少年サッカーで「伸びる子」と「伸び悩む子」には、どんな違いがあるのでしょうか。技術がある子、身体能力が高い子、試合で目立つ子。もちろん、そうした要素もサッカーでは大きな力になります。ただ、トップレベルを経験してきた選手たちの言葉を聞いていると、成長を分けるのは、今のうまさだけではないのかもしれません。Footballcoachでは、港区のサッカークラブ所属者限定で開催された特別イベント「ONE DAY SOCCER EVENT」に密着しました。シュミット・ダニエル選手、三竿健斗選手、伊藤達哉選手、橋岡大樹選手が参加し、MCは三菱養和で背番号10とキャプテンを務めた経歴を持つイージー蓮見さん。小学生の子どもたちに向けて、トップレベルの選手たちがプレー、技術、考え方を直接伝える一日となりました。%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FrHOhSMtc48U%3Fsi%3DTr5SuGJxLFOFtWft%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3E伸びる子に共通するのは、うまさよりも「吸収する姿勢」選手たちの言葉から最初に見えてきたのは、「伸びる子と伸び悩む子」を分ける姿勢の違いでした。シュミット・ダニエル選手は、伸びる子に必要なものとして、サッカーへの情熱や探究心、好奇心に触れていました。さらに、挨拶などを含めた人間力にも言及しています。これは、単に「真面目な子が伸びる」という話ではないように感じます。自分からもっと知りたいと思えるか。うまくなりたい気持ちを持ち続けられるか。周囲の人と良い関係をつくりながら、サッカーに向き合えるか。そうした日常の姿勢が、プレーの成長にもつながっていくという見方もできそうです。三竿健斗選手は、伸びる子について「吸収力」という言葉で語っていました。コーチや周りの人からアドバイスを受けたときに、まず一回受け入れてやってみること。その姿勢が、成長に大きく関わるという考え方です。ジュニア年代では、自分の得意なプレーや好きなやり方が見えてくる時期でもあります。一方で、そこで自分のやり方だけに閉じてしまうと、新しい伸びしろに気づきにくくなることもあるかもしれません。伸びる子は、言われたことを全部そのまま信じる子ではなく、一度受け取り、自分のプレーの中で試せる子なのではないでしょうか。伊藤達哉選手が語った「聞く力」と、自分のやり方を広げる力伊藤達哉選手は、自身の経験を振り返りながら、子どもの頃の自分には「聞く力」が足りなかったという趣旨の話をしていました。自分のやり方を持っていることは、決して悪いことではありません。伊藤選手のようなドリブラーにとって、自分の感覚やこだわりは大きな武器でもあります。ただ、伊藤選手は、自分以外のやり方やアドバイスを一度聞き、それを自分の中で消化できるかどうかに触れていました。これは、個性を消すという話ではなく、個性を広げる話なのだと思います。ドリブルが得意な子が、ドリブルをやめる必要はありません。むしろ伊藤選手は、得意なものがあるなら極めていけばいいという考え方も語っています。大切なのは、自分の武器を持ちながらも、周囲の声や別の方法を取り入れる余白を持てるかどうか。自分らしさと聞く力は、どちらか一方を選ぶものではなく、両方があることで武器がより強くなるのかもしれません。橋岡大樹選手が見ていた、サッカーを楽しむ子の強さ橋岡大樹選手は、伸びる子について、純粋にサッカーを楽しんでいる子は自然とうまくなっていく、という趣旨の言葉を残していました。ジュニア年代では、勝ち負け、レギュラー争い、トレセン、進路など、子どもたちの周りにもさまざまな評価が生まれます。保護者や指導者も、つい結果や序列に目が向きやすくなる時期です。それでも、長く伸びていく子を考えるとき、「楽しいからもっとやる」「できるようになりたいから練習する」という原点は、とても大きいのではないでしょうか。うまくなるために楽しむのではなく、楽しんでいるから自然とボールを触り、挑戦し、失敗してもまたやってみる。その積み重ねが、結果として成長につながることもありそうです。壁にぶつかったとき、成長は止まるのではなく始まる伊藤達哉選手は、サッカーには成長のゴールがないという趣旨の話をしていました。うまくいかない時期が来たときに、新しいことを試す。