元サガン鳥栖の通訳としてフェルナンド・トーレスの通訳を担当した前田知洋さんと、人気ラーメン店『夢を語れ』を創業した西岡津世志さんが語る、夢を叶えるための強い意志と、人を成長させるあるもの...。フェルナンド・トーレスとの日々や子どもたちの指導、ラーメン店経営における様々な経験を交えながら、「失敗から学ぶこと」「自分を信じること」「他者を支えるために自分を高め続けること」の重要性について対談します。本記事は、公式YouTubeにて公開中の動画から、一部抜粋して公開。フェルナンド・トーレスから学んだ「勝負の場で成長する心構え」前田:僕がサガン鳥栖でフェルナンド・トーレス(以下フェルナンド)とより深い関わりを持つ様になったのは、彼が引退を意識していた時期だったんです。日本のサッカー選手たちは、試合や練習を終えると自分の動きやプレーを細かく振り返りますが、フェルナンドは「なぜ日本の若い選手たちは、こんなにサッカーばかりを四六時中考えているんだろう?」と不思議そうに言っていました。彼にとっては、常にサッカーだけを考えるのではなく、リフレッシュして心を整えることも成長のために必要なことだったんですね。西岡:確かに、日本の選手や子どもたちは、やり始めると本当に一途に突き進むところがあると思います。でも、ある意味ではその一生懸命さがかえってプレッシャーになってしまうこともあるのかもしれません。特に若いうちは、結果や上達だけを求めすぎて、かえって自分を追い詰めてしまうことも多い気がします。子どもたちにとっても「オフ」の時間やリズムを知ることが成長に欠かせないというのは、本当に大事な視点ですね。前田:フェルナンドほどのスーパースターでも、自分の力を最大限に発揮するには「リフレッシュ」を意識している。それは日本のサッカー指導者にとっても新鮮に映る部分かもしれません。例えば試合後には、プレーを見返すだけでなく、あえてサッカーから距離を置いてみる時間を作って、心の切り替え方を身につけることも指導の一環として考えると良いのではないかと感じます。西岡:そうですよね。全力で向き合う時と、少し離れて見つめ直す時間を持つ。そのメリハリが、結局は長期的な成長を支えるんだと思います。子どもたちには、その「バランス」をしっかり伝えていきたいですね。「失敗からの学び」をどう指導に活かすか前田:僕はこれまで、通訳としていろんな場面で失敗を経験してきました。でも、失敗するたびに「なぜ失敗したのか?どうしたら次は成功できるか?」を考えるようにして、次に生かすことが何よりも大事だと気づきました。実はサッカーの指導でも同じで、例えばシュートやパスのミスをしたとしても、それをどう次に生かすかが大切なんです。子どもたちが、ただ指示を受けるだけでなく、自分のミスに向き合いながら成長できる場をつくることが重要ですね。西岡:本当にそう思います。私も自分の店に修行しにきてくれている修行生に対して、最初に「何を頼まれても、『はい、喜んで』と言いなさい」と伝えます。ラーメン店でもそうですが、ミスを恐れると何も挑戦できなくなってしまいます。誰かのせいにするのではなく、全て自分ごとだと考えられる人は、大きく成長すると思っています。前田:そうですね。フェルナンドも「失敗した数だけ夢に近づいている」と言っていました。彼も、数々の挫折や高い壁を乗り越えてトップ選手に成長してきた人です。何度も挑戦と失敗を繰り返して成長してきたからこそ、その経験を伝えてくれました。僕も、子どもたちには、たとえミスをしても、それが未来の成功につながることを教えていきたいと強く感じています。西岡:失敗の積み重ねがあるからこそ、その人の土台ができるんですよね。「失敗を恐れるのではなく、失敗から学ぶことを恐れない」という考えは、全ての人に持った方が良いと言えます。自ら動く子どもを育てる、考える力の育み方前田:僕が子どもたちに指導するとき、最も意識しているのは「どうやったら自ら考え、行動するようになるか」ということです。サッカーの技術を教えるだけではなく、試合の場で自分で考え、判断して動けるようになることが本当に大切だと思います。例えば、宿題やサッカーの練習も、親やコーチが指示するのではなく、なぜそれをやるのか、なぜ自分で準備を整える必要があるのかを考えさせるようにしています。西岡:そうですね、考える力が身につくと、結果的に自分に責任を持つようになりますよね。私の店でも、ただ仕事を教えるのではなく、修行生が自分で考えられるような環境を意識して作っています。自分で考え、自分で行動した結果こそがその人の財産になるので、サッカーの指導も同じだと思います。「やらされる」ではなく、自ら「やる」ことが大切だと。前田:そうですね。サッカーでも、試合中にプレーをどう選択するかはその子の判断です。例えば、パスを通すのか、シュートを打つのかという場面で、自分の頭で考えて、責任を持って選択できる子どもは、伸びるスピードも速いですし、試合後に自分で振り返り、反省もできるんです。「失敗したのは自分に原因がある」という視点を持つことで、自然と次の試合でどうすべきかが見えてくる。そういう力を身につけさせたいですね。西岡:素晴らしいですね。指導者が先に答えを教えるのではなく、問いかけて「どう思う?」と促してあげる。それが彼らの成長にとって最大のサポートになるのかもしれませんね。私も、自分で考えるよう促す声かけを増やしていきたいです。