現在を生き抜くために必要な「夢の力」を信じ、それを実践し続けることで結ばれた二人の物語。自身の闘病経験を乗り越え、「今を生きることを楽しむ」という精神を体現するフットゴルファー / 講演家の柴田晋太朗さん。世界を舞台に挑戦を続け、「夢を語れ」という哲学を掲げる起業家 西岡津世志さん。夢に情熱を注ぎ続けたからこそ語ることのできる、人生の奥深さがありました。「死を知る者だからこそ、死を忘れる瞬間がある」柴田: これまで、横浜F・マリノスのアカデミーや日大藤沢高校でサッカーを続けてきて、プロになった友人も多く、高いレベルで「サッカー選手」を夢見てサッカーを続けてきました。その中で上腕骨肉腫という病を負ったんです。病気で毎日が不安だった時も、僕の頭にあったのは「サッカーをこのまま続けることができるのか」だけだったんですよ。他のことはほとんど考えられませんでした。西岡: 本当にすごいことですね。死を間近に意識した方が、それを忘れて夢中になれる瞬間がある。普通の人は、死を知らずに生きていますが、柴田さんは「知ったうえで忘れた」んですね。柴田: はい。「今を生きる」という感覚を強く持っていました。未来や過去にとらわれず、ただ目の前の一瞬に集中する。それが死を忘れるという体験に繋がったのだと思います。西岡: 命を何に使うか、ということを改めて考えさせられます。人は夢中になれるものがあるからこそ、生きる意味を見出せるのかもしれませんね。「夢のレベルを一歩ずつ乗り越える」柴田: よく夢は「大きなもの」でなければいけないと思われがちですが、夢を語り、叶え続ける秘訣って何でしょうか?西岡: 夢にはレベルがあります。「今何をしたいか」「今晩何を食べたいか」「明日どんなところへ行きたいか」といったように、小さな夢を積み重ねていくことが大きな夢を実現するための秘訣です。柴田: 最初は目の前のことに集中して、それを一つずつクリアしていく。それが夢を実現するための土台になるんですね。西岡: 小さな成功体験を積み重ねることが、自信にも繋がりますからね。そこから自然と次のステージが見えてくるんです。心がわくわくすることをやろう西岡: 夢って「心から湧いてくるワクワク」だと思うんです。よく、小学生の頃に「夢は何?」と言われたら「〜〜〜になりたい」というような『将来就きたい職業』を言ったり書いたりしていましたよね。でも、アメリカのボストンで『夢を語れ』というお店をしていた時、近くにあるハーバード大学の学生たちが語る夢が「今日は勉強で疲れたから早く帰って寝たい」だったんです。つまり彼らは今この瞬間を生きていて、今この瞬間に湧いてきたものを夢と捉えている。柴田: それは面白いお話ですね。確かに、『夢』と聞くと、どうしても将来のことを思い浮かべてしまいます。「今なにをしたいか」が大事なんですね。西岡: それができると、どんな状況でも前向きに生きることができます。「夢がない」という人には、「じゃあ今日の夜、何が食べたい?」「明日何をしたい?」ってよく聞くようにしています。多くの人がその感覚を持てたら、社会ももっと明るく、力強くなると思います。柴田: 小さな「やりたい」を叶えていくことが、結果的に大きな夢を実現する力になりますね。夢は大きくなくて良い西岡: 「夢は大きくなくていい」と、本当に心から思います。何度も言いますが、目の前の小さなやりたいことを叶えていけばいいんです。柴田: 確かに。小さな夢を一歩ずつ積み重ねていくことで、気づけば大きな夢を実現できる場所に立っている。そういうものだと思います。病気の経験も、サッカーの経験も、それを実感させてくれた大切な出来事でした。西岡: 私も同じ思いです。夢を持ち続けること、そしてその小さな一歩一歩を楽しむこと。それをこれからも多くの人に伝えていきたいですね。柴田: はい。夢は生きる力そのものですからね。夢を叶える人の共通点──夢に寄り添うサッカーの力夢を語り続ける経営者と、夢を叶え、後押しする指導者。対談から見えた『夢を掴む人だけが実践していること』「チームとしての夢を叶えることで、個人の夢も叶った」FC町田ゼルビア稲葉修土と夢の伝道師が語る『夢を掴む人の共通点』(REAL SPORTSさんにて掲載)