取り組み方を考え直す。そうした姿勢が、次の成長につながっていくという見方です。少年サッカーでも、急に点が取れなくなる時期、体格差で勝てなくなる時期、ポジションが変わる時期、試合に出られない時期があります。そのときに「自分はダメだ」と止まってしまうのか。それとも、「何を変えればいいのか」と考えられるのか。トップレベルの選手でも、ずっと順調に伸び続けるわけではありません。むしろ、うまくいかない時間をどう受け止めるかが、その後のプレーを変えていくこともあるのだと思います。壁にぶつかること自体が問題なのではなく、その壁をどう見て、次に何を試すかが成長の分かれ道になるのかもしれません。同じポジションでプレーする子どもたちへ選手たちは、自分と同じポジションでプレーする子どもたちへ、それぞれの立場から具体的なヒントを伝えました。三竿健斗選手は、ボランチや中盤でプレーする子どもたちに向けて、自分が一番うまいという自信を持つこと、ゲームを作ること、ボールを奪うこと、全部自分がやるくらいの気持ちを持つことに触れていました。伊藤達哉選手は、ドリブルが得意な子に向けて、得意なものを極めることの大切さを伝えていました。さらに、両足を使えることは大人になって本当に武器になる、という趣旨の話もしています。橋岡大樹選手は、後ろのポジションでプレーする子どもたちに向けて、プレーの良い悪いの波をなくすこと、安定したパフォーマンスを出すことの大切さに触れていました。シュミット・ダニエル選手は、ゴールキーパーの子どもたちに向けて、サッカー以外のスポーツを経験することにも触れていました。サッカー以外の動きに触れることで、身体の使い方や動きのレパートリーが増える。特にゴールキーパーにとっては、さまざまな動きの経験が生きるという考え方です。ポジションごとに必要な力は違います。ただ、どの言葉にも共通しているのは、自分の役割を理解し、自分の武器を育て、日々のプレーを次につなげていく姿勢です。イージー蓮見さんが語った、サッカーを続ける意味MCを務めたイージー蓮見さんの言葉からは、サッカーを続けることで残るつながりの価値が伝わってきます。長く続けたサッカーは、友人、チームメイト、指導者とのつながりとして残っていく。諦めなければ道は続いていく。サッカーを続けていると、うまくいく時期もあれば、思うようにいかない時期もあります。試合に出られないことも、評価されないことも、悔しい負け方をすることもあります。それでも、サッカーを通して出会った人、積み重ねた時間、悩みながら続けた経験は、プレーの結果だけでは測れない価値として残ることがあります。この一日の価値は、トップ選手の技術を間近で見ることだけではありません。サッカーを通して子どもたちが何を感じ、何を持ち帰るのか。その部分に、育成年代のサッカーの大きな価値があるのではないでしょうか。伸びる子とは、今うまい子ではなく、変わり続けられる子今回の「ONE DAY SOCCER EVENT」で語られた言葉を並べてみると、伸びる子の特徴は一つに絞れません。シュミット・ダニエル選手は、情熱や探究心、人間力に触れました。三竿健斗選手は、アドバイスを受け入れる吸収力、自信、責任感を語りました。伊藤達哉選手は、聞く力、得意な武器を極めること、両足を使えることの価値を伝えました。橋岡大樹選手は、サッカーを楽しむこと、そして後ろの選手に必要な安定感を語りました。イージー蓮見さんは、サッカーを続けることで残るつながりや、諦めずに道を続けることの意味を伝えました。そこに共通しているのは、今の実力だけで子どもを見ないという視点です。今うまいかどうか。今試合に出ているかどうか。今評価されているかどうか。それも大切な現実ではあります。ただ、子どもの成長は、そこで決まり切るものではありません。伸びる子とは、今完成している子ではなく、楽しみ、聞き、試し、悩みながら、少しずつ変わり続けられる子なのかもしれません。保護者や指導者にできることは、子どもをすぐに結論づけることではなく、その変化の途中を見守り、問いを渡し、挑戦できる余白をつくることなのではないでしょうか。関連記事ジュニア年代のメンタルトレーニング ― 指導者が語る“心を鍛える”サポート“子どもたちの一番のサポーター” 保護者の方々に届けたいサポートの考え方育成年代指導者と考える、サッカー選手として人として飛躍する人材育成とは