順天堂大学時代、選手と監督の関係性で過ごした吉村雅文さん(クリアソン新宿 ヘッドオブエデュケーション)と田中順也さん(FC岐阜アカデミーダイレクター)。「フットボールを通した人づくり」という共通のテーマを軸に、大学サッカーとプロ現場、異なる環境で得たリアルな視点が交錯する。勝利至上主義に偏らず、自己決定力や補完力を育む指導とは?現代の育成や教育に問いかける、示唆に富んだ対談に。二人が語るのは、ただの技術論ではなく「人としての成長をいかに支えるか」。そのヒントが随所にちりばめられた濃密な時間が、これからのサッカー指導の在り方を照らす。大学サッカーで得た“逆算する力”と自己決定%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FwfROeJWZqTg%3Fsi%3DWYQ6ywEXphAWlG0R%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E田中:僕自身、大学サッカーってすごく教育的な4年間だったと思ってます。プロでのキャリアが長くなるほど、大学での時間の価値を再認識しましたし、人としての基礎を築けた期間だったと思ってます。吉村:僕はやっぱり、大学サッカーを経由するなら、高卒でプロになった人たちとは違う“何か”を持っていてほしいと思ってました。それは自己決定力。自分で考えて、自分で選択できるようになることが、大学サッカー最大の役割だと思ってます。田中:まさに。入部前に提出する小論文で「将来のビジョン、プロになるための逆算が甘い」と言われて書き直しさせられたの、今でも覚えてます(笑)。でもそこからキック精度を高める練習に取り組むようになったし、あの経験があったからプロで自信を持って戦えたというのがあるんですよね。あれで自分がプロで何が必要か、逆算する力がつきました。吉村:僕は教えるんじゃなくて、気づいてもらうことが大事だと思ってました。だから、「ポジショニングは人間関係で解決しろ」と言ってみたり(笑)。要するに、プレーの裏にある「なぜ」に気づいてもらいたいんです。指導者が“問い”を与えることの意味%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FMrr4LyQC9GA%3Fsi%3Dg3YA3FwXmn3Gd4JR%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E田中:今、僕も指導する立場になって、吉村先生が「教えなかった」意味がすごく分かるようになりました。つい教えたくなっちゃうけど、それじゃ子どもたちの判断力って育たないんですよね。吉村:そう。中1中2くらいの年代って、本質的なコーチングってむしろ不要だと思ってます。条件を細かく設定するトレーニングじゃなくて、「1分間2タッチだけ、ハーフコート5対5」とかシンプルな設定で、子どもたちが考える余白を残す。それが大事なんです。田中:僕も迷ってる部分があって。シンプルな練習で集中させるのも大事だけど、そこに“考える仕掛け”があるかどうかですよね。最初は上手くいかなくても、どうすればよかったかを選手たち自身に気づかせたい。吉村:そうそう。「考えるための設計」が指導者に求められてるんですよ。答えを与えるんじゃなく、問いを与える。例えば、どこで数的優位を作るか、誰が声をかけるか──全部選手自身が決めないといけない。そこにこそサッカーの面白さがあると思います。田中:子どもたちの創造性や柔軟性を引き出すには、指導者がどこまで我慢できるかも大事ですよね。与えすぎない勇気というか。社会で活きる“リーダーシップ”をサッカーから学ぶ%3Ciframe%20width%3D%221920%22%20height%3D%221080%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FRS2O1Nk5X6Q%3Fsi%3D7hU85KYEf9mhabbS%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E田中:僕、プロの晩年ってすごく保守的になってたと思うんです。若い頃は「なぜそこから打つの?」ってところから打ってた。でも、いつしか“確率”ばかりを気にするようになって。吉村:わかります。高校や大学で全国制覇した選手ほど、自分の成功体験にとらわれて、価値観をアップデートできないケースが多い。だから大学の4年間で、いかに柔軟な思考にリセットできるかが重要だと思ってるんです。田中:僕も、それこそサッカー部で「組織に属するなら自分の役割を見つけろ」って徹底的に言われてきたので、レイソルの練習参加のときは「自分は何ができるか」を常に考えてました。あの4年間がなかったら、絶対にできてなかったです。吉村:サッカーで得た学びって、ピッチの外でも活きるんですよ。いろんな人とコミュニケーション取って、感情をコントロールして、相手にどう伝えるかを考える。社会でも必要な力ですよね。そういう意味では、サッカーは最高の教育ツールになり得ると思っています。田中:最後にひとつ聞きたいんですけど、吉村先生の目から見て、僕は大学時代リーダーシップを持った選手だったんですか?吉村:もちろん、順也は立派なリーダーでしたよ。キャプテンとリーダーは違う。前に出て声を張るだけがリーダーじゃない。プレーで見せる、姿勢で引っ張る、それも立派なリーダーシップです。田中:自分でも気づかないうちに、そういう役割を果たしていたのかもしれません。吉村:僕が育てたいのは、誰か一人の“キャプテン”じゃなくて、状況に応じて全員がリーダーシップを発揮できる集団。だからこそ、1人ひとりの自己決定力を育てることが必要なんです。チームの中に複数のリーダーがいる状態が理想です。田中:僕もこれから指導者として、子どもたちに「自分で考えて動ける力」を持ってほしい。そのために、まず僕自身が考える力を失わないように、頑張ります!吉村:それでいいと思いますよ。自分自身の経験を、言葉で押し付けるのではなく、行動で伝えていくことが指導者には求められるので。頑張ってください!▼あわせて読みたい!田中順也が選手・指導者と考える『エゴイストの真髄』ゴールを恐れず打つ力をどう育てる?──“エゴイスト”が育つ環境とはエゴイストは育てられるのか?田中順也が恩師と語る"個性"と"指導"のリアル「ゴールを決めることだけが自分の価値証明だと思っていた」田中順也と鄭大世が語る『エゴイストの真髄』「蹴れ」と託されプロ初アシスト。田中順也が探る橋本悠の覚悟と挑戦の現在地ゴールで勝たせる "エゴイスト"――内野航太郎の現在地と見据える未来