「Next Level」の本質を体現するKiot Campの2日目が幕を開けた。Day1で積み上げた基礎の上に、Day2ではより実戦に近いトレーニングと、欧州的なプレッシングやポジショニングへの理解が求められるセッションが続いた。河岸貴氏と染谷学氏を中心に、選手たちはさらに一段階深い“自分を高める”時間を過ごす。プレーの質だけでなく、取り組む姿勢、メンタリティ、自己認識――すべてを問い直す1日となった。判断と強度──正しく鍛える“動き”の質%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FYGelEy_PR4A%3Fsi%3Ds8jPmyNHbWpifd6E%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3EDay2の朝は、染谷学氏による身体操作トレーニングから始まった。「5分で仕上がる選手と、30分かかる選手がいる。その違いを自分自身で理解することが大事」と語る染谷氏の指導は、ウォームアップの概念を根本から問い直すものだった。選手たちは、正しいポジション・正しい出力を意識しながら身体を動かし、フォーム・姿勢といった“基礎の再構築”に取り組んだ。「身体が温まるまでの時間は人それぞれ違う。それを把握しておくことで、自分のピークを正確に準備できる」と染谷氏は語る。アップの中で“出力が出すぎるリスク”や“可動域の意識”に注意を促し、選手たちは一つ一つの動きに集中した。また、河岸氏も「怪我の予防も含めて、選手が自ら身体の感覚と向き合い、自己判断できる環境こそプロフェッショナル」と強調。選手たちが“気づく力”を養うことを目指し、細かな動作の中にも自分自身の状態を読み取る視点が求められた。欧州と日本──サッカー観の違いを越えて午後のセッションでは、河岸氏がプレッシング理論を丁寧に解説。「日本の守備は“寄せて止まる”が多いが、ドイツでは“寄せ切る”。アプローチが甘いと、どこにでもパスが出せてしまう。ボールに対して圧縮して、パスが出せない三角形を背後に作り出すイメージで。」と語り、ボールに圧縮するプレッシング守備の重要性を伝えた。「ボールに近い距離でアタックする」「プレッシングのタイミングと距離感を見極める」といったプレーは、選手たちにとって新たな感覚でもあったのではないか。海外での練習参加経験を持つ選手が「欧州のサッカーは、まるで日本と別の競技をしているようだった」と語るように、戦術だけでなく文化や評価軸の違いが浮き彫りになる時間となった。また、「ミスを恐れない姿勢」「奪われたら取り返す気迫」など、海外選手のメンタリティの強さを求める指導の声も飛んだ。日本的な“慎重さ”とのギャップは大きく、そこに一歩踏み込むための気づきが生まれていた。ポゼッション練習では、4対1の狭い局面や、フリーマンを含めた切り替えのある展開を通じて、視野の確保とテンポ感のあるプレーが求められた。「失ったら即座に切り替える」「外→中→外とボールを動かす」などのルールが徹底され、プレッシャーの中で精度を保つトレーニングが続いた。ゲームで問われる“実行力”──次なるステージへキャンプ終盤は、実戦形式のゲーム。ポゼッション、テンポのあるパス、シュート、切り替え、すべての局面でDay1・2の積み重ねが試される時間となった。ゴールを奪う、奪われたら取り返す、身体を張る──泥臭さとスマートさの融合がピッチで展開される。選手間では積極的な声掛けと鼓舞が飛び交い、セッション中とはまた違う熱量を感じることができた。参加選手たちは、来季に向けての意気込みも語った。「ただ出場するだけでなく、結果とパフォーマンスにこだわりたい」「若手でも引っ張っていく覚悟を持ちたい」──その言葉にはすでに“次のステージ”を見据える意志がにじんでいた。自分の強みを示し、弱みを隠さず、それでも前に進む覚悟。彼らの発言の一つひとつに、成長への渇望がにじんでいた。環境と言い訳の境界を超えてDay2の最後に行われたミーティングでは、河岸氏がこう語った。「環境を言い訳にしてはいけない。自分で気づき、自分で行動し、自分で変えていく」。それはKiot Camp全体のメッセージでもあった。「言われたからやるのではなく、自分からやる。外に答えを求めず、自分に問い続ける」。この考えは、プロフェッショナルとして生きていく上での根幹とも言える。選手たちは1年に一度、自らと本気で向き合う時間を終えた。身体を整え、思考を鍛え、覚悟を定める──この2日間で得たものは、技術や体力だけではない。“プロとしてどう在るべきか”という視座そのものだった。▼あわせて読みたい!日本サッカーに必要なBOS理論とは?「あと1mmを突き詰めろ」現役Jリーガーによるオフシーズンキャンプ密着【前編】「パスが出ない三角形を作れ」──『BoS理論』が変える日本サッカーの現在地「より効率的にゴールを奪う守備は...」酒井高徳の守備概念を変えた『BoS理論』「高校サッカー決勝を見て感じたのは...」酒井高徳が語る、『育成年代の現在と未来』