スポーツ指導の新たな形としてFootballcoachが取り組むリモート指導において欠かせない、個別フィードバック。参加者の皆さんに毎日交換日記を記入してもらい、その交換日記への返答やアドバイスがプロ指導者から個別に映像で届くというもの。もちろん交換日記の内容やプロ指導者からのフィードバックを閲覧できるのは自分だけなので、参加者は安心して指導者への質問や日々の練習で抱いた不安、課題などを打ち明けることができます。今回は交換日記、さらに個別フィードバックの詳細をご紹介します。毎日の練習を振り返る『内省』の時間毎日の練習後に参加者が記入するのが、専用フォームによる交換日記です。この交換日記では、以下のような質問項目で進めています。・トレーニングの形式(通常トレーニング/練習試合/公式戦/オフ)・トレーニングの目標はどのくらい達成できましたか?・トレーニングでうまく行ったことはなんですか?/その理由は?・トレーニングでうまくいかなかったことはなんですか?/その理由は?・今回のトレーニングの目標はどんなことでしたか?・次回のトレーニングで改善することは何ですか?・今回の感想・コーチへの質問や不安なことはありますか?これらの項目に毎日の練習後や試合後に記入することで、選手自身が「今日の自分はどうだったのか」「明日からの練習をどうしたいか」を考える時間 つまり『内省』の時間が生まれます。毎日少しずつでもこのような振り返りの時間を作ることで、毎回の練習がより質の高いものになり、わからないことや不安を放っておかなくてもよくなります。さらに、これらの項目は全てへの回答が必須ではありませんし、書けない時や書きたくない時に無理に記入する必要もありません。参加者によっては文章が得意な子もいれば不得意な子もいます。少しずつ慣れてくるうちに能動的に取り組む、さらに文章として自分を振り返り表現することも上達してきます。とある参加者の交換日記こちらは、実際に行っている個別フィードバック映像の一部を抜粋した写真です上記で紹介した項目についての、振り返りがびっしり記入されています。メイン指導者は、週一回オンライン収録で映像を収録し、次の日には参加者それぞれの専用フォルダにアップされています。一週間分の交換日記回答を集計し、毎回ピックアップした1日分の交換日記に関しての個別フィードバック。自分が記入した交換日記の画面も表示されながら指導者からのフィードバックを見ることができるので、自分自身が記入した交換日記の振り返りの機会にもなります。現在実施している実証実験のメイン指導者は、シュミットダニエル選手(シントトロイデン)や大迫敬介選手(サンフレッチェ広島)といった代表クラスのGKを指導してきた澤村公康さん。「トレーニングで上手くいったことのところに、ブレイクアウェーという言葉があったのでそのことについて今日は話そうと思います。おそらくここで発揮した技術としてはフロントダイビングだと思うんだけど、ローリングダウンの時にしっかり踏み込むことができたのは非常に良かったと思います。マイボールにするためにドリブラーの表情や角度、スピードをよく見て、FWがコントロールした瞬間に間合いを詰めて思い切ってプレーすると良いプレーがどんどんできるんじゃないかなと思います。ゴール前でのシュートストップだけじゃなくて、GKの勇気ある飛び出しからチャンスが生まれることもあります。次のトレーニングでも、一瞬の隙を見計らって狙いを持ってトレーニングしてくれたらなと思います。」この交換日記では澤村さんは選手のよくできたところ、ストロングに着目してアドバイスされていました。こういった一つ一つの判断に対してのポジティブな声かけが、特にGKにとっては必要であると感じました。選手それぞれのストロングをさらに伸ばす。プロ指導者からの的確なフィードバック澤村さんは参加者それぞれへの個別フィードバックに込める思うをこう語ってくださいました。「毎週個別のフィードバックをするうちに、こちらも週一回行う全体面談の際の顔つきも少しずつ良くなっていっているのがわかります。その時々によって選手たちにかける言葉も違いますし、こうして遠隔でも選手個々人のストロングをさらに伸ばしてあげることができるのでやりがいを感じています。テクニカルな部分ももちろんですが、その時のタイムリーな話題(プロ選手のプレーやJリーグ、国際大会の試合内容など)にも触れつつ話すことで参加者の皆さんにはそういったプロの試合やプレーにも興味を持ってほしいです。」実際、このように語る澤村さんからの個別フィードバックでは選手それぞれのストロングポイントに言及したアドバイスや声かけが中心。「〇〇は、キックが課題と書いてくれていたから今度キックが上手なGKの動画を共有するね。」「〇〇は前回の全体面談でも、声を意識しているといってくれていたよね。今週の交換日記でも声かけに関してポジティブな感想が書かれていたから、継続してできているのが成果として表れていると思うよ。」毎週一回の個別フィードバック。回数を重ねるごとに参加者全員の目の色も変わってきている様子が伺えます。遠隔で行うリモート指導だからこそ、このような個別フィードバックや週一回オンラインで顔を合わせる全体面談を大切な時間にしていきたいですね。部活動の地域移行に関する記事一覧1. 部活動地域移行の背景2. 部活動地域移行に向けた取り組み3. Footballcoachが行う『リモート指導』とは?4.実証実験の幕開けを告げる澤村公康さんによるトレーニング5.リモート指導には欠かせない『個別フィードバック』の魅力(本記事)6.毎週1回の "成長を感じる時間" 『全体面談』の重要性7. 充実の3ヶ月間を締めくくる現地トレーニング