い無いですね。僕はスペインという主語をあまり使わないようにしています。スペインサッカーでもバルセロナやマドリード、ビジャレアルなどその街のサッカーがあり考え方も異なります。小学生年代でも、バルセロナがあるカタルーニャ州は7人制で隣町のビジャレアルは8人制なんですよ。スペイン協会というよりは、そこからさらに分散される地域ごとの協会によって確固たるフィロソフィーも存在します。スペインという同じフィールドでも地域によって全く違う景色が広がっているというのは、来てみないとなかなか分からない事かもしれませんね。-いや〜非常に面白いですね。この話、終わらなくなっちゃいそうです。(笑)最後に指導者としてバルセロナに挑戦したいと思っている方へのメッセージをいただけますと幸いです。前提として僕はたまたまバルセロナにいるだけなので、いろいろな国へ興味を持った方がいいと思います。僕が海外に来て一番恥ずかしかったのは、母国である日本の歴史さえ知らなかったこと。こっちの人たちは自分のヒストリーを語れるし、文化を語ることができる。だからこそ、バルセロナだけではなく色々な国に行くことはとても良いことだと思います。その上でバルセロナにいる身としては、違う地域のスペイン人に聞いても「カタルーニャのリーグがスペインでNo.1」と言われているほどリーグ文化が強いということです。それくらい高いレベルで街クラブも存在していますし、優秀な指導者が多い印象もあります。指導者が鍛えられるという意味では、いい意味で中毒性があるんですよ。僕もこっちでシーズンを戦うと、「これ以上の環境はないな」と感じました。指導者としてより上を目指す人にはおすすめな都市かなと思いますし、フットボール人にとっては最高な場所です。一度来てみたいと思った方は一週間でもいいと思うので、ぜひ挑戦してみてください。