「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】

「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】

公開日時:2025/6/22 19:42

「Next Level」を掲げて集った現役Jリーガーたち。2025年シーズンを目前に、自らの限界を押し広げるように集中的なトレーニングに取り組んだ「Kiot Camp」。そこには、指導者・選手たちのひたむきな覚悟と情熱があふれていた。

選手たちのマネージメントを行い、ブンデスリーガのシュトゥットガルトでは育成年代〜トップチームで指導者を歴任した河岸貴氏が欧州で培った理論と哲学を、日本の若きJリーガーたちに注ぎ込んだ。

その眼差しの先にあるのは、結果を出すプロの姿勢と、正しい環境でしか育まれない成長の土壌だった。本記事では、Day1の様子を中心に、その核心に迫る。

限界のその先へ──河岸貴が伝える「正しい環境」の意義


Kiot Connections代表・河岸貴氏の導きによって開催されたこのキャンプ。冒頭、彼は集まったJリーガーたちに静かに問いかける。

「2024年のシーズン、100%サッカーにコミットしていた人はいますか?」彼の意図は明確だ。真のプロとは、日々の取り組みの中にどれだけ覚悟を込めているか──。

河岸氏は、正しい環境に身を置くことの重要性を続けて語る。

「とあるアメリカの経営者の話をしよう。彼は時には筋トレをすることもなく、サウナに入って帰るだけ。でも毎日ジムに必ず行っていた。その人、どうなったと思う?1年後には13kg痩せたんよ。つまり、正しい環境にい続けることがその人を一番成長させるということ。」

この比喩が、選手たちに伝えたのは“継続と環境”の力だ。

競争と共育──プロが集うピッチでの対話


本キャンプの舞台となったのは、日本文化大學のピッチ。現役Jリーガーたちと、次代を担う学生たちが一緒に汗を流す姿が印象的だった。そこでは一方的な指導ではなく、対話と共感による“共育”が進行していた。

河岸氏は、「自分の経験や財産を次世代に伝えてほしい」と現役プロ選手たちに語りかける。その言葉に応えるように、選手たちは自身の技術や考えを遺憾なく発揮。互いに刺激し合う環境が、プロのマインドを深め、学生にとっても大きな学びとなっていた。

また、BoS理論(Ball Oriented System)に基づいたパス練習やポゼッション練習では、単なる技術向上だけでなく、思考の変化を促すアプローチが取られていた。目の前のボールに集中しつつ、周囲との連動性や空間把握力を養う内容が続いた。

「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】

フィジカルの真髄──“使える身体”を手に入れるために


技術だけでは到達できない「使える身体」。これをテーマに、フィジカルトレーニングを担当したのはアシカラ改善院の染谷学氏だ。

染谷氏は患者の99%がジュニアからトッププロまでのフットボーラー。足元から身体操作を改善する指導に長けているスペシャリストである。

「ただサッカーがうまくなるのではなく、身体が使えるようになれば、すべてのプレーが変わる」。

スクワット、ラン&ストップ、正しい姿勢──染谷先生によるトレーニングの本質はパフォーマンスを支える身体の使い方にある。

「いくら鍛えて筋肉をつけても、それを使える形で動かせなければ意味がない。ジャンプして着地した瞬間、止まる姿勢を取れるか。そのフォームが正しくないと、パフォーマンスは向上しないどころか、ケガのリスクも高まる」。

「スクワット一つとっても、目的を理解せずに行えば“鍛えたつもり”になるだけ。大事なのは“どこに負荷をかけるか”を意識すること。それが将来的に大きな差を生む」と強調した。

「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】

Next Level、その一歩を踏み出せ


Day1の終盤、選手たちは初日のトレーニングの成果を噛みしめるように、ピッチに立ち続けた。その眼差しはどこまでも真っ直ぐで、Day2に向けてさらなる高みを目指す決意を感じさせた。

「Next Level」。この言葉は、単なるスローガンではなく、選手たちの内にある覚悟と行動の指針である。Kiot Campが描いたのは、プロとしてどう成長し続けるか──その“本質”だった。

河岸氏が創り出した「正しい環境」の中で、選手たちはただ鍛えられたのではなく、自分の中にある“甘さ”と真剣に向き合う時間となった。

「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】

▼あわせて読みたい!日本サッカーに必要なBOS理論とは?

「日本の基準だと甘い」正しいプレッシング理論の理解と自己判断力の鍛錬を【後編】

「パスが出ない三角形を作れ」──『BoS理論』が変える日本サッカーの現在地

「より効率的にゴールを奪う守備は...」酒井高徳の守備概念を変えた『BoS理論』

「高校サッカー決勝を見て感じたのは...」酒井高徳が語る、『育成年代の現在と未来』

「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】 | Footballcoach