
「勝利か、成長か」|羽毛勇斗 × 柴原誠が語る "ジュニア年代で育む“自律と人間性
公開日時:2025/8/22 22:58
サッカーの未来を担うジュニア年代。その育成の現場で熱い議論を交わすのは、神奈川県制覇を経験した羽毛勇斗(FC PORTA)と、静岡県制覇を経験した柴原誠(FCガウーショ)。
強豪少年サッカークラブを率いる両指導者が語るのは「勝利」と「育成」の狭間で揺れるジュニア年代のリアル。才能をどう伸ばすか、選手たちの個性や環境とどう向き合うか。
彼らの実体験に裏打ちされた対話から、子どもたちを未来へ導くためのヒントが見えてくる。
戦えるファンタジスタを育てたい
羽毛:今のサッカー界では、ベリンガムのようにハードワークできる選手でなければ生き残れない。だからこそ、“戦えるファンタジスタ”を育てたいんです。
柴原:その言葉、良いですね。僕自身、現役時代は“見えたら打つ”タイプで、守備もハードワークも苦手でした。でも、今のガウーショの子たちには徹底して守備をやらせています。時代の流れを理解しながら、必要な基準を満たせる選手になって欲しいと思っているんです。
羽毛:ポルタでは一人ひとりの武器を大事にしながらも、チーム全体でそれを補完し合う。個性が集まって1枚の絵になるようなサッカーをしたい。勝つことよりも、選手が将来振り返ったときに“自分にはこれが残った”と思えるものを大切にしています。
柴原:まさに僕自身も、勝利より財産として選手たちに残っていくものは何かを意識しています。ガウーショの選手には、自分が対戦相手だったら嫌だと思う選手になれとよく言っています。ロスタイムで点を取れる選手、勝負強い選手。そういう姿は数年後の成長にも繋がると思っていますね。
自律と人間性を育む環境づくり
柴原:挨拶はしたくないならするなとよく言っています。大事なのは『なぜ挨拶をするのか』を理解すること。理由もわからずにやっても意味がない。挨拶をすることでこんなに良いことがあると理解できている子は、言われなくても勝手にやるんです。サッカーも同じで、ピッチ内で頭を働かせられる選手はどんどん上に上がっていけると思っています。
羽毛:なるほど、確かにあいさつだけではなく、色々なものに通づる考え方ですよね。ポルタでは“自分で立つ”と“自分を律する”の二つの『じりつ』をテーマにしています。親への感謝や日常生活の管理も含めて、ピッチ外の行動がプレーに直結するんです。例えば、荷物の管理はすべて自分たちでやらせます。空気のチェックや忘れ物も含めて、自分で責任を持たせる。それらができないと、ピッチ内のプレーでも判断が遅れたり、ミスにつながるんです。
柴原:要は、子どもたちに“なぜ”を伝えることが大事ということですよね。整理整頓でも、練習でも。理由を理解できれば、自分で選べるし、結果として良い習慣になる。だから押し付けるのではなく、考えさせるようにしています。
勝利よりも“財産”を残すトレーニング
柴原:正直、試合で勝っても負けてもいい。僕は試合に勝つための練習は一切しません。子どもたちが卒業するときにどんな財産を持てるか、そのためのトレーニングしかしていないんです。
羽毛:それはすごいですね。ただ、ポルタでは逆に“仕込む”部分も大事にしてます。ビルドアップや守備の基準を与えつつ、その中で自由にプレーさせる。だけど根本は同じで、結局は選手にとって将来残るものをどう渡せるかだと思っています。
柴原:僕の役割は、目の前の試合に勝つことじゃなく、選手の未来を守ること。試合ごとに方針を変えてしまえば、子どもたちはその場の勝ち方しか知らなくなる。だからブレずに続けることを大切にしています。
羽毛:僕は、環境の中で“気づかせる”ことを重視します。才能ある子には余計なことを教えない。でも、ハングリー精神を持たせるために仕掛けをする。野心があるかどうかが最終的に選手を突き動かすんです。
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