舞台での座長としての役割から、若い頃の自己否定の葛藤まで。川平慈英さんは、舞台俳優としてのキャリアを築きながら、自らを鼓舞し続けてきました。しかし、「弱さを受け入れること」が実は人生の転機になったと語ります。若い頃にはできない自分を責め、もがきながら挑戦を重ねてきた日々。50代を迎えた今、自己肯定感を見つけたことで得た穏やかな強さとは?舞台裏での熱いスピーチや仲間との結束、観客への感謝の思いとともに、人生における「情熱」の在り方を明かしてくれました。本記事は、公式YouTubeにて公開中の動画から、一部抜粋して公開。悔しさと努力が育んだ役者としての基盤-川平さんの中で、自己肯定感の上がらない時代もあったんですか?もちろん、そういう時代もありました。自分ができないことが悔しくて仕方がない時期でしたよね。練習してもできない自分を見るのが恥ずかしかったし、「お前はダメだ」と自分で自分に点数をつけていました。でもそれが逆に、もっと努力してやるぞというエネルギーになったんです。今思えば、あの悔しさがあったからこそ成長できたんだと感じます。-弱さを受け入れることが成長の鍵になったんですね。50代になってやっと、できない自分を許せるようになりました。できないことは恥ずかしいことじゃなくて、むしろそこから始まるんだと気づいたんです。若い頃は「これじゃダメだ」と思い詰めていましたが、今は「ダメな時期があるのも人生の一部」と思えるようになりました。仲間と共有する舞台での「熱量」-舞台で座長を務めることが増えたそうですが、お芝居の前にチームを鼓舞する中で意識することはございますか?舞台の開演前には必ずチーム全員を集めて、今日の公演への思いを語ります。事故や怪我なく終えられるように、そして観客やスタッフへの感謝の気持ちを確認する時間を設けるんです。 チーム全体が一つになれる瞬間が、舞台の成功に大きく関わると信じています。-まさに役者仲間へのエールとして心がけていることですかね僕はよく「パワー」と叫んでチームを鼓舞します(笑)。まるでアメリカのロッカールームのようなノリなんですが、それが意外と盛り上がるんですよね。役者としてだけでなく、人としての情熱を共有することが、舞台をより良いものにする鍵だと思っています。-そのような時間が、役者同士の関係性にも影響するのでしょうか?間違いなくそうですね。「みんなで一緒にやるんだ」という雰囲気を作ることは大切です。舞台は個人プレイではなく、全員で作り上げるもの。その結束力が観客にも伝わると思います。「人を惹きつける力」とは何か-演劇やスポーツで、人を惹きつける力とはどのようなものだと思いますか?人を惹きつける力って、必ずしも技術や完成度だけではないんですよね。たとえば演劇でも、完璧なパフォーマンスをする役者よりも、少し荒削りで不器用だけど、情熱が爆発しているような人に目が行くことがあります。技術だけでは説明できないエネルギーが、人の心を掴むこともあるんです。-サッカーでも決して上手い選手だけが人を惹きつけるというわけでもない気がしますよね。僕の世代で言うと「ゴン中山」こと中山雅史さんがまさにそう。彼のプレーは、技術的にすべてが完璧というわけではないかもしれない。でも、圧倒的な情熱と存在感があるんです。それが観ている人の心を掴んで離さない。 プロの試合でも、街のサッカーでも、結局「情熱」が最も目を引くポイントになるんですよね。-その情熱はどのように周囲に影響を与えるのでしょうか?情熱があると、自然と周りも引き込まれます。ゴン中山さんのプレーもそうですが、観客が「この人を応援したい」と思えるのは、その情熱が伝わっているから。 舞台でも同じで、役者が全力で情熱を注ぐことで観客の心が動きます。その熱量が共有される瞬間が、僕にとって一番感動的なんです。【特別インタビュー】舞台俳優 川平慈英が語る、人々の原動力になる情熱の真髄